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2013年12月25日水曜日

覚えるべき数字

覚えるべき数字

☆呼吸数
新生児50
乳児 40
幼児 30
学童 20
成人 18

☆心拍数
新生児140
乳児 120
幼児 100
学童 80
成人 60

☆胎児心拍
正常110-160bpm
基線細変動5bpm以上
NST:一過性頻脈が20分で2回以上ならreactive
CTGの徐脈
早発一過性:徐脈と収縮が同時→児頭圧迫だが正常
遅発一過性:徐脈が収縮に25s以上遅れる→胎児機能不全(早剥など)
変動一過性:徐脈と収縮がバラバラ→臍帯圧迫

☆血圧
新生児70/40
乳児 80/50
幼児 90/60
学童 100/70
成人 120/70

☆高血圧
120/80未満:至適血圧
120/80以上:高血圧前症
130/85以上:高値正常
140/90以上:Ⅰ度高血圧
160/100以上:Ⅱ度高血圧
180/110以上:Ⅲ度高血圧

☆電解質
Na:140±5
K:4±0.5
Ca:9.5±1
P:3.5±1
Cl:100±5
HCO3:24±2
Fe:80-150μg/dl
AG=Na-(HCO3+Cl):8‐16

☆電解質異常
低K:筋力低下(T↓,QT↑)、等張性多尿、耐糖能異常
低Na:悪心、嘔吐、意識障害
高Ca:悪心、嘔吐、意識障害、消化性潰瘍、等張性多尿

☆血ガス
pH:7.40±0.05
PaO2:80-100mmHg
SaO2:95-100%
PaCO2:40±5mmHg
PvO2:40mmHg
SvO2:75%
PvCO2:45mmHg
BE:±2
AaDO2=144-PaCO2/0.8-PaO2:10-20

☆生化学
T-chol:150-220
TG:150以下
HDL:40以上
LDL:140以下(Tchol-TG/5-HDL)
BUN:8-20
Cr:男1.4、女1.2以下(Cr×GFR=100)
尿酸:男7.0、女6.5以下
CRP:0.3以下
赤沈:10±5mm
Posm=2(Na+K)+BS/18+BUN/2.8

☆病的黄疸(光線療法/交換輸血)
24hr以内:10/12
48hr以内:12/18
72hr以内:15/20

☆体重1kg/1日あたりの水分ml、エネルギーkcal、蛋白g
新生児:150,120,3
成人:50,40,1
☆ECF,ICF
ECF20%(血漿5%、間質液15%)→新生児は2倍
ICF40%→加齢で細胞が死ぬため減少

☆メタボ
腹囲が男85cm、女90cm、内臓脂肪面積100cm2以上で、
高血圧130/85以上、FBS110以上、TG150以上かHDL40以下のうち2項目以上

☆DM
FBS126、2h値200、HbA1c6.1以上のうち2つ以上or1つ+古典症状
血糖値目標:FBS110,2h値140,HbA1c5.8

☆妊娠糖尿病
FBS92/1h値180/2h値153以上のうち1つ以上かつ産褥1or4週に正常化
カロリー:妊娠初期+50/中期+250/末期+450/授乳期+350kcal
血糖値目標:FBS100

☆低血糖(低出生、新生児、成人)
30,40,50mg/dl
出生72時間以内は10低くする

☆体重、身長
出生:3kg,50cm
1才:9kg,75cm
4才:15kg,100cm
出生は3000g、出生2ヶ月前は1/2、さらに3ヶ月前は1/3
超低出生体重児1000g未満
極低出生体重児1500g未満
低出生体重児 2500g未満
高出生体重児 4000g以上
極高出生体重児4500g以上
BMI:kg/m2、18.5以下はやせ、25以上は肥満(成人)
カウプ:kg/m2、14以下はやせ、20以上は肥満(乳幼児)
ローレル:kg/m3、100以下やせ、160以上は肥満(学童)

☆尿
尿量:1.5±1L/日
比重:1.002-1.033(血漿1.010)
浸透圧:50-1500(血漿290)
乏尿20ml/h以下、無尿10ml/h以下

☆透析適応(BUN,Cr,Kの順)
急性:60,6,5.5
慢性:100,10,6.5

☆輸液量
利尿がつく:1ml/kg/hr以上
下痢:細胞外液を10-20ml/kg/hr
術中術後:細胞外液を2-3ml/kg/hr(侵襲で血管透過性亢進で間質に水が逃げるため)
ショック:細胞外液を2Lを20分、酸素は10L/分
熱傷:細胞外液を熱傷面積%×体重kg×4ml/day
通常は500ml/時以内
Na:1g=17mEq

☆急性腎不全の鑑別(尿中Na,FENa,Uosm/Posm)
腎前性:20以下、1以下、1.5以上
腎性:40以上、1以上、1.5以下(腎前性の反対)

☆ネフローゼ
蛋白尿:3.5g/日以上
小児では0.1g/kg/日or早朝起床第1尿で300mg/dl
低蛋白血症:総蛋白6以下、アルブミン3以下
微量Alb尿:30-300mg/day(試験紙法では-)

☆血液
Hb:12-16g/dl
RBC:350万~550万(網赤血球は1±0.5%)
Ht:35~55
WBC:4000~8000(分葉核球40-60%,リンパ球20-40%,桿状核球/単球1桁%,好酸球3-6%,好塩基球1%以下)
Plt:15万~40万
血沈:10±5mm
骨髄穿刺液:有核細胞数は30万以上、M/E比(白系/赤系)は2~3
血清蛋白の電気泳動:Alb:67%,α1:2%,α2:7%,β:9%,γ:15%
MCV=Ht/RBC:90±10
MCH=Hb/RBC:30±2
MCHC=MCH/MCV:33±2

☆公衆衛生
出生107万、死亡120万、婚姻70万、離婚25万
総再生産率0.67、純再生産率0.66、合計特殊出生率1.39
年齢調整死亡率:男5.4、女2.7(人口1000対)
平均寿命:男79才、女86才、65才以上の死亡割合85%
妊産婦死亡率4.8(出産10万対)
周産期死亡率4.2、早期新生児死亡率0.8、新生児死亡率1.2、乳児死亡率2.4(出産1000対)
老年人口(65才以上)23%、年少人口(14才まで)13%
喫煙率:男37%、女性12%
人工死産14.5、自然死産11.7(出産1000対)、計3万件

☆産婦
原発性無月経18才でも初経なし
稀発月経39日~3ヶ月未満、無月経3ヶ月以上
早発月経10才未満、遅発月経15才以上
早発閉経43才未満、遅発閉経55才以上
子宮底長=3×(月数+1)、35cm以上ならCPD
胎嚢(GS:gestational sac)=週数-4(cm)
頭臀長(CRL:crown rump length)cm=週数-7(cm)
大横径(BPD:biparietal diameter)cm=週数÷4(cm)
胎児発達:心拍5週、四肢運動10週、呼吸様運動15週、聴覚形成20週
胎児染色体検査:絨毛10週、羊水16週、臍帯血18週
胎盤:16週で完成、500g,直径20cm,厚さ3cm
分娩第2期陣痛:周期2分、持続1分
子宮頸管長:40mm以上
成熟卵胞:20mm
PIH:妊娠20週~分娩12週のHT

☆死体現象
体温:10hrで10℃、以後は0.5℃/hrずつ低下、夏は1.4倍、冬は0.7倍
死斑:30分開始、12hrピーク、死後5時間までは体位変化で移動
死後硬直:2hr開始、12hrピーク、顎から下行
角膜混濁:6hr開始、24hrピーク
腐敗:24hr開始、細菌の多い側腹部が最初(晩期死体現象)

☆髄液
圧:7.5-15cmH2O(CVPは5-10cmH2O=4-8mmHg)
蛋白:45以下
糖:BSの1/2-1/3
量:150ml
細胞数:5以下

☆デルマトーム
T4:乳頭、T6:剣状突起、T10:臍、L1:鼠径部、S5:肛門


ゴロ合わせ

ゴロ合わせ

・いちごを買いに行って煮えるまで待つ3人のアイドル
 1型、5型(いちご)→CM
 2型(煮)→LDL(える)
 3型(3人)→IDL(アイドル)
(2b、Ⅳ、ⅤはVLDL)

・毛深い変態、実家でトッティを観戦
 ケプネル現象(毛深い)→扁平苔癬、自家感染性皮膚炎、ジアノッティ、尋常性乾癬

・高級コールガール、倒錯して性毛を食う
 鉱質コルチコイド→球状層
 糖質コルチコイド→束状層
 性ステロイド→網状層

・けがで死んだ子は最高
 1ヶ月 鶏卵大(け)
 2ヶ月 鵞卵大(が)
 3ヶ月 手拳大(で)
 4ヶ月 新生児頭大(死んだ)
 5ヶ月 小児頭大(子)
 6ヶ月 臍高(最高)

・むっつりハニー→M2 t(8:21)
 Mさんと恋なんて→M3 t(15:17)
 故郷に帰ろうフィラデルフィアへ→Ph t(9:22)
 バキッと折れたで歯医者に行こう→L3 t(8:14)

・PUVAは5文字5つ
 円形脱毛症、尋常性白斑、尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、菌状息肉症

・ナップザック下げてCAMPへ行こう。
 NAP低下→CML、AML、MDS、PNH(どれも3文字)

・チップあげて、塁審オールセーフ
 NAP上昇→類白血病、真性多血症、AL、L再不(再生不良性貧血)

・クリをいじると快感
 Crigler-Najjar、Gilbert→体質性黄疸で間ビが上がる
 (2人名の病気は発見するのに2人必要→珍しい→AR→Crigler-Najjar,Dubin-JohnsonはAR)

・南米1のえらいペットは熊
 1類感染症→(南米)出血熱、(エ)ボラ、(ラ)ッサ、(ペ)スト、(痘)瘡、(ク)リミアコンゴ、(マ)ールブルグ

・鳥は時差ぼけ
 2類感染症→(鳥)インフルエンザ(H5N1)、(ジ)フテリア、(S)ARS、(ポ)リオ、(結)核

・赤いチ◯コ
 3類感染症→細菌性(赤)痢、(チ)フス、パラ(チ)フス、(O)-157、(コ)レラ

・研ちゃんは一番黄色いまんこ
 検疫感染症 一類感染症、黄熱、マラリア、デング熱、コレラ

・テントを張ったらマリコを暗闇に。
 テトラサイクリンの適応→(マ)イコプラズマ、(リ)ケッチア、(コ)レラ、(オ)ウム病、(クラ)ミジア

・まい子のクレジットカードは百日有効
 マクロライド系有効:マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラ、ジフテリア、カンピロバクター、百日咳

・妊娠中毒はひどく危ない目にあうかも。
 妊娠中毒→(ヒド)ララジン、(αβ)ブロッカー、α(メ)チルドパ

・サイア人がかっけーロックでしびれてピリピリドキドキ。(自作)
 サイアミン(B1)→脚気(多発末梢神経炎、心不全、浮腫)
 ピリドキシン(B6)→新生児痙攣、多発末梢神経炎

・向こうに牛がいる
 無鈎条虫は牛、有鈎条虫は豚(どっちも「月」がある)

・すいすいを不幸になる
 MEN1型 下垂体腺腫、膵腫瘍-ガストリノーマ、副甲状腺腺腫

・ずいずいと不幸になる
 MEN2a型 髄様癌、副腎髄質-褐色細胞腫、副甲状腺腺腫(Ⅱbは副甲状腺腺腫の代わりに多発神経腫)

・ずうずうしい
 MEN2b型 髄様癌、副腎髄質-褐色細胞腫、口唇口腔の神経腫、Marfan様体型

・発熱児童はモスにしよう。(自作)
 Moschcowitz5徴候 発熱、腎不全、動揺性神経症状、紫斑、溶血性貧血

・仮面ライダー、強烈な血尿(自作)
 Reiter症候群 強直性脊椎炎+結膜炎+尿道炎

・ユーは類を見ない好漢だ。(自作)
 骨幹にできる骨腫瘍→Ewing肉腫、類骨骨腫、内軟骨腫、好酸球性肉芽腫症
 他は骨幹端にできる。骨巨細胞腫だけは骨端部、soap bubble appearance
 ついでに骨髄炎も骨幹端

・集金する曲がり者、重いカバンで外を全力疾走。(自作)
 MMT→0<収縮<1<屈曲<2<重力<3<外力<4<全力<5

・外科医が駅で幹部に投稿、過剰にフォークを振り回し焼酎要求。疎外感感じて転校するも、遅れて柄杓でどつかれた。(自作)
 外科頚骨折→腋窩神経麻痺
 骨幹部骨折→撓骨神経麻痺(下垂手)
 顆上骨折→フォルクマン拘縮、正中神経麻痺(猿手)
 外顆骨折→転位するので内固定(他は外固定)、外反肘で遅発性尺骨神経麻痺(鷲手)

・家来はまだか!サボリだな?ブロックで遊んでる!(自作)
 ライム病 マダニが媒介するボレリアが原因。遊走性紅斑、筋破壊、髄膜炎、房室ブロック、神経症状など。

・利権はつつがなく(自作)
 ツツガムシ病 リケッチア(G陰性桿菌)、発熱、発疹、全身リンパ節腫脹

・今日、前工場長が涙した。
 眼窩を構成する骨→頬骨、前頭骨、口蓋骨、上顎骨、蝶形骨、涙骨、篩骨

・プーさんはビールっ腹でもノープロブレム
 プー→Child-Pugh分類、ビール→ビリルビン、腹→腹水、ノー→脳症、プロ→PT時間、ブ→アルブミン

・梨花、欠席
 放射線照射で下がる順→リンパ球>顆粒球>血小板>赤血球

・関口くん
 胸部誘導:赤黄緑茶黒紫(第4肋間→第5肋間)

・秋吉久美子
 肢誘導:赤(右手)、黄(左手)、黒(右足)、緑(左足)

・蜃気楼、飢饉にどしゃ降り雨が降る
 特定心筋疾患:筋緊ジス、Duschenne、アミロイドーシス、Friedreich失調症

・あえてメリイは苦労せん
 肝細胞障害性薬剤:アザチオプリン(→6-MP)、エリスロマイシン、テトラサイクリン、αメチルドパ、リファンピシン、イソニアジド、ハロセン

・プロテスト、猿にピルを打つ
 胆汁うっ滞性薬剤:クロルプロマジン、プロピオチルウラシル、メチルテストステロン=蛋白同化ステロイド、サルファ剤、ピル

・アホなポリ、雨の金曜の晩スポッとメットとり死す
 腎障害を起こす薬剤:アンホテリシンB、ポリミキシンB、アミノ配糖体(ストマイ、カナマイ、ゲンマイ)、金製剤、ヨード、バンコマイシン、セファロスポリン、シクロスポリン、MTX、シスプラチン

・胸毛に泣くいとこ
 血清蛋白の電気泳動:Alb:67%,α1:2%,α2:7%,β:9%,γ:15%

・高価な生カルビは捨てろ
 高Ca血症の治療:生食、カルシトニン、ループ利尿薬、ビスホスホネート、ステロイド

・フェイバリットメロス
 必須アミノ酸:フェニルアラニン、イソロイシン、バリン、リジン、トリプトファン、メチオニン、ロイシン、スレオニン(8種類)

・パヘパヘポア
 DNAウィルス:パルボ、ヘルペス、パポバ、ヘパドナ、ポックス、アデノ

・生きるのは無風の進歩の結果です
 生ワク:ムンプス、風疹、麻疹、ポリオ、結核、水痘

・SMAP(自作)
 補体低下:SLE,MRA,MPGN,AGN,AIHA,蛋白漏出性胃腸症protein losing gastroenteropathy(SMAP)(肝硬変は当然として)

・今朝は鍋食うかい?結構
 結節性紅斑:結核、サルコイドーシス、Wegener、内臓悪性腫瘍、ベーチェット、Crohn病、UC
(結節性紅斑:ベーチェット、サルコー、ウェゲナー ブドウ膜炎:ベーチェット、サルコー、原田)

・女性ランナー首にした、さし頃兄さんナンパくどいちゅうに
 上眼窩裂、正円孔、卵円孔、内耳孔、頚静脈孔、舌下神経管、34V16、V2、V3、78、91011、12

・トルシエ、ダバディー
 トルエン、シンナー、脱力、尿中馬尿酸(脱力→小脳失調、錐体路徴候)

・エルメスのハットは高い
 AR,MS,HT→Ⅱ音Ⅰ音↑

・4番は神父、今日明日ヒットホームラン
 Ⅳ音:心不全、AMI、AS、HT、HOCM

・ガングロ兄さんチェリーと伊勢丹へ(自作)
 cherry red spot:GM1ガングリオシドーシス、Niemann-Pick、異染性白質ジストロフィー、Tay-Sacks

・ガングロ兄さんゴシゴシ完璧(自作)
 肝脾腫:GM1ガングリオシドーシス、Niemann-Pick、Gaucher病

・STAND喝采
 起立性低血圧:Shy-Drager、糖尿病、アミロイドーシス、内分泌疾患、di uretic(利尿薬)、褐色細胞腫

・しみると嫌、えらく臭う炭酸
 滲出性胸水:比重>1.018、LDH>200、蛋白>3

・ステレオのトーンこそ迫力、雑誌見よ、心は快感大
 ステロイドの副作用:DM、骨粗鬆症、白内障、緑内障、座瘡、死斑、ミオパチー、精神病、潰瘍、感染、大腿骨頭壊死

・力には天狗のマフィアもオーノー
 蚊が媒介する感染症:デング熱、マラリア、フィラリア、黄熱、日本脳炎

・とうあふどうDANCE
 母乳>牛乳:乳糖、亜鉛、アルブミン、不飽和脂肪酸、銅、ビタミンD,A,C,E,ナイアシン

・小池見たvital sign
 vital sign:呼吸、意識、血圧、脈拍、体温(意識はバイタルサインではない)

・真性憩室→MRI
 真性憩室:メッケル憩室、ロキタンスキー憩室、胃憩室

・乳漏れはある?きらりカステラ
 乳汁漏出:Forbes-Albright、Chiari-Frommmel、Argonz-del Castillo syn.

・明治維新 竜馬のケツまで よう見とけ
 育成医療…身体障害児
 養育医療…未熟児
 療育医療…結核児童

・横チン出たで
 横骨折:神経→感音性難聴 
 縦骨折:伝音性難聴

・ビールにカビはえた
 鼻涙管は下鼻に開口

・中間業者 
 中間:肘管、業:Gyon管、者:尺骨N

・XRな先天性免疫不全症は、BMW
 Bruton型、慢性肉芽腫症、Wiskotto-Aldrich

・A級Girlはストレス(自作)
 ストレスで上昇するホルモン:ACTH(→cortisolも↑),Ald,A(NA),ADH,GH,PRL

・食って延長定価のマック
 LGT:低K、低Mg、低Ca

・ヘイ!タカス!(自作)
 癌の部位別年齢調整死亡率/粗死亡率(男):肺、胃、大腸、肝、膵

・ダイハード、一睡もせずチカン
 癌の部位別粗死亡率(女):大腸、肺、胃、膵、乳、肝

・大きな乳はいいっすねー(自作)
 癌の部位別年齢調整死亡率(女):大腸、乳、肺、胃、膵

・ガングロでギラ光るフィッシュの皮で師範を麻酔
 γG投与:GBS、B型肝炎、Fisher、川崎病、ITP、麻疹、水痘

・化粧変えて、不二家のチョコで目目真っ黒の娘に父はハウスでカンカン、人為のマゲがギラギラすれば、不敵なテンポでムラムラ
 血漿交換療法:FGS(LDL↑に対して)、高chol、MM、マクログロブリン血症、MS、TTP、HUS、劇症肝炎、肝不全、腎移植、MG、GBS、SLE、Rh不適合、天疱瘡、類天疱瘡、MRA

・羊羹作りは理不尽な苦労(自作)
 グラム陽性桿菌:リステリア、ジフテリア、クロストリジウム(破傷風、ボツリヌス、ガス壊疽、偽膜性腸炎)

・一休さん、ずいぶん寂しい
 グラム陰性球菌:髄膜炎菌、ブランハメラ(モラクセラ)、淋菌

・嫌気性菌はPCB(自作)
 嫌気性菌:ペプトコッカス(G+球)、クロストリジウム(G+桿)、バクテロイデス(GNR)

・新婚でプリティーとレジでHばっかりええなー(自作)
 新興感染症:プリオン、レジオネラ、H5N1,HUS,HIV,HTLV1,Hピロリ,HHV6,8,、エボラ出血熱、西ナイルウィルス

・巨大なIBM(自作)
 巨大血小板:ITP、Bernard-Soulier、MF、MDS(MDSはなんでもあり)

・薬飲んでプロにフェラでひどい目(自作)
 薬剤性ループス:プロカインアミド、フェニトイン、ヒドララジン、αメチルドパ

・最高!黒いプロのビンビンちんこ軽くビブラート
 SIADHを起こす薬剤:クロルプロパミド(SU剤)、ビンクリスチン(抗癌剤)、カルバマゼピン(側癲癇)、クロフィブレート(TG↓)
 ビンクリスチン以外は尿崩症の治療薬にもなる

・船の上で月を見ながら三角の豆を食べた。大小菱形の頭を鉤で引っ掛けた
 手根骨(母指側近位から):舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨、大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鉤骨

・くしみきこ(自作というか)
 HousefieldUnit(CT値):空気(-1000)、脂肪、水(0)、筋肉、骨(+1000)

・しかかび(自作というか)
 Borrmann分類:腫瘤形成、潰瘍限局、潰瘍浸潤、びまん浸潤

・腹減るサルはブドウとれば血便
 ブドウ膜炎起こす疾患:原田病、ヘルペス、サルコイドーシス、ブドウ球菌、トキソプラズマ、レプトスピラ、梅毒、結核、ベーチェット

・新婚旅行の幹事は大変、ムコはろくでもない
 脳死判定基準:深昏睡、両側瞳孔4mm以上で固定、脳幹反射消失、平坦脳波、自発呼吸消失、6h経過で変化がなし

・鷹も目の前の隕石に反応
 脳死判定に使われる脳幹反射:対光反射、角膜反射、毛様脊髄反射、眼球頭反射、前庭反射、咽頭反射、咳反射


まぎらわしい薬

まぎらわしい薬

・オザグレルNa cox2阻害→TXA2↓→血小板抑制、スーパーアスピリン(アスピリンはcox1,2ともに不可逆阻害、NSAIDはcox1,2を可逆阻害、アセトアミノフェンは中枢性の解熱鎮痛で抗炎症弱い)
・ブロモクリプチン ドパミン作動薬→パーキンソン、下垂体腺腫のGH,PRL抑制
・スピロノラクトン アルドステロンポンプ抑制、K保持性利尿薬
・エプレレノン 選択的アルドステロン受容体拮抗薬
・フロセミド、エタクリン酸 ループ利尿薬、上行脚のNaClポンプ抑制、RAA/血糖/尿酸/Ca排泄↑(=Batter)、JGAのClチャネルも抑制→RAA抑制しないのでAGNの高血圧に使える
・サイアザイド 遠位尿細管初区域のNaClポンプ抑制、RAA/血糖/尿酸/Mg排泄↑、Ca排泄↓(=Gittelman⇔Liddle)、日光過敏と催奇形性あり、RAA抑制するので降圧利尿薬、2次性高脂血症
・カプトプリル、エナラプリル ACEI
・ロサルタン ARB(アンギオテンシン2受容体拮抗薬)
・エプレレノン 選択的アルドステロン受容体拮抗薬
・モザパプタン ADH-V2受容体拮抗薬
・プロピオチルウラシル 抗甲状腺薬、胎盤通過性少ない
・メチマゾール 抗甲状腺薬、無顆粒球症少ない(ドグマチールはスルピリドの商品名)
・プラゾシン α1ブロッカー、高血圧、レイノー、前立腺肥大
・プロプラノロール βブロッカー
・アテノロール、メトプロロール β1ブロッカー、喘息患者の高血圧
・イソプロテレノール β刺激薬(イソ=急がせる)
・サルブタモール、テルブタリン β2刺激薬→喘息(心臓作用なし)
・ラベタロール αβブロッカー
・ジソピラミド、プロカインアミド Ⅰa群抗不整脈薬、上室性、ジソピラミドは低血糖起こす
・リドカイン、メキシレチン Ⅰb群抗不整脈薬、心室性
・アミオダロン Ⅲ群抗不整脈薬、Kチャネルブロッカー、副作用は間質性肺炎
・ベラパミル、ジルチアゼム Ⅳ群抗不整脈薬、Caブロッカー
・クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン H1ブロッカー(第1世代)
・ケトフェチン H1ブロッカー(第2世代)、肥満細胞からの脱顆粒抑制作用あり
・シメチジン、ファモチジン H2ブロッカー
・オメプラゾール PPI
・メトクロプラミド 消化管運動改善、制吐剤、D2拮抗、5HT3拮抗
・クロモグリク酸 肥満細胞の脱顆粒を抑制
・ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン ステロイド活性は1,4,25、デキサには鉱質作用なし、コルチゾールは1日20mg分泌
・ペニシリン系→ペニシリンG(G+のみ)、アンピシリン(G-にもOK)
・セフェム系→セファゾリン(G+のみ)、セフォチアム(G-にも)、セフォタキシム(緑膿菌にも)
・テトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン
・マクロライド系→エリスロマイシン(old,DPBにも)、クラリスロマイシン(new)
・アミノ配糖体系→ストマイ、カナマイ、ゲンマイ(ゲンタマイシン)、内耳障害、腎障害、神経筋接合部の障害
・ノルフロキサシン NQ、小児用、クラミジア、マイコプラズマ、レジオネラ
・サルファメトキサゾール+トリメトプリム ST合剤、カリニ肺炎
・アンホテリンシンB 抗真菌薬、副作用は腎障害、低K、発熱
・ポリミキシンB エンドトキシン吸着療法に使う
・フルシトシン 5-FC、クリプトコッカス髄膜炎
・ミカファンギン βDグルカン合成阻害、クリプトコッカスには無効
・アシクロビル HSV,VZV
・ガンシクロビル CMV
・パモ酸ピランテール 鉤虫、蟯虫
・プラジカンテル 条虫(有鉤条虫、無鉤条虫、広節裂頭条虫)
・リラグルチド インクレチンアナログ(GLP-1アナログ)
・シタグリプチン 高血糖時だけインスリン分泌促進するインクレチンの分解を阻害
・スルフォニルウレア→トルブタマイド、グリベンクラミド、グリグラジド、クロルプロパミド(SIADH) インスリン分泌促進(SU剤)
・ナテグリニド フェニルアラニン製剤、速効性のSU剤
・ビグアナイド→メトホルミン、ブホルミン TCA回路、糖新生抑制
・ピオグリタゾン チアゾリジン系、インスリン抵抗性改善薬(ブドウ糖取り込み促進で肥満)
・クロフィブラート、ニコチン酸 TG下げる
・プラバスタチン、シンバスタチン HMG-CoA還元酵素阻害薬、Chol下げる
・コレスチラミン、プロブコール Chol下げる
・アロプリノール 尿酸産生抑制
・プロベネシド 尿酸排泄促進
・トリヘキシフェニジル 中枢性抗コリン薬
・ドネペジル 中枢性コリンエステラーゼ阻害薬→アルツハイマー初期
・ネオスチグミン 末梢性コリンエステラーゼ阻害薬→緑内障、術後麻痺性イレウス、重症筋無力症、ベクロニウムに拮抗
・スキサメトニウム(サクシニルコリン) 脱分極性筋弛緩薬、作用時間短い、一旦脱分極させるのでK↑、線維束れん縮、悪性高熱(非脱分極型にはない)
・ベクロニウム、パンクロニウム 非脱分極性筋弛緩薬、作用時間長い、ネオスチグミンが拮抗
・ダントロレン 筋小胞体からのCa放出阻害、末梢性筋弛緩薬、悪性症候群(D2B、Lドパ中断→発熱、筋破壊)、悪性高熱症(全麻→発熱、筋破壊)
・フェニトイン、フェノバルビタール 大発作、フェニトインの副作用は歯肉腫脹、VitD活性化障害、小脳障害、骨髄抑制
・カルバマゼピン 部分発作(側頭葉てんかん)、三叉神経痛
・エトスクシミド 欠神発作
・グリセロール 脳圧降下、代謝されるので効果マイルド
・マンニトール 脳圧降下、代謝されないので効果強力、リバウンドあり
・エンテカビル HBVの慢性肝炎、肝硬変
・リバビリン HCVの慢性肝炎、肝硬変(PEGインターフェロンと併用、遺伝子型1bには不良)
・ウルソデオキシコール酸 胆汁酸製剤、利胆薬→15mmまでのコレステロール胆石、PBC(PBCは自己免疫だがステロイド無効)
・ピロカルピン 縮瞳薬→緑内障
・アトロピン 散瞳薬→ぶどう膜炎、徐脈性不整脈
・トロピカミド 散瞳薬→眼底検査(短時間作用型)
・エドロフォニウム(テンシロン) 散瞳薬→重症筋無力症の診断(超短時間作用型)
・オキシトシン 陣痛促進剤、PG併用は禁忌、子宮口開大後、微弱陣痛に使う
・PGF2α,PGE2 陣痛促進剤、頚管熟化作用→子宮口開大前、治療的流産に使う
・エルゴタミン 麦角アルカロイド→胎盤娩出後の子宮収縮促進(陣痛促進目的には禁忌)、片頭痛発作(妊娠中は禁忌)
・塩酸リトドリン 陣痛抑制剤(トド=とどめる)
・クロルプロマジン、ハリペリドール、リスペリドン、オランザピン D2ブロッカー(抗妄想、抗幻覚)
・ジアゼパム、ニトラゼパム GABAa作動薬(抗不安、鎮静、抗けいれん)→常用量依存で不安、不眠、けいれん
・イミプラミン、アミトリプチリン モノアミン再取り込み阻害薬(三環系抗うつ薬)→抗コリン作用とQT延長
・パロキセチン(プロザック)、フルボキサミン SSRI
・炭酸リチウム 抗躁薬、血中濃度測定が必要
・メチルフェニデート 精神活性剤→ADHD、ナルコレプシー
・イマニチブ(グリベック) チロシンキナーゼ阻害薬→CML,GIST
・リツキシマブ CD20陽性B細胞性NHL
・トラスツズマブ(ハーセプチン) HER2陽性乳癌(Her=彼女=乳癌)
・ゲフィニチブ(イレッサ) EGFRが変異した、非喫煙、非小細胞癌、日本人女性
・インフリキシマブ(レミケード) 抗TNFα抗体、RA、クローン、ベーチェット
・ラニビズマブ 抗VGEF抗体→加齢黄斑変性
・クロミフェン 視床下部E受容体ブロッカー→第1度無月経、PCOSの排卵誘発
・タモキシフェン E受容体ブロッカー→中等度乳癌(E受容体陽性例)
・ラロキシフェン 骨E受容体刺激薬→骨粗鬆症
・ビスフォスフォネート 破骨細胞抑制→骨粗鬆症
・シクロスポリン T細胞からのIL-2分泌抑制→免疫抑制(臓器移植後の拒絶反応、ベーチェットの眼症状etc)
・シクロホスファミド アルキル化でDNA架橋、様々な癌、副作用は出血性膀胱炎と2次発癌
・メルファラン アルキル化でDNA架橋、MM、副作用は2次発癌
・シスプラチン プラチナがDNA架橋、精巣/卵巣/膀胱の癌、副作用は内耳障害、腎障害、悪心嘔吐→大量輸液でwash outしながら使う
・ブレオマイシン Fe2+→Fe3+によりフリーラジカル発生させDNA切断、扁平上皮癌、ホジキン病、副作用は肺線維症
・ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン(ダウノマイシン) DNA/RNAポリメラーゼ阻害でDNA切断、アントラサイクリン系抗生物質、副作用は心毒性
・アクチノマイシンD DNA/RNAポリメラーゼ阻害でDNA切断、腎癌、Wilms腫瘍
・メトトレキセート 葉酸代謝拮抗でDNA合成障害、骨肉腫、副作用は間質性肺炎
・5-FU(5フルオロウラシル) ピリミジン代謝拮抗でDNA合成障害、肺癌、消化器癌
・6-MP(6メルカプトプリン) プリン代謝拮抗でDNA合成障害、AML
・ビンクリスチン(オンコビン) 微小管阻害、ALL、NHL、神経芽細胞腫、副作用は末梢神経障害、イレウス、SIADH
・パクリタキセル、ドキセタキセル 微小管阻害、肺癌、乳癌
・DCMP(ダウノマイシン、シタラビン、6-MP、プレドニゾロン) AMLの治療
・VP(ビンクリスチン、プレドニゾロン) ALLの治療
・ABVD(アントラサイクリン、ブレオマイシン、ビンクリスチン、ドキソルビシン) ホジキン病の治療
・CHOP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾロン) NHLの治療
・MP(メルファラン、プレドニゾロン) 多発性骨髄腫の治療
・胃癌、食道癌 シスプラチン、5-FU
・腎芽腫 アクチノマイシンD
・膀胱癌 BCG(表在癌の時)
・精巣腫瘍 シスプラチン
・前立腺癌 LHRHアナログ
・子宮体癌 プロゲステロン大量
・乳癌 タモキシフェン、LHRHアナログ(ER+)、トラスツズマブ(HER2+) 
・胆管癌、胆嚢癌、膵癌 ゲムシタビン
・骨肉腫 メトトレキセート
・GIST,CML イマニチブ
・APL ATRA+DCMP
・再生不良性貧血、赤芽球癆 シクロスポリン

まぎらわしい症候群

まぎらわしい症候群

・Osler-Rendu-Weber症候群 AD 鼻出血、消化管出血、肺動静脈ろう
・Kasabach-Merritt症候群 巨大血管腫、血小板減少、全身性紫斑
・von Hippel Lindau病 小脳血管芽腫、脈絡膜血管芽腫、
・Sturge Weber症候群 V1V2領域の顔面血管腫、牛眼(脈絡膜血管腫)、レール状石灰化
・Brugada症候群 V1V2でRBBB+ST上昇
・Lutembacher症候群 ASD+MS
・Leriche症候群 大動脈分岐部の閉塞、間欠性破行+陰萎+下肢冷感
・HAM症候群 副甲状腺機能低下症+Addison+モニリア症
・Schmidt症候群 慢性甲状腺機能低下症(橋本)+Addison
・Gerstmann症候群 左右失認、手指失認、失書、失算(優位頭頂葉障害)
・Kearns-Sayer症候群 外眼筋麻痺+網膜色素変性症+AVblock、ミトコンドリア脳筋症の1つ
・Wernicke脳症 外眼筋麻痺+小脳失調+せん妄、上部脳幹出血、反復するうちにコルサコフ症候群へ
・Fisher症候群 GBSの重症型、全外眼筋麻痺+小脳失調+四肢深部腱反射消失
・Devic症候群 MSの重症型、両側視神経と脊髄の急速な脱髄、抗アクアポリン4抗体+
・WDHA症候群 水様性下痢、低K血症、無酸症(VIPoma)
・Zollinger-Ellison症候群 水様性下痢、難治性潰瘍(ガストリノーマ)
・Lynch症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸癌) AD 癌抑制遺伝子の異常 ポリポーシスのない大腸癌や全身の固形癌
・Lemmel症候群 Vater乳頭部近傍憩室+胆汁うっ滞
・Zieve症候群 高脂血症+溶血性貧血+黄疸(アル中で起きやすい)
・Plummer-Vinson症候群 鉄欠乏性貧血、口内炎、食道web(食道にできる薄い膜、容易に破れる)
・Evans症候群 ITP+AIHA
・Reiter症候群 強直性脊椎炎+結膜炎+尿道炎
・Felty症候群 RA+脾腫+汎血球減少
・CREST症候群 内臓病変のないSSC、calcinosis,Raynaud,esophgeal disfunction,sclerodactylia,telangiectagia(毛細血管拡張)
・Kartagener症候群 ダイニン椀の欠損、気管支拡張、副鼻腔炎、内蔵逆位、不妊
・Refetoff症候群 甲状腺ホルモン受容体異常症
・Conn症候群 副腎皮質腺腫による原発性アルドステロン症
・Diamond-Blackfan症候群 先天性の赤芽球癆、胸腺腫はない、手指の異常、低身長(Fanconi貧血は先天性の再生不良性貧血)
・WAGR症候群 腎芽腫に合併する症状、11p欠失、Wilms tumor,Aniridia,Genitourinary malformation,Retardation
・Gardner症候群 FAP+下顎骨腫、類皮膿疱、AD
・Turcot症候群 大腸腺腫性ポリポーシス、中枢神経腫瘍、AR
・Peutz-Jeghers症候群 全消化管に過誤腫性ポリポーシス、四肢や口唇のメラニン沈着、卵巣、子宮、肺に癌、AD
・Cronkhite-Canada症候群 炎症性ポリポーシス、蛋白漏出性胃腸症(皮膚色素沈着、爪変形、脱毛、浮腫)、非遺伝性
・Noonan症候群 男のTurner(外反肘、翼状頚)、PS合併が多い
・Frohlich症候群 頭蓋咽頭腫→視床下部障害→肥満、性腺機能低下(∴知能障害なし)
・Kallman症候群 X染色体異常→LHRH細胞、嗅細胞の遊走障害、嗅覚脱失、性腺機能低下、知能障害、視床下部全体の障害ではないのでPRL↑はない
・Laurence-Moon-Biedl症候群 AR、網膜色素変性症(遺伝性の桿体異常)、肥満、性腺機能低下、知能障害
・Prader-Willi症候群 15q欠失、H3O症候群(hypotonia,hypogonadism,hypomentia,obesity)


まぎらわしい分類

まぎらわしい分類

・NYHA分類(慢性心不全)
Ⅰ:無症状
Ⅱ:階段、坂道で心不全症状
Ⅲ:軽い日常労作で心不全症状
Ⅳ:安静時で心不全症状


・Killip分類(急性心不全)
Ⅰ:無症状
Ⅱ:ラ音聴取が肺野の50%以下
Ⅲ:ラ音聴取が肺野の50%以上
Ⅳ:心原性ショック


・DeBakey分類(大動脈解離)
Ⅰ:上行+下行
Ⅱ:上行のみ
Ⅲ:下行のみ(a腹部-,b腹部+)


・Stanford分類(大動脈解離)
A:上行に解離あり
B:上行に解離なし


・Keath-Wegener分類(高血圧の眼底所見)
1度:細動脈の狭窄
2度:細動脈の硬化
3度:出血、滲出性病変
4度:乳頭浮腫


・Scheie分類(動脈硬化と高血圧の眼底所見)
細動脈硬化
S1:動脈壁反射+、交叉現象+
S2:動脈壁反射++、交叉現象++
S3:銅線動脈、交叉現象+++
S4:銀線動脈
高血圧性変化
H1:細動脈狭細化
H2:口径不同
H3:出血、白斑
H4:乳頭浮腫


・Fontaine分類(閉塞性動脈硬化症ASO)
1度:冷感、色調変化
2度:間欠性跛行
3度:安静時疼痛
4度:壊死、潰瘍


・Hugh-Jones分類(慢性呼吸不全)
Ⅰ:無症状
Ⅱ:階段、坂道で息切れ
Ⅲ:自分のペースでないと1マイル歩けない
Ⅳ:休み休みでないと50m歩けない
Ⅴ:会話、着替えで息切れ


・BPS
呼吸様運動、躯幹運動、筋トーヌス、羊水量、NST(各2点)
8点以上が正常、4点以下はtermination


・Apgarスコア
      0    1    2
Appearance:青  四肢青  桃
Pulse:  なし 100以下  100以上
Grimace: なし 顔しかめる 咳やくしゃみ
Activity: 弛緩 屈曲    活発
Respiration:なし 不規則  強泣
4~7点は1度、0~3点は2度新生児仮死


・Bishopスコア
         0    1    2    3
頚管開大度(cm)  0   ~2   ~4    ~6
下降度(sp)    -3   -2    -1    +1
展退度     ~30  40~50  60~70  80~
硬さ      鼻翼  口唇   マシュマロ
8点以上で分娩誘発可能


・子宮頚癌の期別分類
Ⅰa1:基底膜を超えた深さ3mm以下→円錐切除
Ⅰa2:基底膜を超えた深さ3mm~5mm→準広汎子宮全摘
Ⅰb:基底膜を超えた深さ5mm以上
Ⅱa:膣壁2/3までの浸潤
Ⅱb:子宮傍組織浸潤、しかし骨盤壁浸潤はない→広汎子宮全摘
Ⅲa:膣壁2/3以上の浸潤
Ⅲb:子宮傍組織浸潤、骨盤壁浸潤もある
Ⅳa:膀胱直腸浸潤
Ⅳb:肺転移など小骨盤腔を越えたもの→内照射+外照射


・JCS(意識障害)
覚醒:1意識清明とは言えない、2失見当識、3名前生年月日が言えない
刺激で開眼:10普通の呼びかけで、20大きな声や揺さぶりで、30痛みで
痛み刺激:100払いのける、200手足を動かす、300無反応


・GCS(意識障害)
Eye Opening:4spontaneous、3to speech、2to pain、1none
Verbal response:5orientated、4confused conversation、3inappropriate word、2incomprehensible word、1none
Motor response:6obey、5localize、4withdraw、3abnormal flex、2extend、1none


・MMT(筋力)
0<収縮<1<屈曲<2<重力<3<外力<4<全力<5


・Borrmann分類(進行胃癌)
0型:早期胃癌(sm癌)
1型:腫瘤形成
2型:潰瘍限局
3型:潰瘍浸潤
4型:びまん浸潤
5型:分類不能


・早期胃癌の肉眼分類
Ⅰ:ポリープ状
Ⅱa:表面隆起
Ⅱb:表面平坦
Ⅱc:表面陥凹
Ⅲ:陥凹


・Gross分類(食道閉鎖)
A  B  C  D  E
|| │┘ || │┘ ││
|  │  |  │  │┤
|| ││ |┐ │┐ ││
 胃  胃  胃  胃  胃


・潰瘍性大腸炎の重症度判定(柔道励み酸欠)
重症は発熱37.5℃以上/下痢便6回以上/血便3+/頻脈90以上/Hb10以下/赤沈30以上


・Dukes分類(大腸癌)
B:壁貫通+、リンパ節転移-


・Child分類(肝予備能)
B:総ビ2~3、Alb3~3.5、腹水治療可、意識障害軽度、栄養良好
(Child-Pughでは栄養状態の代わりにPT活性40-70%)


・急性膵炎の重症度判定の項目
各2点:ショック、呼吸困難、神経症状、重症感染症、出血傾向、HT30以下、BE-3以下、BUN40以上、Cr2以上、SIRSの陽性項目3以上
各1点:Ca7.5以下、FBS200以上、PaO2が60以下、LDH700以上、TP6以下、PT15以上、Plt10万以下、CTgradeⅣⅤ、70才以上
2点以上で重症急性膵炎(Stage2)
SIRSの診断基準:①-36℃,38℃-②WBC-4000,12000-③HR>90④呼吸数>20,PaCO2<32mmHg


・Ann Arbor分類(悪性リンパ腫)
Ⅰ:1ヶ所の腫大
Ⅱ:横隔膜を超えずに2ヶ所の腫大
Ⅲ:横隔膜の上下に腫大
Ⅳ:リンパ節外臓器(肝臓や骨髄など)に浸潤
発熱,寝汗,体重減少あればBつける
(Ⅰ,Ⅱ放射線、ⅠB,ⅡB,Ⅲ,Ⅳ化学療法(HLはABVD,NHLはR-CHOP))


・多発性骨髄腫の病期分類
Ⅱ期:β2MG2.5~5
Ⅲ期:Alb3以上
Ⅳ期:Alb3以下


・PerformanceStatus(PS)
0:OK
1:労働制限
2:臥床1日の50%以下
3:臥床1日の99%以下
4:臥床1日の100%


・熱傷面積
手のひら=1
成人:頭9、腕9、足9、上腹部9、下腹部9、陰部1、足/上腹部/下腹部は裏面も9
小児:頭15、腕10、足15、上腹部10、下腹部10、背中は15
輸液量=4×熱傷面積×体重kg(L/day)を最初の8hrで半分入れる、血管透過性が収まる24hr以降はAlbも入れる

まぎらわしい徴候

まぎらわしい徴候

・Brockenbrough現象 HOCMではPVCのあとに駆出力が下がる(脈圧が下がる)
・Rivero-Carvallo徴候 右心系の心雑音は呼気時より吸気時に増大する
・Merseburg3徴 甲状腺腫、眼球突出、頻脈
・Lhermitte徴候 MSで頚部前屈すると背中に電気
・Murphy徴候 胆石で右季肋部をおさえると呼吸ができない
・Mirizzi徴候 胆嚢内胆石なのに胆嚢管にかんとんして閉塞性黄疸
・Cullen徴候 急性膵炎でDICおこしてへそが赤い
・Grey-Turner徴候 急性膵炎でDICおこして左腹が赤い
・Rovsing徴候 急性虫垂炎で左下腹部の圧迫で右下腹部に疼痛
・Rosenstein徴候 急性虫垂炎で仰臥位より左側臥位の方がMcBurney点の圧痛が強くなる
・Dance徴候 腸重責 右下腹部空虚
・Moschcowitz5徴 紫斑、溶血性貧血、発熱、動揺性神経症状、腎不全(TTP)
・Brudzinski徴候 頚部屈曲で股関節膝関節が屈曲(髄膜刺激症状)
・Kernig徴候 両下肢を伸展位で挙上すると膝関節が屈曲(髄膜刺激症状)
・Lasegue徴候 下肢を伸展位で挙上すると大腿後面に放散痛(L5,S1ヘルニアによる坐骨神経痛)
・Thomasテスト 下肢を屈曲挙上し大腿を腹部に近づけると対側股関節が屈曲(股関節拘縮)
・Homans徴候 下腿を伸ばして足を背屈させたときに疼痛(深部静脈血栓症)
・Lowenberg徴候 腓腹部を圧迫して疼痛(深部静脈血栓症)
・Allenテスト 撓骨動脈にライン確保するとき、尺骨動脈からの血流があるかを調べる。2本とも圧迫して尺骨だけ圧迫解除したとき手がピンクになればOK
・Trousseau徴候:テタニーでマンシェット巻くと助産婦の手になる
・Chvostek徴候:テタニーで下顎を叩くと口輪筋収縮
・Saint3徴:肥満女性では、食道裂孔ヘルニア、胆石、大腸憩室が起きやすい
・Barre徴候:腹臥位で下腿を挙上させると患側がだんだん低下してくる(下肢のBarre)、錐体路徴候

公衆衛生ポイント

公衆衛生ポイント

・出生107万、死亡120万、婚姻70万、離婚25万
・総再生産率:0.67(1人の女性が一生に産む女児の数)→母体の死亡を考慮したものが純再生産率0.66
 合計特殊出生率:1.39(1人の女性が一生に産む子供の数)
・合計特殊出生率
国内のトップは沖縄>九州、最下位は奈良>秋田>京都>北海道>東京
世界のトップはアメリカ、フランス、最下位はイタリア、ドイツ、日本
・出産年齢は30才がピーク、20代は減少、30代は増加
・死亡統計にはWHOの国際疾病分類(ICD)が用いられる
・65才以上の死亡割合:日本、スウェーデンがトップで85%
・PMI:全死亡における50才以上の割合→日本95%
・年齢調整死亡率:標準の年齢人口構成にしたときの死亡者の割合(もし標準集団だと何人死んでいるか)(標準集団×観察集団死亡率)
・粗死亡率は高齢化が進んだので増加、年齢調整死亡率は医療が進んだので減少
・年齢調整死亡率:男5.4、女2.7(人口1000対)
 粗死亡率:男10.3、女8.7(人口1000対)
・標準化死亡比SMR:観察集団死亡数/期待死亡数、期待死亡数=観察集団×標準集団死亡率(もし標準死亡率だと何人死んでいるか、年齢調整と逆)
・標準化罹患率:標準集団×観察集団罹患率
・死亡率は国内でその疾患で死ぬ割合、致命率はその疾患になった人がそれで死ぬ割合(狂犬病の死亡率は0%、致命率は100%)
・平均余命:x才の人があと何年生きるか
 平均寿命:0才の人があと何年生きるか(0才の平均余命)→男79才、女86才
・平均初婚年齢:男30才、女28才、夫婦の年齢差は縮小傾向(歳の差カップルが報道されるのは珍しいから!)
・離婚率:2(人口1000対)、同居5年以内が35%、15年以上が27%(ロシアの離婚率は4.99で世界トップ)
・死産比=死産/出生、死産率=死産/出産、出産=死産+出生
・妊産婦死亡率:妊娠中~妊娠終了6週までの母体の死亡、4.8(出産10万対)
・周産期死亡率:妊娠22週~生後1週まで児の死亡、4.2(出産1000対)
・早期新生児死亡率0.8、新生児死亡率1.2、乳児死亡率2.4(出産1000対)
・総人口1億3000万人、男:女=95:100
・人口ピラミッドはひょうたんに近いつぼ型
・老年人口(65才以上)は23%、年少人口(14才まで)は13%→生産年齢人口は残りの64%
年少人口指数=年少人口/生産年齢人口=13/64=20%
老年人口指数=老年人口/生産年齢人口=23/64=36%
従属人口指数=年少人口+老年人口/生産年齢人口=56%
老年化指数=老年人口/年少人口=23/13=175%
・前期老年人口:1400万人(13%)、後期老年人口:1300万人(10%)→合計23%
・老人の単独世帯の増加で、世帯数は増加傾向(4860万世帯)、平均世帯人員は減少傾向(2.59人)→核家族は減少傾向
・死因順位:1位:悪性新生物30%、2位:心疾患16%、3位:脳血管疾患11%、4位:肺炎10%、5位:老衰、6位:不慮の事故、7位:自殺
・悪性新生物、心疾患、肺炎は増加傾向(年齢調整死亡率は全て減少傾向)
・年齢別死因:0~4才:先天奇形、染色体異常、5~9才:不慮の事故、10~14才:悪性新生物、15~39才:自殺、40~89才:悪性新生物、90~99才:心疾患、100才~:老衰
・悪性新生物:男は肺>胃>大腸>肝>膵、女は大腸>乳>肺>胃>膵(年齢調整死亡率)、粗死亡率は女だけ違って大腸>肺>胃>膵>乳>肝、胃癌と子宮癌は減少傾向、悪性新生物がなくなると平均寿命は4年伸びる(通常、悪性新生物の死亡順位と言えば粗死亡率を指す)
・脳血管疾患:脳梗塞>脳出血>SAH
・肺炎の大部分は80才以上の誤嚥性肺炎→対策は座位での食事、口腔内ケア、粘性の食事
・不慮の事故:0才と75才以上は窒息(うつぶせ寝と餅)、1~74才は交通事故→全体では窒息が最多、ついで交通事故(減少傾向)
・自殺:H22は3万人を切った、男は経済苦、女と老人は健康苦、総数では健康苦、厚労省統計では秋田、警察統計では山梨が最多
・自殺の国際比較:ハンガリー、ロシア、日本
・健康の定義:WHO憲章では、身体的、社会的、精神的に良好な状態、1999年総会では霊的も加わる
・疾病統計(しっぺいとうけい)
国民生活基礎調査:3年ごと、世帯調査、層化無作為抽出(サンプリング)、有訴者率、通院率、介護状況、世帯所得
患者調査:3年ごと、病院対象、層化無作為抽出(サンプリング)、受療率、在院日数
国民健康栄養調査:毎年11月、健康増進法に基づいて保健所が実施、世帯調査、層化無作為抽出(サンプリング)、身体状況、栄養摂取量、生活習慣
・受療率:入院は精神疾患(統合失調症)が1位、外来はう歯を含む消化器疾患が1位
・入院の6割、外来の4割が65才以上
・平均在院日数は18.8日と長い→病床あたりの医師数、看護師数は低い、しかし人口あたりの医師数、看護師数は英米と同じ水準
・国民医療費35兆円、介護保険は含まない、国民医療費の半分以上は65才以上、国民所得の9.9%、GDP比8.5%(OECD諸国では中位、最高はアメリカの17%)
・国民医療費の財源:保険料が49%、公費37%、患者負担14%
・入院外医療費(37.7%)>入院医療費(36.8%)
・医療費で最も高いのは循環器疾患20%、悪性新生物は12%
・医療費に含まれないもの:正常妊娠、正常分娩、差額ベッド、健康診断、予防接種、義肢義眼、介護保険による費用
・院外処方が増えたので医療費における薬剤比率は低下
・疫学の有益度:コホート、介入研究>症例対照研究、メタアナリシス
・人年法:1万人を10年間追跡して10人が発症→10/1万人10年=1/1万人年、1年の途中では0.5年とカウントする
・相対危険度=リスクありのときの発生率/リスクなしのときの発生率
 寄与危険度=リスクありのときの発生率-リスクなしのときの発生率
・コホート研究(前向き研究):喫煙する人しない人を100人ずつ集めてきて、今後50年間肺癌になるかを調べる→時間と費用がかかる、稀な要因にも有効、稀な疾患だと徒労に終わる、罹患率がわかる
・患者対照研究(後ろ向き研究、CaseContorolStudy):肺癌患者100人のカルテを読んで、肺癌患者の内、何人が喫煙者か調べる→時間と費用がかからない、稀な疾患にも有効、記億が曖昧で因子の有無が定かでない、寄与危険度が不明、相対危険度はオッズ比で推測
・メタアナリシス:個々の研究を集めて分析する
・ハイリスクアプローチ:高血圧患者に降圧薬を飲ませて脳血管障害がどれだけ減るか調べる、リスクの高い集団に介入してアウトカムを得る研究
・1次予防:予防(罹患率の低下を目指す)→ワクチン、健康増進、転倒防止、健康教育、食生活改善
 2次予防:早期発見(死亡率の低下を目指す)→健診、がん検診、メタボ検診(特定健康診査)マススクリーニング
 3次予防:増悪させない→リハビリ、DMのインスリン療法、不眠症のカウンセリング、肺気腫の禁煙指導、高血圧の降圧剤
・がん健診:効果判定は介入研究(コホートなんてできない→がん健診を受けないでどうなるか実験できないから)、2次予防、胃癌、肺癌、大腸癌、乳癌は40才から、子宮頸癌は20才から
・プライマリヘルスケア:健康教育、家族計画(多産多子は母体の負担)、食料の確保、医薬品の確保、上水道の完備、予防接種
・WHO宣言
アルマアタ宣言:発展途上国のプライマリヘルスケアについて、上水道の完備をしましょう
オタワ憲章:先進工業国のプライマリヘルスケアについて、生活習慣病を防ぎましょう
・スクリーニングテスト:2次予防、検査だけでなく、診察、医療面接でも行う
・スクリーニング(疾患除外)は感度の高い検査、確定診断は特異度の高い検査を使う
・疫学の用語(定義をはっきりさせると良い)
感度:病気の人が陽性になる確率
特異度:病気でない人が陰性になる確率
陽性的中率:検査陽性の人が病気である確率
陰性的中率:検査陰性の人が病気でない確率
偽陽性率:1-特異度(病気でないのに陽性の確率)
偽陰性率:1-感度(病気なのに陰性の確率)
尤度比:感度/1-特異度
検査前確率:有病率
検査後確率:検査陽性の人が病気である確率、検査陰性の人が病気である確率(検査結果を踏まえてその人が病気である確率)
・メタボ診断基準
男85cm、女90cm、内臓脂肪面積100c㎡以上が前提で、①血圧130/85、②TG150以上/HDL40以下、③FBS110以上のうち2項目以上
・メタボ診査(特定健康診査):医療保険者(市町村、企業)に実施義務、高齢者医療確保法、40~74才が対象、特定保健指導は初回面接20分以上/8人以下に80分以上、医師、看護師、管理栄養士が行う、6ヶ月後に改善状況を確認
・肥満は男の31%、女の22%、糖尿病2200万人
・至適血圧120/80、正常血圧130/85未満、正常高値血圧140/90未満、Ⅰ度高血圧140/90以上、Ⅱ度高血圧160/100以上、Ⅲ度高血圧180/110以上
・アルコール依存症:CAGE2/4以上で精査必要、純アルコール20g/日以下はHDL↓、大量飲酒者(純アルコール150ml/日以上)は240万人、アルコール依存症は13000人、アルコール精神病は2000人、飲酒習慣(週3回以上)は男37%、女7%(女は増加傾向)、依存症はアルコール精神病に含まれない、アルコール幻覚は幻聴
・喫煙率:男37%、女性12%(男は減少傾向、女は20代30代で増加傾向)
・男:欧米より多くてアジアより少ない
 女:欧米より少なくアジアより多い
・タール、ベンゾピレンに発癌性、ニコチンに習慣性、発癌物質60種類
・胃潰瘍、骨粗鬆症は喫煙もリスク、喫煙のRRは肺癌5倍、喉頭癌30倍
・禁煙外来:禁煙宣言書、きっぱり断煙、周囲の励まし、灰皿の除去
・健康日本21:健康増進法に基づく1次予防、寝たきりを予防し健康寿命の延長を目指す、健康手帳の交付、健診は含まれない、市町村が地域ごとに計画、具体的数値目標を設定し個人の努力を促す、①栄養、②運動、③休養、④分煙、⑤アルコール、⑥8020運動(80才以上では歯は男10本/女8本が現実)、⑦糖尿病、⑧循環器病、⑨がん登録
・トータルヘルスプローモーション:労働者の健康維持、産業医が検診、問題があれば各担当者(運動指導担当者、産業保健指導担当者、心理相談担当者、産業栄養指導担当者)が指導
・低出生体重児が増加、男児8.5%、女児10.8%(女児は強いので低出生でも生きる)
・妊産婦死亡率4.8(出産10万対)、原因:弛緩出血、子宮破裂、脳出血、羊水塞栓
・周産期死亡率4.2(=早期新生児死亡+22週以降の死産)(出産1000対)、母体原因:胎盤、臍帯、卵膜の異常、胎児原因:先天奇形/染色体異常
・早期新生児死亡率0.8(出産1000対)、原因1位:先天奇形/染色体異常
 新生児死亡率1.2(出産1000対)、原因1位:先天奇形/染色体異常、2位:呼吸循環障害、3位:出血
 乳児死亡率2.4(出産1000対)、原因1位:不慮の事故、2位:呼吸循環障害、3位:SIDS
 幼児死亡の原因1位:先天異常、2位:不慮の事故、3位:悪性新生物
・死産:妊娠満12週以降の死児の出産、死産は父親が届け出る
・人工妊娠中絶(22週未満)は年間25万件、20才未満は年間3万件、12週未満が95%→人口動態における人工死産は12週以降を指すので25万件の5%の12500件/100万→人工死産14.5>自然死産11.7(出産1000対)、合計3万件
・人工死産率が最高は15~19才、最低は30~34才、自然死産率が最高は45~49才、最低は25~29才
・新エンゼルプラン:少子化対策、具体的数値目標を設定
・健やか親子21:具体的数値目標を設定
①思春期の保健教育:10代の自殺率、中絶率、性病率を減らそう
②出産の安全性:妊産婦死亡率、産後うつ病を減らそう、産婦人科医や助産師を増やそう
③小児保健医療の向上:低出生、不慮の事故、妊婦の喫煙率を減らそう
④子供の発達と育児不安の解消:虐待を減らそう、出産後1Mの母乳栄養、親子の心理に対応できる小児科医を増やそう
・母子保健法:
保健所→低出生体重児2500g未満への訪問指導、小児慢性特定疾患への訪問指導
市町村→健康診査、葉酸摂取、母子健康手帳の発行、出生届受理、未熟児養育医療、必要に応じ母子健康センターを設置
健康診査:妊産婦(23週までは4週、24~35週までは2週、36週以降は1週に1回、産褥1ヶ月に1回)、乳児、幼児(1才6ヶ月、3才)→市町村が行う
国籍にかかわらず、妊娠連絡票を病院が発行→母子健康手帳を市町村が発行、母子健康手帳は妊娠出産育児の健康記録
市町村が妊婦の葉酸0.4mg/日摂取指導
出生届は14日以内、死亡届は7日以内に市町村役場へ提出(戸籍法)
・出生証明書は医師、助産師(医師法)
・未熟児養育医療:2000g未満、1才未満、医療費免除、実施は保健所の設置市区
・自立支援医療(育成医療):身体障害児、18才未満
・育児休業基本給付金:国民健康保険/社会保険、育児休業中に支給
 育児休業者職場復帰給付金:国民健康保険/社会保険、育児休業終了6ヶ月後に支給
 出産育児一時金:国民健康保険/社会保険、35万円支給
・産後産前の休暇:労働基準法、出産予定日の6週前~出産8週後は「休める」、出産から6週後までは「休まないといけない」
・母体保護法
人工妊娠中絶、命令をもって定める不妊手術、翌月10日までに知事に報告
人工妊娠中絶は都道府県医師会が指定した母体保護法指定医が行う、胎児適応なし、死児のときは都道府県医師会指定医でなくてもよい、年間25万件、20才未満は年間3万件、12週未満が95%
・児童相談所
児童福祉法に基づき、都道府県、政令指定都市に設置、児童福祉施設ではない
一時保護、虐待相談、虚弱児相談、障害児相談、非行相談、不登校相談
・児童福祉施設:助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、児童養育施設、児童自立支援施設、知的障害児施設
・老人保健法
健康手帳の交付、40才以上は基本健康診査(問診、身体測定、血尿、検尿、血液、血糖、心電図、眼底、肝炎ウィルス、受診指導、歯周病、骨粗鬆症)、訪問指導
現在は、高齢者医療確保法による特定健康診査(メタボ検診)/後期高齢者健康診査、健康増進法による骨粗鬆検診/肝炎ウィルス検診/歯周疾患検診/がん検診に分かれた
・ゴールドプラン21
活力ある高齢者像、高齢者の尊厳の確保と自立支援、支えあう地域社会、信頼ある介護サービス
・精神保健福祉法
精神障害者保健福祉手帳は1~3級で2年ごとに認定、精神保健指定は厚生大臣が指定、措置入院は0.6%
精神保健福祉センター:都道府県に1つ→訪問指導は保健所が担当(センターは都道府県に1つなので無理)、アルコール依存相談、薬物依存相談、認知症相談、引きこもり相談、家庭内暴力相談、保健所への技術指導、調査研究、デイケア(医療保険)
精神科病床:35万床、民間が多い、利用率89%、平均在院日数350日、入院は統合失調症が最多、外来は気分障害が最多
・学校安全保健法
生徒、職員の健康増進(産業医ではない)、学校の安全管理
学校定期健康診断:心電図は小中高各1年、胸部X線は高1(被曝するので義務教育中はしない)、検尿や視力は各学年、色覚検査はしない、聴力は小4,6中2高2以外
学校医:学校保健安全計画、学校定期健康診断、生徒の健康相談、校長の求めにより救急処置、設置者の求めにより就学時健康診断や職員健康診断
出席停止は校長、学校閉鎖や学級閉鎖は設置者の権限(校長ではない)
・学校伝染病の出席停止期間
流行性角結膜炎:医師により伝染のおそれがないと認められるまで
咽頭結膜熱:主症状消失後2日まで
インフルエンザ:解熱後2日まで
麻疹:解熱後3日まで
風疹:発疹消失まで
流行性耳下腺炎:耳下腺腫脹消失まで
水痘:全ての発疹が痂皮化するまで
第1種学校伝染病(1類、2類):治癒するまで(新型、H1N5→鳥インフルエンザなど)
・保険所
地域保険法に基づき都道府県、政令指定都市、政令で定める市区に設置、所長は医師以外でも可能
人口動態統計、公衆衛生、保健師関連、母体/乳幼児/老人の衛生、歯科衛生、精神衛生、結核/性病/伝染病
・市町村保健センター
地域保険法に基づき市町村は市町村保健センターを設置することができる、所長は医師である必要はない、市町村の健康づくり、母子保健や老人保健の拠点
・医師法:公衆衛生の向上、応召の義務、異状死体の届出、処方箋、診療録の義務、臨床研修の義務、ただし「保険医は厚生労働大臣が定める治療以外はしてはならない」は保険医療養担当規則(医師法ではない)
・守秘義務は刑法が規定∴違反すると刑事罰
・医師届出義務
異状死体、異状死産児:医師法、24時間以内に警察署長
死亡診断書、死体検案書:医師法、死亡後7日以内に死亡届に添付して市町村に提出→埋葬許可証が発行される
麻薬:麻薬取締法、速やかに知事
1~4感染症:感染症法、直ちに保健所長
5類感染症:感染症法、7日以内(梅毒,HIV)に保健所長
食中毒:食品衛生法、直ちに保健所長
診療所開設:医療法、開設後10日以内に保健所長
人工妊娠中絶、不妊手術:母体保護法、翌月10日までに知事
・診療録
医師法により規定、医師だけでなく看護師なども記入、保存期間5年間(検査記録は2年間)、修正液で消すことは避ける→2重線+押印で訂正
・死亡診断書は医師、歯科医師が発行、死体検案書は医師のみ
・自殺、他殺は「その他および不詳の外因死」(不慮の外因子ではない!)
・ソーシャルワーカー、ケースワーカー、ケアワーカー、ケアマネージャー、ホームヘルパー、准看護師は国家資格ではない、准看護師は知事が任命
・医師数:225人/10万(286万人)、毎年7500人卒業、研修医は15000人
 看護士数:935人/10万
・平均入院日数:18日→100病床あたりの医師数が少ない(日本15.6、アメリカ78.4)、しかし人口あたりの医師数はアメリカと同数(日本2.15、アメリカ2.43)
・医療法:医療施設、医療計画、医療広告の制限、インフォームドコンセント、クリニカルパスについての法律
特定機能病院:医療法、高度の医療技術の開発と教育、救急医療を行う義務はない、大学病院、国立循環器病センター、国立がんセンター、府立成人病センターなど
診療所開設:医療法規定、臨床研修終了医師であれば許可の必要はない、開設後10日以内に保健所に届出
薬局:保険薬局(院外薬局)は健康保険法で規定、院内薬局(調剤所)は減少傾向、医薬分業が60%以上、薬剤師は薬剤師法
・医療圏(医療法)
1次医療圏:かかりつけ医
2次医療圏:都道府県内で完結するように→この中に初期/2次/3次救急が入る
3次医療圏:高度専門医療(特定機能病院、救命救急センター、母子医療センター)
・医療計画(医療法)
都道府県が作成、地域の医療資源の有効活用、2次医療圏の病床数をコントロール、医療費削減や医師数に関する規定はない、5年ごとの見直し
・医療安全支援センター:医者、病院に関する苦情受付、患者への医療情報の提供、都道府県、政令指定都市、特別区に設置
・憲法第25条:全ての国民は健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する
・生活保護
福祉事務所が実施、ケースワーカーが担当、200万人以上、保護理由で「世帯主の傷病」は40%以下、ジニ係数(所得の不平等さを反映)はOECD中最低、しかし貧困率(可処分所得が平均の50%以下の人の割合)は15.7%でOECD諸国中ワースト4位
・医療保険
社会保険か国民健康保険のどちらかに全員が加入(国民皆保険)、社会保険は健康保険法、国民健康保険は国民健康保険法が規定、保険者は利潤追求できない
被用者保険(社会保険):職域保険、59%を占める、保険者は政府、健康保険組合、共済組合、大正11年制定(国民健康保険の保険者は市町村であって、健康保険組合ではない!)
国民健康保険:地域保険、41%を占める、保険者は市町村、昭和13年制定(国民皆保険になったのは昭和13年以降)
退職者保険:65才~75才の退職者は国民健康保険と社会保険でまかなう
後期高齢者医療制度:75才以上、保険料は納入する、保険料10%、現役世代からの保険金40%、公費50%(全部で6.6兆円)
・医療費:原則3割、3才未満は2割負担、75才以上は1割(一定所得ある人は3割)、保健医療なら上限は5~10万円(残りは公費負担)
・公費医療
児童福祉法:小児慢性特定疾患
予防接種法:副反応
身体障害者福祉法:自立支援医療(育成医療)→児童福祉法ではない
生活保護法:医療扶助
母子保健法:(未熟児)養育医療
精神保健福祉法:措置入院
石綿:じん肺法
・老人福祉法:介護保険が使えない老人への福祉、都道府県、市町村は老人福祉計画を立案、老人介護福祉センターは相談助言
・介護保険
強制加入、保険者は市町村、地域ごとに保険料が違う、被保険者は40才以上、ケアプランは本人またはケアマネージャーが作成、施設サービスは要介護のみ、要支援は介護サービス受けられない、40~64才は特定疾患(癌、RA、パーキンソン、膝股関節変形症)がある場合のみ介護保険を給付
・地域包括支援センター
介護保険法に基づき市町村に設置、高齢者への虐待防止、要支援の人に対する介護予防、保健師、ケアマネージャー、社会福祉師が置かれる
・介護保険の施設サービス(要介護対象)
指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム):生活ができない認知症、寝たきり、一度入ると死ぬまで入る→リハビリはしない
介護老人保健施設(老人保健施設):PT,OTのもと在宅を目指してリハビリ
指定介護療養型医療施設:医療依存度が高い人、病院を介護中心に変えたもの、介護保険
療養病床群:一般病院の中に介護病床を併設したもの→医療保険の適応、機能は指定介護療養型医療施設と同じ
・第1号被保険者(65才以上)の介護保険料は3年に1度見直し、地域ごとに異なる、要介護5で35万円分給付(あとは5万円ずつ減)
・新障害者プラン:5カ年計画、リハビリ、ノーマライゼーションを目指す、身体障害、知的障害、精神障害
・障害者自立支援法:9割給付、給付で最も多いのは内部障害の人工透析、身体障害で最も多いのは肢体不自由、身体障害に温痛覚障害は含まれない、精神保険福祉法の精神科医療と身体障害者福祉法の更生医療と児童福祉法の育成医療を一本化したもの
・身体障害者福祉法
身体障害児10万人、身体障害者348万人、肢体不自由が約半数、原因は疾病20%、事故10%、加齢5%、身体障害者手帳は福祉事務所が発行、肢体不自由児施設は児童福祉法で規定
・知的障害:55万人、発達障害、高次脳機能障害
・身体障害者手帳:福祉事務所が発行、1~6級
・国際生活機能分類(ICF):WHOによる障害の分類、全ての人の健康状態を評価する
①機能障害:生物レベル、機能の欠損(脳血管障害による片麻痺)
②能力障害:個人レベル、日常生活動作の制約(片麻痺による衣服着脱困難)
③社会的不利:社会レベル、社会参加の制約(片麻痺による職場配置転換)
・日常生活動作:独立生活に必要な基本動作、食物摂取、排泄、衣服の着脱、入浴、屋外歩行
・水道:上水道普及率98%、下水道普及率74%(欧米より低い)、塩素消毒によるクロロホルム(トリハロメタン)の発生、塩素消毒できないクリプトスポリジウムが問題、大腸菌は一切検出されてはいけない、一般細菌は100コロニー/ml以下
・食品衛生法:乳幼児のおもちゃについても規定、食料自給率はエネルギーベースで40%(仏は120%)、保健機能食品は消費者庁が規定、特定機能食品には栄養機能食品と特定保健用食品(薬剤基準で作られる)がある、特定用途食品には病院食や妊産婦/嚥下困難者用食品や特定保健用食品がある
・食中毒:
食品衛生法により直ちに保健所長に届出
夏はビブリオ、冬はノロ
死亡例はふぐのテトロドトキシン(耐熱性、血液、卵巣、肝臓)による
件数は細菌性、患者数はウィルス性が多い、細菌の件数トップはカンピロバクター、患者数トップはサルモネラ、ウィルスは件数患者数ともにノロウィルス
潜伏期は最短はブ菌で3hr~、最長はカンピロバクターで2日~
・公害:環境基準法
第一種:誰が原因か特定できない→四日市喘息(SO2)
第二種:誰が原因か特定できる→水俣病(有機水銀、熊本水俣湾、新潟阿賀野川)、イタイイタイ病(Cd、富山県神通川)、慢性ヒ素中毒(宮崎県土呂久地区)
・生物濃縮:有機水銀(メチル水銀)、ダイオキシン、PCB、DDT、BHC→脂溶性、化学的安定、急性中毒なし
・水俣病(有機水銀中毒):Hunter-Russell症候群、求心性視野狭窄、小脳失調、感覚障害、難聴(「水俣病は九州かな?」)
・イタイイタイ病(Cd中毒):近位尿細管障害→Fanconi症候群→骨軟化症、蛋白尿
・慢性砒素中毒:皮膚癌、色素沈着、肺癌、多発神経炎、鼻中隔穿孔(鼻中隔穿孔は6価クロムも)
・カネミ油事件:PCB(ポリ塩化ビフェニル)が米ぬかに混入、塩素坐そう、新生児黒皮症、肝障害
・ダイオキシン:低温の焼却炉、タバコ、自動車排ガス→母乳や食物を介して発がん、催奇形性、環境基準法ではなくダイオキシン特別措置法
・内分泌かく乱物質:ダイオキシン、PCB、DDT、アルキルフェノール(洗剤、殺虫剤)、フタル酸エステル(ビニール)、トリブチルスズ(魚網)
・シックハウス(化学物質過敏症):ホルムアルデヒド(木材殺菌)、トルエン(尿中馬尿酸)、キシレン(尿中メチル馬尿酸)、環境濃度が正常でも否定できない(中毒ではなく過敏症だから∴環境濃度尿中濃度測定はあまりしない)
・大気汚染:大気汚染防止法
二酸化硫黄SO2:四日市喘息
二酸化窒素NO2:化石燃料(ボイラー、車)
一酸化窒素CO:車
浮遊粒子状物質SPM:トラック(ディーゼル車)
光化学オキシダント:紫外線でNOxや揮発性有機化合物VOC(ベンゼン、トリクロロエチレン、フロン)が変化し、オゾンやアルデヒドができる(=光化学オキシダント)(フロンがオゾンホールを破壊→紫外線↑→活性酸素↑→光化学オキシダント↑もある)
・CO2は京都議定書、ダイオキシンはダイオキシン特別措置法→環境基準法ではない
・水質環境基準:シアン、アルキル水銀、PCB→検出されないこと(0bpm)
・水質基準は水道法、環境基準は環境基準法、排水基準は水質汚濁防止法
・地球温暖化→水没地域の増加→蚊の発生↑→マラリア、デング熱↑
・地球サミット:
ストックホルム宣言:人間環境宣言
リオデジャネイロ宣言:環境開発宣言
・環境保全条約
ラムサール条約:水鳥保護
ワシントン条約:絶滅動物取引禁止
バーゼル条約:産業廃棄物の海外廃棄禁止
ロンドン条約:海洋汚染禁止
ウィーン条約、モントリオール議定書:オゾン層保護
・ゴミ最終処理場:面積は減少してるが、それ以上にゴミが減少→残余年数は増加傾向!
・医療廃棄物:特別管理廃棄物(感染の恐れのあるもの)
特別管理一般廃棄物:血液の付着したもの
特別管理産業廃棄物:メス、注射針(怪我するもの)
・マニフェスト制度:医療廃棄物の委託業者がきちんと処分しているかどうかチェックするシステム
・産業医
労働安全衛生法で規定、医師資格+厚労大臣認定研修
常時50人なら嘱託医1人、常時1000人なら専属医1人(有害業務なら500人)
主な業務:健康診断(年1回、特殊は半年に1回、産業医の義務ではない)、職場巡視(月1回)、衛生委員会出席(月1回)、疫学調査、衛生教育、健康相談
産業医の業務でないもの:統括安全衛生管理(工場長)、作業環境測定(作業環境測定士)、業務上疾病の認定(労働基準監督署)、疾病の管理(臨床医)
・労働衛生3管理:作業環境管理、作業管理、健康管理
・管理濃度:労働安全衛生法、第1管理区分(適切)、第2管理区分(改善余地)、第3管理区分(不適切)
・許容濃度:日本産業衛生学会勧告、労働者に影響を及ぼさないであろう濃度、天井値はどの時点でも超えてはならない濃度、短時間曝露限界値は15分間で超えてはならない濃度合計
・労働災害補償保険(労働保険):保険者は政府、被保険者は全労働者、保険料は事業者負担(強制加入)、労災指定病院では自己負担なし、遺族補償金銭給付、過労死への給付、労災認定は労働基準監督署
・労働災害は交通事故よりも少なく減少傾向、死傷者は製造業や建設業が最多、述べ労働時間あたりの死傷者は運搬業が最多、業務上疾病では災害性腰痛が最多(→作業内容聴取、作業時姿勢の改善、ただし安静臥床は必要でない)
・塵肺健康診査:3年に1回、管理区分2(Xp所見あり)では毎年、作業歴聴取と胸部Xp→所見ありならスパイログラフィー→異常ありならツ反や喀痰細胞診、管理区分1(所見なし)、管理区分2(Xp所見あり)、管理区分3(作業転換)、管理区分4(療養)
管理区分はじん肺審査医の意見を参考に都道府県労働局長が決定(産業医ではない)
・金属中毒
鉛:乾電池、車のバッテリー、七宝焼き、塗装(鉛とクロム)、症状はヘムの合成障害(鉄芽球性貧血)、撓骨神経麻痺、鉛脳症、麻痺性イレウス(鉛穿通)、血中鉛↑、尿中δALA↑(∵鉛はδALAD阻害)
有機鉛(アルキル鉛):ガソリンに含まれていた、小球性貧血、精神神経症状
ヒ素:殺鼠剤、半導体製造、皮膚色素沈着、皮膚癌、鼻中隔穿孔、肺癌、多発神経炎
クロム(特に6価クロム):クロムメッキ、皮なめし、接触性皮膚炎、鼻中隔穿孔、肺癌、多発神経炎
マンガン:乾電池製造、大脳基底核沈着でPakinsonism
ベリリウム:皮膚や肺に肉芽腫
金属ヒューム(銅、亜鉛):肺水腫
・有機溶剤:脂溶性で肝代謝→肝障害
ベンゼン:ガソリンに含まれる、再生不良性貧血、白血病、尿中フェノール↑
トルエン:シンナー(塗料を溶かす溶媒)、接着剤、中枢神経抑制、尿中馬尿酸↑(ただし1日くらいで代謝されるので、休日明けに尿中濃度を測定しても意味が無い)
キシレン:尿中メチル馬尿酸↑以外はトルエンと同じ
スチレン:ゴムの合成、粘膜刺激症状、尿中マンデル酸↑
トリクロロエチレン:IC洗浄剤、ドライクリーニング、肝障害、尿中三酸塩化物↑
四塩化炭素:塩化ビニル可塑剤、肝障害
N-ジメチルホルムアルデヒド:尿中Nメチルホルムアルデヒド↑
・ガス中毒
CO:HbCOはピンク色なのでチアノーゼがでない、治療は高圧酸素療法
シアン(青酸、CN):メッキ、ミトコンドリアのチトクローム酸化酵素阻害→細胞内呼吸障害→SpO2正常でチアノーゼ出ない、治療は亜硝酸+チオ硫酸法
硫化水素(H2S):チトクローム酸化酵素障害、肺水腫、死体は緑色調の暗紫赤色の紫斑、自殺目的→空気より重いので階下の人も巻き添え、下水道事故→仲間を助けようとして巻き添え、下水道工事では作業場の酸素濃度(18%以上ないと酸素欠乏)と硫化水素濃度の測定が義務(労働安全衛生法)
・農薬中毒
パラコート:除草剤、口腔粘膜/消化管粘膜びらん→肺水腫→肺線維症(2週間後)→呼吸不全で死亡、肺線維症へ進行させるので酸素投与は禁忌、対症療法のみ(胃洗浄、血液吸着、血液透析)
有機リン剤(パラチオン、スミチオン):殺虫剤、ChE阻害→Ach過剰→NMJ異常興奮+副交感神経異常興奮→けいれん、縮瞳、流涙、流延(りゅうえん)、発汗(発汗は交感神経支配だが伝達物質がAchなので)、血中ChE低下、治療はアトロピン、PAM
カーバメイト:有機リンとほぼ同じだが症状は軽く、PAMは無効、治療はアトロピンのみ
有機塩素剤(DDT,BHC):生物濃縮を起こす、中枢神経症状(けいれん)
・職業がん:離職後も定期健康診断、発がんすれば労災保険適応、最多は膀胱癌
膀胱癌:ナフチルアミン、ベンチジン、アミノジフェニル、ニトロジフェニル、オーラミン、マゼンダ
肺癌:ヒ素、6価クロム、クロロメチルエーテル、ニッケル、コールタール、石綿
白血病:ベンゼン
皮膚癌:ヒ素
肝血管肉腫:塩化ビニルモノマー(他にSSC、末節骨融解)
肝血管腫:ピル(E↑)
肝細胞癌:アフラトキシン
・医療施設
診療所:19床以下、医療法
病院:20床以上、医療法
特定機能病院:医療法、高度先進医療、大学病院、国立循環器病センター、国立がんセンター、府立成人病センターなど
地域医療支援病院:医療法、都道府県に設置、かかりつけ医の支援、MRIの共有、かかりつけ医の代わりに救急医療
市町村保健センター:地域保健法、市町村に設置、市町村レベルの健康づくり
地域包括支援センター:介護保険法、市町村に設置、高齢者への虐待防止、要支援の人に対する介護予防、保健師、ケアマネージャー、社会福祉士が置かれる
医療安全支援センター:医療法、医者、病院に関する苦情受付、患者への医療情報の提供、都道府県、政令指定都市、特別区に設置
母子健康センター:母子保健法、健康診査、葉酸摂取、母子健康手帳の発行、出生届受理、市町村が必要に応じ設置
精神保健福祉センター:都道府県に1つ→訪問指導は保健所が担当(センターは都道府県に1つなので無理)、アルコール依存相談、薬物依存相談、認知症相談、引きこもり相談、家庭内暴力相談、保健所への技術指導、調査研究、デイケア(医療保険)
老人介護福祉センター:市町村に設置、市町村は老人福祉計画を立案、相談助言
救急医療情報センター:都道府県に設置、救急医療の情報収集
cf)センターは市町村に設置、例外は精神保健福祉センター、医療安全支援センター、救急医療情報センターで都道府県に設置
・救急医療機関(全て2次医療圏に入る)
初期救急医療機関:休日夜間急患センター、在宅当番医
2次救急医療機関:24時間体制の病院群輪番
3次救急医療機関:救急救命センター(都道府県ごとに設置)
・在宅医療:在宅酸素療法は心不全患者には用いない、訪問診療は定期的、往診は不定期
・2国間協力:日本は2国間、有償、ひも付き(タイド援助)が多い
JICA(国際協力機構):金と技術を供与、外務省独立法人でODA実行部隊、理事長は緒方貞子
JBIC(国際協力銀行):金だけ
・多国間協力
WHO(世界保健機構):世界の保健衛生、本部ジュネーブ、日本は西太平洋地域、標準化国際疾病分類ICD10を作成して診断の標準化と疫学統計、ポリオ根絶目標(西太平洋地域では根絶)、マラリア対策、日本の負担金は20%で2位
ILO(国際労働機関):労働者の健康保護、男女雇用均等、児童労働撲滅、本部ジュネーブ
FAO(国際連合食糧農業機関):食料安全保障、飢餓からの解放、本部ローマ
UNICEF(国連児童基金):子供の緊急援助、子供の権利、本部ニューヨーク
UNESCO(国連教育科学文化機関):世界遺産、「戦争は人の心で生まれる」、本部パリ
・世界の保健動向:乳児死亡の原因はマラリア、感染性下痢。結核は増加傾向、HIVはサハラ以南アフリカで異性間感染多い(3300万人の7割がサハラ以南)、5才未満の死亡率は世界的に減少(原因は呼吸器感染、マラリア、下痢)
・感染症法:1~4類は直ちに、5類は7日以内に保健所に報告
1類:(南米)出血熱、(エ)ボラ、(ラ)ッサ、(ペ)スト、(痘)瘡、(ク)リミアコンゴ、(マ)ールブルグ、「南米1のえらいペットは熊」、
2類:(鳥)インフルエンザ(H5N1)、(ジ)フテリア、(S)ARS、(ポ)リオ、(結)核、「鳥は時差ぼけ」
3類:細菌性(赤)痢、(チ)フス、パラ(チ)フス、(O)-157、(コ)レラ、「赤いチ◯コ」
4類:動物を介して感染するもの
5類:全数把握と定点把握(インフルエンザ、性器クラミジア、MRSA、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、RSウィルス、など)
・感染症発生件数が数百件:ツツガムシ、レジオネラ、梅毒、赤痢(細菌性、アメーバ性)
・新興感染症:1970年以降に発見、WHOが報告、レジオネラ、O157、Hピロリ、HHV6、H5N1、HTLV1、HIV、プリオン、西ナイルウィルス、エボラ出血熱
・再興感染症:マラリア、デング熱、狂犬病、MRSA、VRE、ペスト、コレラ、結核
・検疫感染症:1類全て、2類のH5N1とSARS、4類のマラリアとデング熱
・年間感染症患者数:感染症発生動向調査が毎週報告(感染症法)
1類:発生なし
2類:ポリオはワクチンで1人、結核は2.5万人
3類:O157は4000人、細菌性赤痢は200人
4類:ツツガムシ400人、マラリアは70人、日本脳炎は高齢者4人
5類:HIVは1500人、アメーバ赤痢は800人、梅毒は700人、レジオネラは700人
・BSEは厚労省牛海綿脳症対策特別措置法による、CJDは感染症法5類による
・予防接種:国民の義務ではない(責務)、ムンプス、水痘、B型肝炎は任意、乳児期3ヶ月以降に接種するのはポリオ、DPT、BCG、B型肝炎(2Mにも)、定期1類2類予防接種で1回だけなのはBCG、定期2類は高齢者へのインフルエンザは毎年1回、生ワクはムンプス、風疹、麻疹、ポリオ、結核、水痘「無風の進歩の結果です」、生ワクは4週間以上あける、他は1週間
・法医学の解剖
司法解剖:犯罪の疑いがある時、刑事訴訟法により、大学の法医学教室が行う、承諾不要
行政解剖:検案しても死因がわからないとき、知事任命の監察医が行う、承諾不要
承諾解剖:検案しても死因が分からないとき、監察医制度のない都道府県、承諾必要
病理解剖:病死を詳しく調べるとき、大学病院が行う、承諾必要
系統解剖:医学実習、医学生、本人が検体を希望し、死後に承諾必要
・異状でない死:病死と老衰(これら以外は全て異状で、24時間以内に警察に届け出ること)
・改正臓器移植法
判定基準:①JCS300/GCS3②瞳孔4mm以上③脳幹反射消失④平坦脳波⑤無呼吸テスト(レスピレーターを外す)
脳死判定の年齢制限撤廃、本人の意志不明なときは家族の承諾で臓器提供できる、本人の文書での意思表示があれば配偶者と親子間での優先提供可能、6才未満は24時間以上あけて2回目の判定をする(それ以外は6時間以上)、判定者は脳外科、神経内科、麻酔科、救急医
脳死判定できないとき:急性薬物中毒、代謝内分泌疾患、知的障害者、生命徴候がないとき(直腸温32度以下、収縮期血圧90未満、重篤な不整脈)、12週未満
・死体現象
体温:死後10時間で10℃低下、以後は0.5℃/hrずつ低下、夏は推定時間の1.4倍、冬は0.7倍
死斑:死後30分開始、12時間ピーク、死後5時間までは体位変化で死斑も移動
死後硬直:死後2時間開始、12時間ピーク、顎から下行する
角膜混濁:死後6時間開始、24時間ピーク
腐敗:死後24時間開始、細菌の多い側腹部が最初
・センター、健診、予防接種は市町村事業
例外は医療安全支援センター、精神保健福祉センター、救急医療情報センターは都道府県単位、メタボ検診は保険者が実施
・一般薬品
一類:薬剤師が文書で説明、OTC(over the counter)→H2blocker、育毛剤、水虫薬
二類:登録販売者が説明→かぜ薬、咳止め、妊娠検査薬
三類:規定なし、インターネット販売可能(一類二類は禁止)

外科学ポイント

外科学ポイント

☆無菌法
・消毒:感染が生じない菌数にすること
・滅菌:菌数を1兆分の1にすること
・消毒法:紫外線>煮沸>熱水>蒸気。芽胞、エンベロープのないウィルス(ライノ、エンテロ、ノロ)、結核、アスペルギルスは強い、MRSA,VRSAは弱い
・滅菌法:①加熱法:オートクレーブ(高圧蒸気130℃5分)、乾燥空気(180℃、30分)②ガス法:酸化エチレンガス(半日)、過酸化水素プラズマ→フリーラジカル③照射法④液体にはろ過法
・針刺し感染確率:HBV30%、HCV3%、HIV0.3%
・手術器具、カテーテル、体内埋め込み器具は滅菌法、挿管チューブ、内視鏡、体温計は消毒法
・創部の直接消毒は創傷治癒を遅らせる
 創部の直接消毒は創感染の予防にならない(∵創内部のdead spaceで細菌↑)
 縫合部位は1~2日ドレッシング剤で覆うだけで良い
 カテーテルの留置期間は創感染発生率と無関係
 剃毛は感染増加させる
・手術器具
 電気メス:バイポーラーは凝固用、モノポーラーは凝固切開用
 ハサミ:クーパーは糸を切るもの、メッツェンは組織を切るもの
 鉗子(かんし):ケリー(大)、モスキートー(小)
 攝子(せっし、ピンセット):ドベーキー(大、腸をつかむ)、アリス(小、先が輪っか、腸をつかむ)
 均衡:腹膜や皮膚を牽引するもの、リチャードソン(大、とってが握りやすい)
 持針機:へガール、マチュー
 糸:マクソンは皮膚を縫う、3-0ナイロンは腸を縫う
・ドレナージ:
①情報ドレナージ:術後1日後まで消化液(胆汁、膵液)の漏出がないか、②予防的ドレナージ:術後縫合不全の早期診断、術後7日目に多い、③治療的ドレナージ:できた膿汁、体液を排出し洗浄。ペンローズドレーン、チューブドレーン(穴多数)。

☆止血法
・一次止血法:圧迫止血(手指で止血~出血部位がわかるとき、ベロークタンポン~鼻腔内にタンポン綿球充填、ミクリッツ法~骨盤腔内にガーゼ充填)
・永久止血法:結紮、縫合、電気メス
・止血+切開:バイポーラシザーズ、超音波凝固切開装置(温度が低いので組織の挫滅が少ない)、ベッセルシーリングシステム(組織の抵抗値からその組織に最適な出力にする)

☆外科処置
・ドレッシング:縫合創の被覆、フィルムドレッシング剤で創傷面を湿潤にする
・外科的気道確保(甲状輪状間膜切開、気管切開):皮下気腫、縦隔気腫、出血、呼吸困難、感染、気道粘膜潰瘍
・経鼻胃管:胃内圧減圧(NGチューブ,15Fr)、経管栄養(EDチューブ~嚥下できる,15Fr)、胃洗浄(30Fr)。55cm挿入し、空気を送って、心窩部で聴診する
・イレウス管:鼻から小腸、大腸の閉塞部位近くまで挿入、まず胃に入れてガイドワイヤーで閉塞部位まで持っていく、15Fr
・胃瘻:胃内視鏡下に体表から胃内腔に穿刺、創傷感染を起こすことあり
・SBチューブ(Sengstaken-Blakemore):食道静脈瘤の圧迫止血、40mmHg、合併症は食道破裂
・ENBD:経鼻胆管チューブ、内視鏡下に7Frチューブを胆管に入れる、合併症は胆管炎
・気管内挿管:合併症は前歯損傷、食道挿管、片肺挿管、喉頭けいれん、迷走神経反射(徐脈、心静止)
・尿道留置:Foleyカテーテル15cm、合併症は尿道損傷
・胸腔穿刺:脱気は2-3肋間鎖骨中線上、排液は5-7肋間前腋窩線上、合併症は皮下気腫、肋間動静脈損傷
・心嚢穿刺:剣状突起と左肋骨弓の隅角に右上45度で穿刺、合併症は心室穿刺、不整脈、冠動脈損傷
・腹腔穿刺:腹水排液、合併症は腹壁動静脈損傷、内臓損傷
・経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD):エコーガイド下に肝左葉外側下枝を穿刺、合併症は出血、胆汁性腹膜炎、気胸
・経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD):エコーガイド下に胆嚢穿刺、合併症は急性胆嚢炎、下部胆管損傷による閉塞性黄疸
・中心静脈カテーテル留置:高カロリー輸液、持続HD、セリジンガー法(穿刺針で静脈穿刺→ガイドワイヤー残して穿刺針抜去→ガイドワイヤー通してダイレーターで挿入口を広げる→ダイレーターを抜いてガイドワーヤーを通してカテーテル挿入)、①鎖骨下静脈:感染リスク小さいが気胸のリスク、②内頸静脈:確保しやすいが頚部の運動制限、③大腿静脈:確保しやすいがDVTや感染起こしやすい
・末梢静脈穿刺(ルート確保):穿刺針を静脈に穿刺→外套を血管内に挿入→駆血帯を外す→外套を穿刺部位より1cm先で圧迫→輸液チューブを接続。肘部正中皮静脈、橈骨皮静脈、尺側皮静脈。1hr以上確保するときは静脈内留置針。

☆輸血
・全血輸血:CPD(citrate phosphate dextrose)で保存、大量輸血や交換輸血の時のみ
・濃厚赤血球MAP液(RCC):Ht60%、保存は21日間、1単位140mlでHb0.8↑/鉄100mg、貧血では血液希釈で循環血漿量↑なのでRCC投与で肺水腫起こすことあり、術中出血15%以上は乳酸リンゲルを出血量の2-3倍量、20%以上ではRCC+乳酸リンゲル、50%以上ではRCC+乳酸リンゲル+Alb+人工膠質液+FFP、GVHD予防に照射するとRBC破壊でK↑↑
・濃厚血小板:保存は3日間、1単位20mlに200億個、2万/mm3以下で投与、血小板寿命10日なので5日ごとに投与→HLA抗体→血小板輸血不応症→HLA適合者からの輸血で対応
・新鮮凍結血漿(FFP):融解後は3hr以内に使う、保存は1年、PT30%以下/APTT1.5倍以上/フィブリノーゲン100mg/ml以下で投与

☆動脈疾患
・動脈壁:内膜、中膜、外膜
・大動脈は弾性線維、中動脈は筋線維が多い
・下肢には弾性動脈が収縮し血流送るため下肢血圧は高い
・ずり応力:血流と動脈壁との摩擦→粘性が大きいほど、動脈径が小さいほど、流速が大きいほど大きい
・大動脈からの分枝血管→ずり応力が変化→血小板と内皮細胞の接触時間長い
・大動脈縮窄症:先天性は心奇形合併が多い、後天性は高安病、炎症によるもの
・大動脈弁輪拡張症(AAE=annuloaortic ectasia):原因はMarfan、動脈硬化、嚢胞性中膜壊死、高安病、大動脈解離、特発性。AR症状や大動脈6cm以上で手術適応。治療はBentall手術(人工弁付きグラフト)、David手術(弁は自分の弁)
・大動脈解離:中膜が内外に裂ける→真腔と偽腔、原因は動脈硬化(特に粥状硬化)、高血圧、嚢胞性中膜壊死、Marfan、大動脈二尖弁、大動脈縮窄症。Debakey分類ⅠⅡ→AMI、AR、タンポナーデ、血圧の左右差、Ⅲ→腎不全、腸管虚血、下肢の虚血症状、下肢の対麻痺(∵アダムキービックス動脈の閉塞)、治療は痛みのコントロール、降圧(収縮期圧100-120を目指す)、Ca拮抗薬、βブロッカー、ⅠⅡと臓器虚血症状のあるⅢは緊急手術(ⅠⅡでAAE合併してる時はBentall,David、Ⅲで胸腹部大動脈置換術+腋窩動脈バイパス+大腿動脈バイパス)
・大動脈瘤:瘤のみでは無症状、予後不良はAMI/対麻痺/腎不全/呼吸器疾患、真性は内膜、中膜、外膜を保ちながら拡張、仮性は出血してまわりに結合組織、紡錘状か嚢状、胸部か胸腹部か腹腔か末梢か
・胸部大動脈瘤:上行は梅毒によることも、症状はAR、気管/食道/反回神経の圧迫、末梢動脈の閉塞による。6cm以上は人工血管置換術、AAEあればBentallかDavid、弓部大動脈瘤では総頸動脈、腕頭動脈、鎖骨下動脈の再建が必要
・胸腹部大動脈瘤:CA,SMA,IMAを巻き込んでいることあり。症状は左側側腹部痛、背部痛。肋間動脈、Adamkievicz動脈(80%C8-Th1で分枝)の位置を確認するため大動脈造影をする、術中にもSEP,MEPで再建の必要性を確認、治療は6cm以上なら人工血管置換術またはステントグラフト
・腹部大動脈瘤:ほとんど動脈硬化、20%は家族性、腎動脈より末梢に生じる、腎動脈と1cm以内のものは傍腎動脈腹部大動脈瘤、腎動脈を巻き込んでいるものは上腎動脈腹部大動脈、末梢動脈閉塞で下肢虚血のものも、治療は5cm以上は手術、人工心肺は必要なし、瘤切除して人工血管置換、ステントグラフト、下腸間膜動脈の再建
・ステントグラフト:大腿動脈から折りたたんだ人工血管を入れ、中枢側と末梢側でステントを固定する、固定するlanding zoneが必要、合併症は挿入動脈損傷、分枝動脈の閉塞、post-implant syndrome(発熱、腹痛、全身倦怠感)、脊髄虚血、エンドリーク(グラフト接合部/グラフト破綻部/IMAからの流入)
・慢性動脈閉塞症(大動脈腸骨動脈閉塞症):間欠性跛行(25%は大動脈~腸骨動脈、65%は鼠径部から大腿動脈の閉塞→より重症)、しびれ→冷感→間欠性跛行→安静時疼痛→潰瘍壊死、2%は肢切断、治療は禁煙、DMならBS厳重管理、十分な管理下での運動療法、低容量アスピリン、大動脈大腿動脈バイパス術、外腸骨動脈大腿動脈バイパス術
・腹部アンギーナ:血栓/塞栓/攣縮→SMA閉塞→壊死→穿孔→汎発性腹膜炎、塞栓はAf合併、攣縮は心不全/ショック/MOF/大血管手術合併、腸管壊死ではLDH↑,AST↑,ALT↑,CPK↑,WBC↑,代謝性アシドーシス,CTで腸管壁肥厚、半数に急性腹症、血管雑音、治療は壊死腸管切除、血栓摘出術、血行再建術(大動脈SMAバイパス術)、血行再建術後にはドプラ蛍光色素注入で還流あるか確認、経皮的カテーテルバルーン拡張術+ステント留置、術後抗凝固療法

☆腸閉塞
・機械的腸閉塞:閉塞性腸閉塞、絞扼性腸閉塞
 機能的腸閉塞:麻痺性腸閉塞、痙攣性腸閉塞(機能的腸閉塞をイレウスと呼ぶ)
・腸液、ガスの貯留→腸管内圧↑→静脈圧迫→水分、電解質が腸管内、腹腔内に漏出→Na/K/Cl↓、下痢、脱水(Ht↑,Alb↑,代謝性アルカローシス)→循環不全→ショック
 腸内細菌↑、腸管粘膜びらん/壊死→敗血症→エンドトキシンショック
・閉塞性腸閉塞:血流障害のない機械的閉塞、原因は腸管癒着(腹部手術後何十年たっても起こる)、大腸癌(手術歴なし、緩徐進行性の閉塞)、癌の腹膜播種、他臓器癌の腸管への浸潤、胃石、胆石、異物、症状は軽度で間欠的腹痛、腸雑音亢進、Xpで鏡面像(niveau,air-fluid level)、大腸なら注腸造影で閉塞を確認、脱水あるのでCKは正常値の2-3倍まで↑、治療は経鼻胃管(NGチューブ)かイレウス管(小腸まで)で減圧、輸液、抗菌薬、保存的治療抵抗なら手術で癒着/閉塞/索状物を除去
・絞扼性腸閉塞:腸管、腸間膜の絞扼で血流障害、原因は炎症で生じた索状物、腸捻転(S状結腸に多く、慢性便秘/S状結腸過長症が原因)、腸管同士が結ばれて結節形成、ヘルニア嵌頓、腸重積。急激強度持続性腹痛、腸管壊死なると腹膜刺激症状、ショック、腸雑音消失、Xpで無ガス像、CTでclosed loop(3つの拡張部位が1つの狭窄を中心に集まる)、造影CTでlow densityな腸管、注腸造影は禁忌、壊死があるとCKは4桁台、治療は緊急手術
・麻痺性腸閉塞:腸管神経や平滑筋が麻痺、原因は開腹手術、腹腔内出血、腎結石/胆嚢結石発作、中枢神経の異常、腸間膜血管閉塞、症状は腹部膨満、悪心、Xpで拡張腸管、鏡面像はないことも、治療は原因疾患の治療、蠕動促進薬(PGF2α、プリンペラン、パントール)
・痙攣性腸閉塞:腸管一部が痙攣、原因は手術、外傷、神経障害、中毒、症状は強い腹痛発作、嘔吐、痙攣部位が腫瘤として触知、治療は鎮痙薬(ブスコパン、アトロピン)



救急医学ポイント

救急医学ポイント

§1 BLS
☆BLSとは
・BLS=basic life support
・心停止で倒れた人に対してバイスタンダー(その場に居あわせた人)が行う、心肺蘇生、AEDによる徐細動、気道異物除去のこと。
☆BLSの流れ
意識なし、呼吸なし

119番通報、人を呼ぶ

胸骨圧迫(100回/分以上、胸壁が5cm以上沈むまで、一般人は胸骨圧迫だけでも良い)

呼吸停止の確認(患者の口に頬や耳を近づけて息がない)

下顎挙上で気道確保(舌根沈下による窒息を防ぐ)

人工呼吸2回と胸骨圧迫30回を5サイクル
(AEDの準備ができるまで)

VfならAEDが自動的に除細動
☆CPRの変更点(ACLS2010)
・呼気中にO2は15%→ABCではなくCAB(胸骨圧迫で肺胞内にある15%O2を脳へ送るため)
☆救命の連鎖
・脳虚血から5分を過ぎると、不可逆的な脳障害を起こす。
・救急車かけつけるのは通報から平均7分
 →救急救命士が心肺蘇生を行うまでの間はBLSが命綱になる
・迅速な通報、迅速な心肺蘇生、迅速な徐細動、二次救命処置の流れを救急の連鎖といい、これがスムーズに行くと蘇生率が上がる。
・心肺停止患者の復帰率
 欧米は20%、日本は2%
☆ドリンカーの生存曲線
心肺停止から心肺蘇生までの時間が1分遅れると、蘇生率が10%下がる。
☆呼吸停止の判断
・顔を患者の口に近づけて、頬で息を感じ、耳で息の音を聞く
・胸の上下があるか
・心停止ではあえぎ呼吸(死戦期呼吸、口パクパク)が見られるが、呼吸ありと間違えないこと→すぐにCPR
・小児の呼吸数10回/分未満は呼吸停止とみなす。
☆心停止の判断
・総頚動脈が触知困難であれば60mmHg以下、脳虚血
 撓骨動脈(-)→80mmHg以下
 大腿動脈(-)→70mmHg以下
・一般人は意識なし、呼吸なしで心肺蘇生を開始してよい
☆人工呼吸の方法
・1回1秒間息を吹き込む×2
・胸郭が軽く膨らむくらい
・脈があるときは人工呼吸のみでよい
 成人10回/分、小児20回/分の人工呼吸、2分ごとに脈を確認
☆胸骨圧迫の方法
・両乳頭の真ん中より下(胸骨の下半分)を圧迫(乳児以下は少し足より)
・成人は胸が約5cm以上沈むくらい、小児以下は胸の3分の1が沈むくらい
・成人は両腕で、小児は片腕、乳児以下は指2本
・たやさず、手をはなさず、力いっぱい、速く(100回/分以上)、きちんと解除する
☆気道異物除去の方法
・気道異物の判断はチョークサイン
・ハイムリック法(後ろにまわって横隔膜のところで両腕を組み、上に持ち上げる)
・乳幼児はお腹を手のひらに乗せて背中を叩く(背部叩打法)
☆AEDの方法
・電源オン→電極パッドをはる→解析ボタン→解析中も胸骨圧迫→Vfなら自動音声→離れる→ショックボタンを押す
・AEDは1回が原則
・AEDの後、すぐに胸骨圧迫を開始。意識の確認は必要なし。
・新生児、乳児にもする(手動式除細動器がなければ)
・濡れていればふく
・胸毛が多ければ剃る
・目の前で心停止になったときはまずAED→Shock First
(心停止から5分過ぎているとき、目撃者がないときは心肺蘇生から→CPR First)

§2 ALS
☆ALSとは
・advanced life support
・医療機関で行う救命処置
・心肺蘇生(CPR)、電気的除細動、確実な気道確保、静脈路確保と薬剤投与、心停止の原因検索(6H&6T)
☆ICLSとは
・immediate cardiac life support
・突然の心停止に対して最初の10分にチームで行う心肺蘇生法を学ぶトレーニングコースのこと
☆心停止
・心停止には心静止(asystole)、無脈性電気活動(PEA)、心室細動(Vf)、無脈性心室頻拍(pulselessVT)の4種類がある。
・心静止(asystole)では技術的なミスがないか確認すること。
例:誘導のリードが外れていないか、誘導の位置、電源が入っているか→”感度、誘導、リード”
☆気道確保の種類
・下顎挙上:舌根沈下防ぐ
・バッグバルブマスク:口にマスクをする
・ラリンゲアルマスク:喉頭にマスクをする
・気管挿管:気管支内にマスクをする
・輪状甲状靭帯切開術、輪状甲状靭帯穿刺:気道閉塞時
☆気管挿管の確認方法
・空気を送り込んで心窩部でボコボコ音を聴診する
・空気を送り胸郭が挙上するか
・チューブ内の曇り
・酸素投与によるSpO2
・呼気CO2モニター(カプノメーター)で呼気CO2が35-40mmHg
・食道挿管検知器
☆手動式電気的除細動の方法
・2分ごと
・充電中も胸骨圧迫続ける
・200J→300J→360J
・小児は2J/kg→4J/kg(最大10J/kg)、1才未満もOK
・右鎖骨直下と左乳頭部外側にパッド
・ペースメーカーから2.5cm以上離す
☆心肺蘇生の薬
・エピネフリン
 α作用:大動脈収縮→冠動脈圧↑
 β作用:心収縮力↑、刺激伝達系の自動能↑
 1mgを3分ごと、0.2mg/kgまで
・バソプレッシン
 血管平滑筋のV1レセプターを介して強い昇圧作用
 40単位を1回
☆難治性Vf,難治性pulselessVTへの薬
・電気的除細動が効かないときに使う
・アミオダロン
 3群抗不整脈薬
 すべてのイオンチャネル、α、β遮断
 初回300mg、追加150mg(1A)
・リドカイン
 1b群抗不整脈薬 
 Naチャネル阻害→心室性不整脈に使う
 1mg/kgを3分ごと、3mg/kgまで
・ニフェカラント
 3群抗不整脈薬
 K電流の抑制→不応期延長
 0.3mg/kgを5分かけて
☆心静止、無脈性電気活動への薬
・アトロピン
 副交感神経遮断
 エピネフリンの後に投与
 1mgを3分ごと、3回まで
☆炭酸水素ナトリウム(メイロン)の使い方
・慢性腎不全、三環系抗うつ薬、アスピリン中毒などでpH7.2以下のひどいアシドーシス、高Kのとき
・平衡移動で二酸化炭素が発生するので、呼吸性アシドーシスには使わない。
☆心停止の原因
・6H=hypovolmia,hypoxia,hypothermia,hyper/hypoK,hyperH,hypoglycemia
・6T=toxin,tamponade,tension pneumothorax,thrombosis(肺,冠),trauma
☆蘇生後の酸素投与
・SaO2が94-99%になるように酸素投与(過剰投与する必要はない)
・Vf蘇生後は32-34℃を24時間持続
☆ALSの流れ
・Vf,pulselessVTのとき
CPR、酸素投与

心電図装着

Vf,pulselessVTなら電気的除細動

すぐにCPR再開

まだVf,pVT

気管挿管、静脈路確保→エピネフリン1mg静注

電気的除細動

すぐにCPR再開

アミオダロン300mg(2A)、リドカイン1mg/kg、硫酸Mg(TdPの時)を静注

電気的除細動

すぐにCPR再開
・Asystole、PEAのとき
CPR、酸素投与

心電図装着

Asystole、PEAなら気管挿管、静脈路確保→エピネフリン1mg静注
(ACLS2010では心静止、PEAでもアトロピンは使わない)
・透析中で高K、pH<7.2ではNaHCO3(メイロン)投与
・脳虚血で痙攣起きてもセルシン投与は禁忌

§3 外傷総論
☆JATEC
・JATEC=Japan Advanced Trauma Evaluation&Care
・初期診療が適切なら助かった例が外傷死の40%近くある
→初期診療の教育が必要で、そのためのガイドラインがJATEC
・致命的になりうる病態を確認しつつ死なせないための蘇生、検査をPrimarySurvey(PS)
・PrimarySurveyで死の危険を回避した後にゆっくりと全身検査、治療を行うのがSecondarySurvey(SS)
☆PrimarySurveyの流れ
・救急隊の連絡がきたらMISTを聞くこと。
 M=Mechanism(受傷機転)
 I=InjurySite(受傷部位)
 S=Sign(バイタルサイン)
 T=Treatment(どのような処置をしたか)
・受け入れ準備をする。
 人集め、輸液を暖める、薬/モニター/酸素の準備、XpやFASTの準備、感染防御
・ABCDE
☆A=Airway(気道)
・しゃべれればAはOK
・Aの異常があれば、気道確保、100%酸素を10L/分、首の損傷時はカラー固定
・気道確保は下顎挙上、吸引、気管挿管、輪状甲状靭帯切開/穿刺
☆B=Breathing(呼吸)
・Bの異常をきたすものを見逃さない。
・フレイルチェスト
3本以上の肋骨が2か所以上で骨折
奇異呼吸(吸気で胸が陥凹する)
治療は、鎮痛薬、硬膜外麻酔、陽圧人工呼吸による内固定
・緊張性気胸
患側胸郭の著明な膨隆、頚静脈怒張、呼吸音左右差、皮下気腫、鼓音、チアノーゼ、頻脈、血圧低下
症状からすぐに判断する。Xp撮っている間に死ぬ。
治療は、とりあえず胸膜穿刺、落ち着いたら胸腔ドレナージ
・開放性気胸
落ち着いて胸腔ドレナージ。
応急処置はサランラップを使った3辺テーピング
(肺内の空気を出すが入れないようにする)
・大量血胸
胸腔ドレナージ
ドレナージ時に1L以上出血した場合、1時間あたり200mLの出血が2~4時間続く場合は開胸手術
・ドレナージの穿刺部位
気胸→第2肋間鎖骨中線上
胸水→第5、6肋間後腋窩線上
血気胸→第5、6肋間前腋窩線上(常に陰圧で)
穿刺部位は肋骨上縁(肋間動脈損傷を防ぐため)
☆C=Circulation
・90%は出血性ショック、残りは閉塞性ショック(緊張性気胸、心タンポナーデ)
・初期輸液
 静脈路を2本確保(上腕正中肘静脈2か所)して、リンゲル液を2L/20分→TR,NRなら輸血
・初期輸液の結果
Responder:輸液後に血圧が90以上。SSで原因検索。
TR(TransientResponder):一時的に90以上になるが、輸液を中止すると90以下になる。
NR(Nonresponder):輸液してに血圧上がらず→すぐに気管挿管
・輸血
Hbが7以下、Htが30%以下なら加温濃厚赤血球(RC-MAP)を投与。クロスマッチする暇がないときはO型赤血球を輸血
・出血源を探す
胸、骨盤はXp、腹はFAST
・FAST=fast assesment with sonography for trauma
心窩部:心タンポナーデを見る
左右の胸腔:血胸を見る
左右の季肋部:腹腔内出血を見る。右はモリソン窩、左は脾腎間
ダグラス窩:骨盤内出血を見る。
・心タンポナーデ
診断:Beckの3徴候(血圧低下、静脈圧上昇、心音減弱)、頚静脈怒張、奇脈(吸気時に収縮期血圧が10mmHg以上下がる)、FASTで心臓周囲のecho free space、Xpで心臓陰影拡大
治療:心嚢穿刺(左45度、上45度の方向で剣状突起下穿刺)
☆D=disfunction of CNS
・まずPSで呼吸循環を安定させてからSSで神経系の治療に入る。
・「切迫するD」のときはSSでまず頭部CTを行う。
・切迫するD
 GCSが8以下
 急激にGCSが2以上低下
 瞳孔不同
 クッシング現象
・GCM
 E:4自発 3呼びかけ 2痛み 1なし
 V:5OK 4混乱文 3混乱発声 2音声 1なし
 M:6命令従う 5痛み部位 4痛み逃避 3除皮質硬直 2除脳硬直 1なし

§4 外傷各論
☆頭部外傷
・1次脳損傷:外傷による直接の脳損傷
 2次脳損傷:外傷後の要因による脳損傷→外傷治療で予防
・2次脳損傷
 頭蓋外要因:低血圧、低酸素、高CO2、低CO2、発熱、貧血
 頭蓋内要因:出血(SOL)による脳破壊→脳外科コンサルト、ヘルニア、脳虚血、痙攣、頭蓋内感染
・脳外科コンサルト時に伝達すること:年齢、性別、受傷機転、受傷日時、バイタル(呼吸数、血圧、脈拍、体温)、GCS、瞳孔径、対光反射の有無、片麻痺の有無、CT所見(SOL、ヘルニア徴候の有無)、初期診療の内容
・解剖:
 皮膚→結合組織→帽状腱膜→緩い結合組織→骨膜
 乳幼児は頭皮からの出血でショックになることあり
 頭蓋骨=脳頭蓋+顔面頭蓋、脳頭蓋=頭蓋円蓋部+頭蓋底、頭蓋底=前頭蓋底+中頭蓋底+後頭蓋底
・生理:
 ICP5-10cmHg(7-14cmH2O,CVP×1.5)
 SOLが50-100ml超えると髄液の緩衝作用が効かず急激にICP↑(Monro-Kellieの原理)
 血流50ml/100g脳組織、5才児がピークで90ml/100g脳組織
 収縮期血圧50-160mmHgなら脳血流一定に調節
・頭部外傷では閉塞がなくても吸収障害で水頭症になることあり
・小脳SOL→脳幹圧迫(上行性網様体賦活系障害~意識障害)+延髄圧迫で呼吸停止
・テント切痕ヘルニア(鉤ヘルニア):側頭葉のSOL→側頭葉内側部(鉤)がテント切痕に陥入→脳幹圧迫→対側片麻痺、同側Ⅲ麻痺
 Kernohan's notch syndrome:側頭葉のSOL→側頭葉内側部(鉤)がテント切痕に陥入→中脳が対側テント切痕で圧迫→同側片麻痺、同側Ⅲ麻痺

・重症度:中等症はGCS9-13点
・頭蓋骨骨折
 Xpは正面、打撲部にフィルムを置いた側面像、Towne法で撮影、顔面骨折はWaters法
 線状骨折か陥凹骨折か
 非開放骨折か開放骨折か→開放骨折ならデブリドマンと硬膜の修復、髄液漏はdouble ring sign
 前頭蓋底骨折はパンダの目徴候、中頭蓋底骨折はバトル徴候(乳様突起下の皮下出血)

・頭蓋内病変
 脳震盪:意識消失発作が6hr以内に回復、前向性+逆向性健忘
 びまん性軸索損傷:SOLが明らかでない、脳浮腫あり、1次性脳損傷、本来は病理診断だがCTで診断、受傷直後から意識障害、予後不良
・重症頭部外傷の初期診療
 2次性脳損傷を最小限にするためABCが最優先
 AB:とりあえず10-15L/分で酸素投与→SpO298%以上に保つ、血ガス測定
 C:ショックには細胞外液を1-2L/20分で急速輸液
     Cushing現象による高血圧は安易に降圧しない→まずICP下げる
   →マンニトール1g/kgの急速静注
     15-30°の頭位挙上
      PaCO230-35mmHgで過換気を避ける
      30分以上の痙攣にはフェニトイン→ジアゼパム→バルビツレート、バルビツレートにはICP下げる効果あり
      低体温療法が予後を改善するevidenceなし
      SOLには緊急手術
 D:GCS8点以下orGCS2点以上低下は脳ヘルニア進行中のサイン
☆顔面外傷 
・気道閉塞が生じやすい(∵喉頭損傷、気道断裂、頭蓋底骨折や顔面頭蓋骨折による大量持続出血塊嚥下、下顎骨折による舌根沈下と腫脹、頭部外傷による意識障害)
・ルフォール骨折
 Ⅰ上顎骨歯槽突起の骨折→上顎歯列が転位
 Ⅱ顔面中央部の骨折
 Ⅲ顔面頭蓋と脳頭蓋の離断
・観血的整復固定:視神経管骨折は視神経感開放術と神経障害にステロイドパルス
☆頚椎損傷
・C2>C6+7
・意識障害(∵C4障害)、知覚運動麻痺、脊髄ショック、神経原生ショック、膀胱直腸障害(肛門括約筋弛緩、持続性勃起、尿閉と溢流性尿失禁、麻痺性イレウスと便秘)
・脊髄ショック:完全麻痺の受傷直後は損傷部位以下の知覚運動麻痺、DTR消失→数日後に後球海綿体反射、肛門反射、Babinski反射
・神経原生ショック:脊髄側角障害→交感神経↓→副交感神経↑→低血圧、徐脈
・Xpは頚椎3方向(正面、側面、開口位)→脊椎の配列異常、脱臼がないか
 CTで脊柱管のスペースの有無
 MRIで脊髄損傷の有無(浮腫、出血ないか)
・初期診療
 バックボードによる全脊椎固定、軽症なら頚椎カラー
 受傷後8hr以内ならメチルプレドニゾロン30mg/kg急速静注
・外固定としてハローベスト、内固定として前方除圧、後方除圧、観血的整復固定
☆胸部外傷
・肋骨損傷>血胸気胸>肺損傷>鎖骨骨折>心損傷
・鋭的胸部外傷:体表面近くの臓器が損傷→Sauerの危険域(右鎖骨内1/3点、左鎖骨中線、肋骨縁接線)なら心損傷可能性大
 鈍的胸部外傷:介達外力、胸腔内圧↑による損傷→体表面の創がなくても重篤の可能性
・タフなスリーX:tamponade,airway obstruction,flail chest,open pneumothorax,tension pneumothorax,massive hemothorax→見逃すと死亡する胸部外傷
・初期診療
 AB:10L/分100%酸素投与、換気がなければ気管挿管
 C:16-18Gの静脈内留置カテーテルで乳酸リンゲル急速輸液
  大量出血には同一血液型orO型のMAP液→保温と新鮮凍結血漿併用(∵凝固因子濃度↓)
  心原性ショックにはドパミン、ドブタミン、VFにはリドカイン、メキシレチン
  胸腔ドレナージ:脱気は第5,6肋間前腋窩線上、5-20cmH2Oで吸引
  心嚢穿刺:剣状突起下穿刺法
・開胸手術の適応:大量持続胸腔内出血(1Lor200ml/hr)、急性心タンポナーデ、胸腔ドレナージ無効な気胸、大血管損傷、気管気管支損傷、食道損傷、フレイルチェスト、横隔膜ヘルニア、救急室での心停止
・肋骨骨折:隣接肺損傷(直達外力)、心大血管損傷(介達外力)、小児は骨折なくても胸腔内臓器損傷あり、第4-9肋骨に好発、第1では胸郭出口症候群、第10-12では肝/脾/腎の損傷
・traumatic asphyxia(外傷性窒息):声門閉塞+胸郭に大きな外力→胸腔内圧↑→頭頚部、肺の毛細血管破綻→顔面頚部眼球結膜の点状出血、びまん性間質内出血(低O2、チアノーゼ)
・皮下気腫:皮下組織にO2貯まる、触診で握雪音、原因は皮膚損傷、気管気管支損傷、食道損傷
・フレイルチェスト:
 連続する3本の肋骨が2ヶ所以上で骨折
 骨折肋骨は動かない→吸気で周囲の肋骨が広がると骨折部は遅れるので陥没(呼気時は逆)→奇異呼吸
 PaO2↓/PaCO2↑(∵疼痛による換気↓、肺挫傷による肺内シャント)
 治療は陽圧持続換気による内固定、PEEP併用したCPPV,IMV,PSV→治療の前に頚静脈怒張など緊張性気胸や心タンポナーデを除外
・閉鎖性気胸:肺胞から胸腔内へ空気が出入り、肺の虚脱率が50%超えると呼吸困難→ドレナージ(50%未満なら経過観察)
・開放性気胸:外界から胸腔内へ空気が出入り、より重篤→すぐにドレナージ、創閉鎖
・緊張性気胸:肺や胸壁から胸腔内に空気が入って出れない(∵check valve)
       患側肺虚脱+健側肺圧迫→換気↓→呼吸困難
       胸腔内圧↑→静脈還流↓→CO↓→患側胸部の著明な膨隆、皮下気腫、血圧低下、頻脈
       治療は緊急ドレナージ
・血胸気胸:心大血管損傷による出血性ショック、肺損傷は自然止血あり(∵肺動脈は低圧系、肺実質に組織トロンボプラスチン多い)
      聴診で呼吸音低下、濁音
      治療は胸腔ドレナージ、輸液、輸血
・凝固血胸:膿胸→敗血症になると予後不良、胸腔鏡下/開胸下に凝血塊除去
・肺挫傷:鈍的外傷、軽症は3-5日で自然治癒、広範囲では急性呼吸不全→ARDS→死亡
     治療は頻回の体位変換、体位ドレナージ、呼吸練習器、吸入療法で気道内の血液や分泌物を除去して無気肺を予防、ARDSにはPEEP
・肺裂傷:鋭的外傷(刃物、肋骨骨折、声門閉鎖+胸部外力)、血気胸、気道内出血、治療は胸腔ドレナージ、酸素吸入、出血持続には開胸手術
・肺内血腫、外傷性肺嚢胞:感染合併なければ胸腔鏡や開胸でドレナージ
・空気塞栓:外傷による末梢気管支と肺静脈の瘻孔形成が原因、AMIや脳梗塞、肺損傷で陽圧人工換気を開始した後に片麻痺/痙攣/意識障害/不整脈/心停止なら疑う
☆心臓外傷
・機序:胸骨と脊柱で圧迫、急激な加速減圧による剪断力で心房/SVC/IVC/PVが断裂、急激な胸腔内圧↑で心内膜損傷、胸骨や肋骨の骨折端が心筋損傷
・穿通性外傷:血胸、心タンポナーデ(どっちらか一方か両方)、心外膜破裂→心内膜破裂→心嚢腔に血液流入→心嚢内に溜まって心タンポナーデor胸腔に流出して血胸
・遅発性心破裂:受傷後数hr~2週に起きる、右房、左房に好発、体表面に創がないことあり、挫傷部心筋が壊死→軟化→破裂
・心外膜破裂は左側に好発、破裂部が大きいと左方や右方に心臓が脱出しCO↓、横隔膜破裂伴うとヘルニア起こす
・乳頭筋腱索断裂によるMR、AR、TR、VSD
・冠動脈損傷による心タンポナーデやAMI
・心タンポナーデの診断:Beck3徴(血圧↓、静脈圧↑、心音微弱)、頚静脈怒張、奇脈、ECGでlow voltage、Xpで左第1-4弓の直線化、FASTでecho free space
・心筋挫傷の診断:ST↑、T↑、CKMB↑、トロポニンT↑、エコーで壁運動の異常
・治療:心外膜破裂は救急室開胸で損傷部閉鎖、心タンポナーデには心嚢穿刺、心筋挫傷にはAHFの治療(ドパミン、ドブタミン、しかし抗凝固薬は禁忌、冠拡張薬は無効)、VSD/MR/AR/TRはそのまま手術
☆大血管損傷
・左鎖骨下動脈分岐部直下の胸部大動脈断裂が好発
・転機:①胸腔内への大量出血→血胸→失血死、②仮性大動脈瘤や縦隔血腫→救急搬送
・仮性大動脈瘤:上肢下肢の血圧差、対麻痺、乏尿無尿、Xpで左血胸/上縦隔拡大/大動脈陰影の不鮮明化/気管の右方偏位/左主気管支の下方偏位、治療はアダムキービックス動脈や腎動脈に一時的バイパスしつつ人工血管置換orステントグラフト留置

§5 熱傷
☆直後の応急処置
・冷却30分以上
(代謝抑制、浮腫や疼痛の軽減、熱傷深度の進行抑制)
☆熱傷深度分類
・1度(EB=epidermal burn)→表皮までの熱傷
 2度(SDB=superficial dermal burn)→真皮の上層まで
 2度(DDB=deep dermal burn)→真皮の下層まで
 3度(DB=deep burn)→皮下組織まで
・1度:発赤、疼痛あり
 2度SDB:水泡底の真皮が発赤、疼痛あり
 2度DDB:水泡底の真皮が白色、疼痛なし
 3度:蒼白、羊皮紙様、または炭化、無痛
☆熱傷面積
・手=1%
・成人は9の法則、小児は5の法則
・9の法則:頭=9、腕=9、胴体=9×2、足=9×2
・5の法則:頭=20、腕=10、胴体=10×2、足=10
☆重傷度
・%BSA=2度+3度→輸液量
・BurnIndex=(1/2)×2度+3度→植皮術面積
・Artz基準の重症:2度>30%、3度>10%、顔面熱傷(気道熱傷)、手足熱傷、骨折合併
☆病態変化
・ショック期(2日まで)
 血管透過性亢進→循環血漿量減少性ショック(8時間ピーク)
(ヒスタミン、フリーラジカル、キサンチンオキシダーゼ)
・利尿期(2~5日)
 血漿成分が血管内へ戻る→心不全、肺水腫
・感染期(5日~)
 敗血症
☆治療
・顔面熱傷では気道熱傷があるので気管挿管

・成人20%以上、小児10%以上、顔面熱傷(気道熱傷)では、静脈路2本確保、尿道バルーンカテーテル、麻痺性イレウスに備えて胃チューブ

・破傷風対策、しかし初期では抗菌薬不要、抗潰瘍薬(Curling潰瘍)

・細胞外液補充液輸液(乳酸リンゲル)
 侵襲により高血糖なのでブドウ糖は不要
 輸液量はBaxterの式で計算する
 24時間の輸液量=4×%BSA×体重kg
 (半分を8時間で投与する)
・コロイド輸液(アルブミン製剤)
 血管透過性がピークになる8時間以降
 血清蛋白<4、血清アルブミン<2で適応
(やがて来る心不全、肺水腫を予防するため)
・栄養管理(Curreriの式)
 成人:25×体重+40×%BSA
 小児:60×体重+35×%BSA

局所管理
・水泡はつぶさない。
中に創傷治癒を促進するサイトカインが多い。創傷被膜になり疼痛を減らすから。ただし、感染があれば除去する。
・軟膏
SDBまで:ステロイド軟膏、アズノール軟膏、抗生剤軟膏、ワセリン
3度:ゲーベンクリーム
ゲーベンクリームは細胞障害を起こすことがあり、白血球減少により創傷治癒を遅らせることがある。
・3度
デブリードマン:壊死組織をスライス状に切除、感染創が成立する48時間以内に
植皮:
自家移植が基本
同種移植は一時的だが、表皮カバーにより救命率を上げる
全層移植:顔、関節、中心静脈(シート状植皮)
分層植皮:広い範囲を覆うためにパッチグラフト、メッシュグラフトにする。
減張切開:
コンパートメント症候群に行う。
(コンパートメント症候群:NSAIDs無効の激痛。しかし、足背動脈は触れる→TAO,ASOとの鑑別)

§6 急性中毒
☆死亡率
・自殺   年間30000人
 交通事故 年間10000人
 急性中毒 年間 5000人
・急性中毒の80%は農薬とガスによる。
・全体として急性中毒で死ぬ率は200人に1人(199人は死なない)
☆急性中毒は疑いを持つことが第一
・原因不明の意識障害
 激しい嘔吐、下痢
 説明不能の臨床症状
 精神科疾患
 集団発生
・いつ、どこで、どれくらい、どこから摂取したか
☆血中濃度
・血中濃度の変化は、αカーブ(血管かた組織への移行)→βカーブ(組織内での代謝と排泄)
・分布容量(Vd)
 Vd=2なら全体の1/2が血中にある
 Vdが大きいほど全身への広がりが大きい
・血液浄化の効果
分布容量が大きいほど、蛋白結合率が高いほど、脂溶性が高いほど、血液浄化の効果が小さい。
→フェノチアジン系、バルビツレート系、ベンゾジアゼピン系、三環系抗うつ薬には血液浄化は無効。
cf)
フェノチアジン系(抗D2):クロルプロマジン、フルフェナジン→活性炭
ブチロフェノン系(抗D2):ハロペリドール、ドロペリドール
バルビツレート系(GABA刺激):フェノバルビタール→活性炭
ベンゾジアゼピン系(GABA刺激):ジアゼパム、クロナゼパム→フルマゼニル
☆胃洗浄
・臨床機転を変えるというエビデンスはない。
・原則服用1時間以内
(炭酸リチウムでは10時間でも胃洗浄)
・石油系(ガソリン、灯油)、強酸、強アルカリでは逆流時に障害を起こすので禁忌
・意識障害時には気管挿管下で行う。
・左側臥位、低頭位、1回200mLを10回以上行う
・胃洗浄vs輸液:軽症ならこれ以上悪化させないため胃洗浄を優先
☆活性炭
・有効性が証明された。
・強酸、強アルカリ、エタノール、ヒ素、フッ化物、臭化物は吸着しない。
・温水300mLに100gを溶かして投与。その後は6時間ごとに半分ずつ投与する。
・アスピリン、アセトアミノフェン、バルビツレート系、フェニトイン、石油系。
☆腸洗浄
・パラコートによく使う。
・右側臥位で、胃管挿入して行う。
☆強制利尿
・尿細管での再吸収を減らす
・乳酸リンゲル+1/2生食を2L/時間
・バルビツレート系、サリチル酸のみに有効
☆血液透析
・メタノール、エタノール、イソプロパノロール、エチレングリコール、炭酸リチウムに有効
☆血液吸着
・テオフィリンに有効
☆中毒物質と拮抗薬
・CO→高圧酸素(3気圧酸素ならHbがなくても生きていける!)
・青酸化合物→亜硝酸薬、チオ硫酸
・有機リン→PAM、アトロピン
・サリン→アトロピン
・麻薬→ナロキサン
・アセトアミノフェン→Nアセチルシステイン
・ヨード→バレイショデンプン、チオ硫酸ナトリウム
・メトヘモグロビン血症(アニリン)→メチレンブルー
・ベンゾジアゼピン系→フルマゼニル
・ジゴキシン、ジギトキシン→ジゴキシン特異抗体、フェニトイン
・クマリン→ビタミンK
・メタノール→エタノール
・ヒ素、水銀→ジメルカプロール
・鉛→エデト酸ナトリウム
・銅→ペニシラミン
・鉄→デスフェラール
・アスピリン、三環系抗うつ薬→メイロン(炭酸水素ナトリウム)
☆一酸化炭素中毒
・COのHb親和性は酸素の250倍
→O2が100mmHg、COが0.4mmHgでもCO-Hbは50%
・CO-Hbが50%以上になると低酸素血症により意識障害
・パルスオキシメーターはHbO2とHbCOを区別できないのでCO中毒
を検出できない。
 パルスオキシメーターが役に立たない時→血圧低下、重篤な不整脈、マニキュア、CO中毒
・治療は酸素を10L/分(COを追い出す)
・チアノーゼはない。
 チアノーゼは酸素と結合していないHb(還元型Hb)が多いときに見られるから。
・逆に皮膚が紅潮する。
(赤く見えるため一酸化炭素マグロなるものがあるらしい)
☆タバコ
・小児では1本、成人では3本が致死量。
・しかし実際には催吐作用により吐き出すので重篤にはならない(吐いてないときはそれほど食べていない)。
☆有機リン(殺虫剤)中毒
・マラチオン、フェニトロチオン
・AchEを阻害する
→ニコチン作用阻害:筋攣縮、筋力低下(呼吸筋麻痺)
 ムスカリン作用阻害:副交感神経系亢進(縮瞳、発汗)
 中枢作用:錯乱、意識障害
・甘酸っぱい、頭が痛くなるような匂い、白い吐物
・pin point pupilを見たら、橋出血、有機リン、麻薬
・治療
 PAM(プラリドキシム)→有機リンを直接阻害
 アトロピン→Ach受容体を阻害
・PAMが効くのは服用24時間以内(有機リンのPAM結合部位が時間とともに変化していくから→agingという)
☆パラコート(除草剤)中毒
・青緑色、コバルトブルーの吐物、手や服に緑色の付着物。
・NADPHにより還元されてパラコートラジカルになり、それが酸素をスーパーオキサイドにして、細胞障害。
・大量摂取時の経過
 1日目 悪心嘔吐があるが一見元気
 2日目 肝不全、腎不全
 3日目 ARDS~呼吸不全~死亡
・できるだけ早い胃洗浄、腸洗浄
・イオン交換樹脂によく吸着されるので併用する。
・念のための酸素投与は禁忌。肺線維症への進行を速めるから。ただし低酸素血症なら躊躇しないこと。
・肝不全や腎不全を乗り越えても、肺線維症が進行し数カ月後に死亡する例をいかに救命するかが大切。
☆塩素ガス中毒
・酸性洗浄剤+塩素系漂白剤で生じる。
☆硫化水素ガス
・酸性洗浄剤+硫黄含有入浴剤で生じる。

§7 ショック
☆ショックとは
・急性、全身性の循環不全による細胞臓器障害
☆ショックの分類
 血液分布異常性ショック:血管が拡張して血液が別のところへ行ってしまう
  ①感染性:エンドトキシン→NOsyntase活性化→NO↑→血管拡張
  ②アナフィラキシー:1型アレルギー→ヒスタミン→血管拡張
  ③神経原性:交感神経遮断→血管拡張
 循環血液減少性ショック
  ①出血性
  ②体液喪失
 心原性ショック
  ①心筋性
  ②機械性:ASなど
  ③不整脈性:有効な収縮がない
 閉塞性ショック:血液が心臓に戻れない
  ①心タンポナーデ
  ②肺塞栓
  ③緊張性気胸
☆循環血漿減少性ショックの病態
・血液量低下→前負荷低下→心拍出量低下→交感神経亢進→頻脈、血管抵抗上昇
・血管抵抗上昇は皮膚、筋、腎臓で著明
→血流を脳、心臓、肺へ再分布する
・症状は、血圧低下、脈圧低下、心拍数上昇、末梢静脈虚脱、爪床refillimg遅延(2秒以上)、頚静脈怒張、肝うっ血、皮膚の蒼白、冷感など
・出血性ショック:外傷、大動脈破裂、消化管出血、産科出血、手術後の出血
・体液喪失性ショック:広範囲熱傷、汎発性腹膜炎、腸閉塞、重症下痢、熱中症
☆心原性ショックの病態
・心臓ポンプ機能の低下→前負荷上昇(CVP上昇、PAWP上昇)
・原因:心筋梗塞、DCM、MR、AS、心室瘤、ASD、不整脈
☆心外閉塞性ショック
・心タンポナーデ、収縮性心膜炎、重症肺塞栓症、緊張性気胸
・緊張性気胸では胸腔内圧上昇による静脈還流低下→心拍出量低下
☆感染性ショックの病態
・原因:敗血症、脳炎、髄膜炎、肺炎、血管内カテーテルなど
・TNF、IL-1、PGE2、プロスタサイクリン、NOなどが上昇し、血管が拡張
・初期は心拍出量を増加させて血管拡張に対応するので皮膚温が高く、紅潮するwarm shockとなる。
・発熱とともに血圧が低下してくる。
☆SIRS
・感染などの侵襲→サイトカイン分泌→発熱、頻脈、白血球増多、呼吸数増多
・感染によるSIRSを敗血症という。敗血症による循環不全が感染性ショック。
・診断基準:
 1.体温 36度以下または38度異常
 2.心拍数 90以上
 3.呼吸数 20以上またはPaCO2が32mmHg以下
 4.白血球 4000以下または12000以上
 のうち2項目以上を満たす場合
☆アナフィラキシーショックの病態
・特異的IgEが肥満細胞、好塩基球に結合→ヒスタミン、ロイコトリエン放出→血管透過性亢進→気道浮腫、血圧低下→吸気性呼吸困難、循環不全(1型アレルギー)
・薬剤投与後、速く発症するほど重症化しやすい。
・治療は0.1%エピネフリン(ボスミン)
☆神経原性ショックの病態
・脊損かVVRが原因
・血圧が低下するが交感神経が機能せず徐脈
・徐脈なショックは神経原性ショックと完全AVブロック(右室梗塞)によるショック
・感染性ショックと神経原性ショックはノルアドレナリンを積極的に使う(∵血管拡張による血流分布異常がある)
☆ショックの応急処置
・気道確保
・10L/分の酸素投与
・静脈路確保(末梢で2本)と乳酸リンゲル輸液(CVP50mmH2O以下なら50ml/kg/hr)
・pH7.15以下以下の時はアシドーシスの補正にメイロン(炭酸水素ナトリウム) →投与量はBE×体重×0.2(mEq)
・アナフィラキシー、神経原性はエピネフリン0.05-0.3μg/kg/分点滴で血管収縮
・心原性はドパミン5-20μg/kg/分点滴で心収縮力↑、腎血流↑
・骨盤骨折にはショックパンツ

§8 救急の特徴と災害救急
☆救急の特徴
・診断と治療を同時に行わなければならない。
・十分な診断をする前に、とりあえず蘇生する場合がある。
☆救急の歴史
1947 マッカーサーの命令で消防が警察から独立
1963 救急搬送が消防業務になる(交通戦争による外傷者中心)
1964 「救急告示病院制度」
1967 大阪大学に特殊救急部が開設(高次医療の草分け)
1976 「当面とるべき救急医療対策について」
   初期救急医療 開業医が輪番で担当
   2次救急医療 総合病院が輪番で担当
   3次救急医療 救命救急センター設置
1987 高齢化により外傷者<病人→病人搬送が消防業務になる
1991 欧米に比べCPA生存率が低い→救急救命士制度
   医師の指示のもとに、
   1.AED、
   2.ラリンゲアルマスクによる気道確保
   3.静脈路確保と乳酸リンゲル投与
1998 救急告示病院が初期、2次、3次救急に統合
以降、救急救命士のできることが広がる
2003 医師の指示がなくても除細動ができる
2004 気管挿管
2006 エピネフリン投与
☆災害医療=3T
・triage,treatment,transport
☆災害医療の特徴
・限られた資源(医者、看護師、薬)を有効活用するために、死にそうになっている人で助けられる人をトリアージ(選別)する必要がある。
・高度医療が必要な人をトリアージし搬送する。
(適切な患者を、適切な時期に、適切な手段で、適切な医療機関に移動させる)
・求められる医療が時間とともに変化する。
 救出、救助→救急医療→慢性疾患、精神サポート
☆災害医療体制
問題点
・被害状況の情報収集が困難
・ライフラインの低下により診療機能が低下
・初動期に、被災地外からの医療支援が遅れる
・防災訓練が不十分
・メンタルヘルス対策が不十分
対策
・応援協定の締結(他府県からの協力)
・広域搬送システムと緊急消防援助隊の導入
・災害拠点病院
 要件:重症患者の救命、医療チームの派遣、機材の提供、ヘリポートと搭乗医師、24時間体制
 (救命救急センターでなくてもよい)
・DMATの設置
 急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム
 任務
 1情報収集
 2トリアージ、治療、搬送
 3医療機関(特に災害拠点病院)での支援
 4広域搬送拠点での支援
・トリアージ
 黒:死亡、救命不可能
 青:自立歩行可能
 黄:赤青でないもの
 赤:呼吸数30回/分以上、CRT(爪床還流)2秒以上、指示に従えない
・トリアージはくりかえし行う。

§9 熱中症と低体温
☆熱中症の分類
・日射病、熱けいれん、熱疲労、熱射病
☆日射病(最も軽症)
・直射日光→皮膚血管拡張、筋血流増加→循環血漿量低下
・38度以下の場合に使う。
☆熱けいれん
・激しい運動→発汗過多→水だけを補充→Na濃度低下→強直性痙攣(痛い)
・筋痙攣が激しい時はミオグロビン尿(Mb尿)を伴う。
・治療は生理食塩水2本の補給、Mb尿時は急性腎不全対策
☆熱疲労
・熱射病の前段階。臓器障害には至っていない。体温は39度~40度、皮膚は蒼白だが発汗はある。
・水だけが失われる高張性脱水(小児や高齢者)や水の補給だけを行った場合には低張性脱水になる。
☆熱射病
・体温の上昇で視床下部の体温中枢が障害→41度以上でミトコンドリア障害→42度以上で細胞内のタンパク変性→細胞障害→多臓器不全
・著しい脱水と発汗停止、脳圧亢進による意識障害、循環不全による腎不全、肝不全、ST上昇とT波陰性化、肺鬱血によるPaCO2上昇
・深部体温は直腸温、膀胱温、食道温、鼓膜温の2つ以上で測定する。
・治療は、冷却(頚部、鼠径部、腋窩)、冷却輸液、冷水胃洗浄、冷却体外循環。ただし、冷却は38度になったら止めること。
・解熱薬は無効。
cf)熱中症
①熱痙攣(Ⅰ度熱中症):汗(=1/2生食)喪失+水だけの補給→低Na→悪心嘔吐意識障害、治療は1/2生食輸液
②熱虚脱(Ⅱ度熱中症):脱水→血圧↓→末梢循環不全で乏尿、粘稠度↑で脳梗塞、治療は1/2生食輸液
③熱射病(Ⅲ度熱中症):発汗過多→脱水→発汗不能→体温↑→視床下部体温中枢×でもっと体温↑↑→体蛋白崩壊、治療は1/2生食輸液+腋窩鼠径部の冷却(ぬるま湯蒸散)
☆偶発性低体温
・深部体温が35度以下 
・低血圧なのに徐脈(→低体温、VVR、神経原性ショック、下壁梗塞)
・軽度(32-35度):交感神経亢進(→血圧↑、頻脈、高血糖)
 中度(28-32度):心筋抑制、血管透過性↑、ADH分泌低下(→心拍出力↓、徐脈、血圧↓、代謝性アシドーシス)
 重度(28度未満):意識障害、心室細動
☆偶発性低体温の治療
・酸素投与、輸液、循環管理(心マ、除細動、ドパミン、ドブタミン)
・高度低体温にはPCPSを考慮。リドカイン、アトロピンなど薬剤効果は少ない。
・復温
 34度以上→Passive external Rewarming=室温、毛布
 30度以上→Active external Rewarming=体幹中心の電気毛布、ストーブ
 30度以下→Active internal Rewarming=加温輸液、加温加湿酸素、加温PCPS、温水膀胱洗浄、胃胸腔への温水注入
・Rewarmingショック
 external rewarmingによって皮膚血管が拡張
→心臓の復温が遅れて心拍出量が上がらず、末梢需要に追いつかない、冷却血液が心臓へ還流
→血圧低下(ショック)、心室細動
 ∴internal rewarmingとともに輸液を忘れないこと。

脳神経外科学ポイント

脳神経外科学ポイント


<意識障害>

■意識清明とは1.意識内容が正常で、2.刺激に対する反応があり、3.覚醒している状態である。
これらの3つの要素のうち、生命に関わるのは覚醒の度合いである。
意識に関係するのは上行性網様体賦活系ascending reticular activating systemと視床下部調節系hypothalamic controlling systemで、上行性網様体賦活系は延髄、橋、中脳、視床下部、視床にまたがる網様体で、大脳半球の新皮質に広く投射し調節している。視床下部調節系は大脳半球の辺縁皮質に投射して調節している。

■JCS(Japan Coma Scale)
意識清明は0点で、最も意識レベルが悪いと300点となる。

 覚醒している               刺激すると覚醒する       刺激しても覚醒しない    
1大体意識清明だが今ひとつはっきりしない 10普通の呼びかけで開眼する   100痛み刺激をはらいのける
2見当識障害がある            20大きな声やゆさぶりで開眼する 200痛み刺激に手足を動かしたり、顔をしかめる
3名前、生年月日が言えない         30痛み刺激で開眼する      300痛み刺激に反応しない

■GCS(Glasgow Coma Scale)
意識清明は15点で、最も意識レベルが悪いと3点となる。E,V,Mの各領域の点数を加えたもので判定する。

 E(eye opening)     V(best verbal response)      M(best motor response)    
4spontaneous      5orientated           6obeys commands
3to speech       4confused conversation      5localize
2to pain        3inappropriate words       4withdraws
1none          2incomprehensible sounds     3abnormal flexion
            1none              2extends
                             1none

■特殊な意識障害
特殊とは疾患の急性期を脱してさしせまった生命の危機はないが、意識が回復しない、または意識がないように見える状態である。
1)無動性無言akinetic mutism
病名通り動かず、話さずの状態だが、時には目が開いて意識がはっきりしているようにも見えるが、非常に強い刺激以外はほとんど反応しない。覚醒・睡眠サイクルは見られる。末梢の感覚神経、運動神経の異常はない。

2)失外套症候群apallic syndrome
大脳半球pallicの全体的破壊が原因である。本症は器質的障害部位により命名されており、無動性無言と症状は同じ。

3)植物症患者vegitative patients
自律神経系は正常で覚醒・睡眠サイクルが見られる。だが、これ以外の運動神経、感覚神経、大脳の精神活動は機能していない。
本症と無動性無言、失外套症候群は症状からはほとんど区別できないが、本症は症状が進行していなく、無動性無言、失外套症候群は症状が進行中に見られる意識障害の時に使われる。

4)閉じ込め症候群locked-in syndrome
意識障害はないが、意思疎通の手段がほとんどなく、意識がないように見るだけである。脳底動脈閉塞による橋梗塞例に多い。四肢麻痺、無言をきたし、意思表示の手段は目の開閉、眼球の上下運動のみである。

5)通過症候群transit syndrome
大脳の器質的損傷をうけた意識障害患者が意識清明になる途中で自発性喪失、感情不安定、健忘などの症状を示す。

■脳死判定
<前提条件>
1.器質的脳損傷によってJCSで300点、GCSで3点であること。
2.原疾患の診断が確実で、どんなに治療しても回復しないこと。
<除外例>
1.6才未満の場合。
2.薬物中毒、低体温、代謝内分泌疾患などによって脳死と間違われやすい状態にあるとき。
<判定基準>
1.JCS300点、GCS3点の深昏睡である。
2.人工呼吸器をはずすと自分で呼吸ができない自発呼吸喪失の状態。
3.瞳孔が左右とも4mm以上で固定。
4.対光反射、角膜反射、毛様脊髄反射、眼球頭反射、前庭反射、咽頭反射、咳反射の脳幹反射の消失。
5.最低4導出で30分間の脳波平坦。
6.以上の5項目が満たされた後、6時間たっても変化がない。



<脳血管障害>

Ⅰ.脳動脈瘤cerebral aneurysm

■破裂する脳動脈瘤は、80%が先天性で嚢状をしている。その他の原因は動脈硬化、細菌、梅毒で、紡錘状に拡大しているが、これは滅多に破裂しない。いずれの型も動脈瘤の壁は中膜が欠損している。
嚢状のものは頚部neckと体部fundusに分かれ、体部には一部飛び出た鶏冠blebが見られ、多くはこの部分が破裂する。好発部位はWillis動脈輪のIC-PC分岐部、ACom、MCA最初の分岐部である。

■症状
急性期は破裂によって起きたクモ膜下出血によって髄膜刺激症状、つまり、頭痛、嘔吐、項部硬直をきたす。項部硬直は出血後24時間たって見られることが多い。
症状は出血の程度(漏出から周囲脳を圧排する程の大量出血まで)によって異なり、重症例ではすぐに意識障害をきたして死亡したり、頭蓋内圧の上昇によって網膜静脈が圧迫されて硝子体下出血が見られるものもある。また重症例で早期に重篤な意識障害をきたすと、最後まで項部硬直が見られないこともある。
脳動脈瘤の位置によっては脳内出血を起こし、神経脱落症状を示すものある。
IC-PC分岐部の動脈瘤では、動眼神経の周辺部を走る副交感神経、上眼瞼挙筋支配神経が圧迫され、散瞳、眼瞼下垂きたすこともある。
亜急性期には破裂部位の近位や遠位の血管が一過性に血管れん縮vasospasmをきたすことがある。
vasospasmには破裂直後に起こり、すぐに寛解するearly vasospasmと、急性期を過ぎて症状が安定したときに起こるdelayed vasospasmがある。delayed vasospasmはSAH後、2週間以内に起き、2週間続く。
これにより脳虚血が広範に起こり、意識障害、片麻痺等の神経学的症状を示したものをsymptomatic vasospasmという。

■検査
腰椎穿刺では出血後3週間で赤血球の破壊産物であるキサントクロミーの黄色が消えて水様透明になる。
CTでは出血の量によって脳槽(大脳半球裂、鞍上槽、迂回槽、Sylvius裂、脚間槽、四丘槽)の全体または一部が高吸収域として、白く写る。ただし、出血が少量の時や時間経過したものはwash outされるので、MRI、FLAIR、腰椎穿刺で診断する。
確定診断は脳血管撮影によって行い、一側の内頚動脈撮影で動脈瘤が見つかっても、それが破裂したという確信がない限りは4-vessel studyを行う。20%は多発性である。

■治療方針
初回破裂での死亡率は15%である。
破裂後の再出血は出血後1日後(特に6hr以内)がピークで2週間以内に50%におこり、再出血での死亡率は50%である。さらに破裂動脈瘤を放置した場合、1ヶ月で50%が死ぬ。また年間の破裂率は3%である。
Hunt&Kosnikの重症度分類のGrade3(昏迷、昏睡、重篤な片麻痺)までは早期手術(開頭クリッピング、コイル塞栓術)が有効だが、Grade4,5では早期手術よりも意図的晩期手術の方が明らかに成績がよかった。
早期手術の利点はvasospasmの最大の要因であるクモ膜下血腫を除去できることで、欠点は出血によって腫脹した脳には侵襲が大きく、またクモ膜下血腫を除去してもvasospasmを完全には防げないことである。
意図的晩期手術の利点は症状が安定するのを待って行うために術後の脳浮腫、vasospasmの危険性が少なく、侵襲も少なくて済む。しかし、待機している間に再出血、vasospasmで死亡することがある点である。
再出血を防ぐために抗線維素融解酵素を用いても、今度はvasospasmが起きやすくなってしまうというジレンマがある。

■治療
直視下に動脈瘤頚部クリッピングneck clippingを行うが、動脈瘤全体を露出できなかったり、動脈硬化があってクリッピングするとparent arteryが狭窄してしまう場合は合成樹脂接着剤、筋肉片で動脈瘤全体をコーティングする。
最近はSeldinger法にて大腿動脈経由でX腺透視下にカテーテルを動脈瘤部位まで進めて、金属コイル等で塞栓する血管内手術が行われることもある。


Ⅱ.脳動静脈奇形arteriovenous malformation(AVM)

胎生期3週の毛細血管形成期の異常で、動脈が毛細血管を経ずに直接静脈に注ぐ。動静脈の吻合部は肉眼でミミズが塊となって群がったように見え、nidusという。また流入動脈をfeeder、導出静脈はdrainerという。
導出静脈には動脈血が流れるので拍動がありred veinともいう。
AVMの周辺には陳旧性出血巣も見られ、過去にsilent captureがあったことを示唆している。
AVMは脳表に存在することが多いが、一部は脳内部に埋没している。血管抵抗の高い毛細血管を欠くため、導出静脈に大きな圧がかかるので、AVMは腫瘍のように徐々に大きくなっていく。
さらに毛細血管がないために効率が悪く、盗血現象steel phenomenoneによってAVM周辺脳には萎縮が見られる。
好発部位は80%以上がテント上に発生し、発症年齢は30才代にピークがある。

■症状
症状は1出血で発症するのが60%で、2けいれん発作や神経脱落症状で発症するのが40%である。
1.限局性のSAHによって髄膜刺激症状をきたすが、脳動脈瘤破裂と違ってvasospasmは起きない。
AVMの一部は脳内に埋没していることが多いので脳内出血をきたすこともある。一般に小さいAVMの方が破裂しやすい。
2.けいれん発作はJackson型や局所型となることが多く、若年者で抗てんかん薬が効かない場合は本症を考える。
精神症状、早発痴呆、TIA、頭痛、片麻痺などの神経脱落症状で発症することもある。
中脳水道にできたAVMでは脳脊髄液の循環障害で閉塞性水頭症きたすこともある。

■重症度分類
Spetzler分類
大きさ 
<3cm  1点  
3-6cm 2点
6cm   3点

周辺脳の機能的重要性
non-eloquent 0点
eloquent   1点

導出静脈の場所
superficial 0点
deep        1点

■検査
脳血管撮影を行うと、feeder,nidus,drainerの全てがそろったAVMばかりとは限らず、feederのみやdrainerだけの像が見られることもあり、これをangiographycally occult AVMまたはcryptic AVM(潜在性AVM)という。
破裂したAVMでも脳動脈瘤と異なり大量のクモ膜下出血像になることはまれである。
AVMは腫瘍のように徐々に大きくなっていくが、腫瘍のような周辺への圧排像は見られない。

■治療
Gradeが低くく、摘出しても神経脱落症状きたさない場合は、出血の有無に関わらず開頭nidus塞栓術を行う。
Gradeが高く、深部にあって摘出が難しい場合などはγ-knife、開頭下にfeeder clipping、血管内手術によるnidus塞栓術等を行う。γ-knifeの適応はnidusが3cmまでの症例となっている。


Ⅲ.高血圧性脳出血hypertensive intracerebral hemorrhage

■脳出血の原因疾患は高血圧の他、脳動脈瘤、脳動静脈奇形、もやもや病、脳腫瘍、出血性素因、頭部外傷や原因の不明な特発性脳出血がある。

■原因は長期間の高血圧によって脳深部を潅流する穿通枝が類線維素変性fibrinoid degenerationをきたし、続いて血管壊死が起こり、これに基づいてできた微小動脈瘤が破裂して出血する。
出血はMCAのM1部から分枝するレンズ核線条体動脈が潅流する被核が50%、PCAから分枝する視床膝状動脈が潅流する視床が30%、皮質下が10%、橋、小脳等である。

■検査
・plainCT(単純CT)では直後は高吸収域high、2週たつと周囲から等吸収域isoになっていき、中心部の高吸収域は小さくなっていく。
3週後には、全て等吸収域になり、脳実質と区別ができない。1ヶ月をこえると低吸収域になっていく。
・enhancedCT(増強CT)では1週から6週の間に血腫周囲の肉芽組織内の血管新生によるring enhancementが見られるが、血腫周囲にグリオーシスができると消失する。
・MRIでは出血直後はT1で等信号、T2で等信号だが、それから1週間以内ではT1で等信号、T2で低信号、1ヶ月たつまでにT1で高信号、T2で高信号に移行していく。1ヶ月以降はT1で低信号、T2で低信号。

■治療
外科治療として開頭血腫除去術、定位的穿頭血腫吸引術が行われる。しかし、橋、視床の出血では原則、行わない。
JCS30点以下やCT分類Ⅲb以下、血腫量が30ml以下の軽症例では定位的穿頭血腫吸引術の方が成績がよい。


Ⅳ.閉塞性脳血管障害

■原因のほとんどは、総頚動脈起始部、分岐部から2cm以内の内頚動脈、眼動脈起始部、起始部から頚椎横突起孔に入るまでの椎骨動脈、脳底動脈、Willis動脈輪、MCA等にできた粥状硬化atherosclerosis(動脈硬化の一つ)による血管狭窄やそこに生じた潰瘍によって血栓が誘発・形成され閉塞する脳血栓症である。
その他の原因はこれらの動脈や心臓内にできた血栓が飛んできて詰まらせる脳塞栓症、高血圧や糖尿病による穿通枝の細動脈硬化(動脈硬化の一つ)、モヤモヤ病、大動脈炎症候群による閉塞である。

■症状の発症様式は3つに分類される。
・切迫卒中とは多くは数分、長くても1日以内に一過性に脳局所脱落症状をきたすものを指す。TIAともいう。
・進行卒中とは突然発症した神経脱落症状が数分から3日の間に進行するものを指す。切迫卒中や完成卒中に落ち着く。
・完成卒中とは突然発症した神経脱落症状が、すでに完成しているものを指す。このうち症状が1日以上3週間以内に消失するものを可逆性虚血性神経脱落RINDという。

■症状
閉塞した動脈が潅流する部位によって異なるが、例えば一側の内頚動脈が閉塞の場合、Wilis動脈輪が正常に機能していれば循環障害はおきないし、さらに末梢の狭窄でも側副血行が発達していれば、神経脱落症状は軽度ないし示さない場合もある。
一側の内頚動脈閉塞に特異的な症状として一過性黒内障がある。これは数分間、片眼が一過性に失明するものである。

■検査
・plainCTでは6時間以内では異常所見は見られない。これを過ぎると梗塞部位は徐々にlowになっていき、3日目にはっきりとlowになり、浮腫による圧迫もはっきりしてくる。1ヶ月たつと浮腫が消えて梗塞巣がはっきりしてくる。1年たつと梗塞巣はグリア組織に置き換えられて永続的な梗塞域となる。脳室は発症前と比べて拡大する。
2週から3週にかけていったん生じたlowが消えて、一見正常化してくることがあり、fogging effectという。
血流再開で出血性梗塞をきたすとlowとhighが混在してくる。
・enhancedCTでは梗塞巣の血管はBBBが破壊され、自動調節能が障害されているので透過性が亢進し造影剤が漏出するため増強されるが、陳旧性梗塞巣は増強されない。
・MRIでは梗塞巣の水分量を反映してT1でlow、T2でhighになる。MRIによって無症候性脳梗塞が見つけられるようになり、このうち、脳深部の穿通枝閉塞が原因の2mmから2cmのものをラクナ梗塞という。3mm以下のものは血管周囲腔の拡大であることもある。
・脳血管撮影は侵襲的な検査で、現在は造影剤を用いない非侵襲のMRAが先に行われることが多い。
・頚動脈硬化と虚血性脳血管障害/冠動脈疾患が相関するので、頚部の超音波検査はスクリーニング検査として有効である。

■治療
内科治療:
血栓症の場合は血栓溶解療法としてウロキナーゼ、tPA、血液希釈療法として低分子デキストラン、抗血小板療法としてトロンボキサン合成阻害薬を、塞栓症の場合は抗凝固療法としてワーファリン、ヘパリンを静脈内全身投与する。
6時間以内の超急性期ではカテーテルによる局所動注投与する場合もある。
血圧は上昇しているが、梗塞巣の拡大、側副血行の減少が起きるのを防ぐ意味で、全身状態が危険な場合以外は降圧しない。
頭蓋内圧亢進に対してはマンニトール、グリセロール、副腎皮質ステロイドを投与する。

外科治療:
・頚動脈内膜切除術は有症状の頭蓋外内頚動脈70%以上の狭窄例に有効である。
・EC-ICバイパス術はTIA,RINDを繰り返す、頭蓋内の内頚動脈やMCA起始部の狭窄例に有効である。
・梗塞周囲の浮腫が頭蓋内圧上昇の原因となり、内科治療が効かず、脳ヘルニアが切迫している例では減圧開頭術を行う。


Ⅴモヤモヤ病moyamoya disease

■原因不明でウィリス動脈輪、内頚動脈の閉塞、狭窄がおこり、二次的に脳底部を中心としたモヤモヤ血管を形成し、側副血行の発達が見られる。10才と30才にピークがあり、その比率は2:3である。

■症状
小児では側副血行の発達不全や機能不全のために脳虚血をきたし、一過性、反復性の運動麻痺では本症を考える。
成人では加齢による側副血管の脆弱化で出血と虚血が半々でおきる。
閉塞例の症状は閉塞性障害と同じく、切迫卒中、進行卒中、完成卒中の発症様式が見られる。

■治療
急性期:脳内出血は出血量が少なく、また出血部位が深部であることが多いので、血腫吸引術は行わないが、脳室内出血は多いので出血量が多い場合や水頭症をきたした場合は脳室ドレナージを行う。
亜急性期、慢性期:
血流改善を目的として、浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術、脳表-側頭筋付着術、脳表-浅側頭動脈付着術などのEC-ICバイパス術を行う。
頚部交感神経切断術が行なわれることもあるが少ない。



<脳腫瘍>

腫瘍総論

■好発年齢
           小児              成人(中年)            
  1位 星状細胞腫 astrocytoma     1位 髄膜腫 meningioma
  2位 髄芽腫 medulloblastoma     2位 下垂体腺腫 pituitary adenoma
  3位 頭蓋咽頭腫 craniopharyngioma  3位 髄芽腫 medulloblastoma
  4位 胚芽腫 germinoma          4位 聴神経腫瘍 acoustic neurinoma
  5位 上衣腫 ependymoma        5位 星状細胞腫 astrocytoma

■好発部位
2歳から6歳まではテント下に多いが、この年齢以外(新生児期から2歳までと学童期以降の成人)ではテント上に多い。
小児でトルコ鞍上部の腫瘍は頭蓋咽頭腫、胚芽腫を、成人では下垂体腫瘍をまず考えるが、頭蓋咽頭腫、髄膜腫も考えられる。
小脳腫瘍の場合、小児ではまず小脳半球なら星状細胞腫を、小脳虫部なら髄芽腫を考える。成人では血管芽腫を考え、網膜にも病変がないか検索する。
astrocytomaは小児では小脳、橋に好発し、成人では後頭葉以外の大脳半球に好発する。
胚芽腫以外の胚細胞腫germ cell tumorは松果体に好発する。

■増殖形式
・伸展性増殖は周囲脳を機械的に圧排しながら大きくなる。髄膜腫、下垂体腺腫、聴神経腫瘍に見られる。
・浸潤性増殖は周囲脳に浸潤しながら大きくなる。乏突起膠細胞腫oligodendroglioma、星状細胞腫、胚芽腫に見られる。海綿芽腫、胚芽腫の境界部は浸潤性だが、腫瘍自身の増殖は伸展性である。
・破壊性増殖は浸潤性増殖の一つであるが、周囲脳組織を破壊しながら増殖する。症状の進行も速い。膠芽腫glioblastoma、転移性脳腫瘍に見られる。

■予後に関係する因子
1)増殖のスピード
腫瘍の発生から手術までの期間の短いものは手術による延命期間も短く、発生から手術までの期間が長いものは延命期間も長い。
2)術後に再発するかどうか
一般的に伸展性増殖するものは、肉眼的に全摘できれば、再発しない。だが、浸潤性増殖するものは肉眼的に全摘し、さらに術後の放射線療法、化学療法を行っても再発してくるのが現状である。
3)脳腫瘍の転移
脳腫瘍は普通は転移しない。それは頭蓋内にリンパ系が存在しない、BBBによって腫瘍細胞が血中に入りにくい、脳静脈の構造が特殊なために、腫瘍の増殖によって容易に圧迫、閉塞されてしまう、中枢神経系以外では増殖しにくい上に、腫瘍に対する宿主側の免疫反応により、転移しても増殖できない、等の理由が考えられる。
このように脳腫瘍は一般に、転移しにくいが、くも膜下腔、脳室内に顔を出した腫瘍が髄液腔に広がる、つまり播種されることがある。また髄膜に浸潤し頭皮のリンパ系を介して、患側の頚部リンパ節に転移することもありうる。さらにiatrogenicなケースとして、シャントチューブを介しての転移や、術中に腫瘍細胞で帽状腱膜や皮下組織を誤って汚染し、転移することもありうる。
4)多発性かどうか
一般に多発性脳腫瘍は転移性脳腫瘍、悪性リンパ腫に見られ、高齢者に好発し、予後も厳しい。
少ないが胚芽腫、上衣腫でも多発性に見られることもある。
5)さらに組織学的悪性度、腫瘍の発生部位、患者の年齢、等がある。

■検査
・単純CT(plainCT):
悪性度が低いほど、やや低吸収域lowで、悪性度が高いほど、細胞や間質の密度が高いことを反映して、やや高吸収域highになる。
さらに浸潤性増殖、悪性なら境界が不鮮明である。また、悪性度が高いほど周囲の浮腫も強く、腫瘍周辺は低吸収域となる。腫瘍像の中にはっきりとした高吸収域(high)が見られた場合、腫瘍内出血や石灰化が考えられ、はっきりとした低吸収域(low)では、壊死巣、嚢胞が考えられる。
・増強CT(enhancedCT):
悪性度が高い程、BBBが破壊され、血管内皮細胞の自動調節能が低下しているので増強される。
・MRI:T1で低信号low、T2で高信号highとなる。悪性腫瘍では多彩な組織成分を反映して、信号は不均一となる。
・脳血管撮影:
悪性では新生血管が豊富に分布するbrushing stainが毛細血管相で認められる。浸潤性増殖では主幹脳血管の偏位は著明ではない。

■治療
・外科手術
良性腫瘍で、全摘によって全治が約束される場合は、許容しうる後遺症の範囲内で全摘を目指す。
悪性腫瘍に対する外科手術の目的は
1.症状を改善すること。つまり全摘をめざすよりも、できるかぎりさらなる神経脱落症状が加わらないようにする。
2.腫瘍容量の減少、これは取れば取るほど、後の放射線・化学療法の効果が上がる。
3.病理組織像によって診断を確定し、薬剤感受性を調べ、抗癌剤の選定をし、治療計画を立てること、である。
・放射線治療
放射線に対する感受性は腫瘍の種類によって異なり、膠芽腫、髄芽腫、悪性リンパ腫等の悪性腫瘍に対しては、かなり効果がある。また胚芽腫は浸潤性増殖し悪性だが、極めて感受性が高く、悪性の臨床経過をとらない。
放射線による腫瘍の縮小効果は腫瘍内の栄養血管の閉塞や狭窄によるものと考えられおり、腫瘍に対する直接作用はない。
放射線はG2期、M期にある腫瘍細胞(5%)にしか効果がないので、腫瘍細胞を一斉にG2期、M期に同調させるビンクリスチン、ACNU等を併用する細胞周期同期化学放射線療法を行うこともある。
悪性腫瘍に対しては全量で60Gyを照射するが、正常脳組織は70Gy以上の照射で遅発性放射線壊死をきたすので、全脳照射は行われず、局所照射が行われる。γ-knifeはドーム状に内蔵された201個の60Co微小線源から定位的にガンマ線を数ミリから3cmまでの目標に集束させて鋭く照射する。
全脳腫瘍の5年生存率は70%程である。最も予後が悪い膠芽腫は7%、次が悪性星状細胞腫で20%である。

■症状
脳腫瘍による症状は徐々に発症し、より詳しく分析してみると常に進行性である。
一見、間欠的なてんかん発作であってもよく見ると間欠期が短くなっていたり、抗てんかん薬が効きにくくなる等、進行性である。
ただし、悪性腫瘍や下垂体腺腫では腫瘍内出血をきたし、あたかも脳卒中のように急激に発症することもある。
さらに、症状は器質的・機能的損傷や機能的刺激による巣症状と腫瘍自体の大きさや、周囲の浮腫による頭蓋内圧亢進症状からなる。
悪性の場合はそれほど大きくないのに周囲の浮腫により、頭蓋内圧亢進症状が巣症状よりも先行し、進行は月単位で進む。視力障害がある場合は、うっ血乳頭は軽度である。
良性の場合、かなり大きくなっても症状をしめさないが、腫瘍による圧排に対する周囲脳の適応限界を超えると急に症状を示す事がある。通常、症状の進行は年単位で進む。視力障害がある場合、眼底所見は重篤なうっ血乳頭が見られる事が多い。



神経膠腫

中枢神経系実質である神経上皮細胞(astrocyte、oligodendrocyte、ependymal cell)由来の脳腫瘍が神経膠腫gliomaである。

Ⅰ.膠芽腫glioblastoma
■astrocyte由来の極めて悪性のものである。5年生存率は7%しかない。50才にピークがある。
astrocytoma,malignant astrocytoma,glioblastomaと次第に悪性化するものと、最初からglioblastomaとして発生するものがある。
好発部位は前頭葉、側頭葉、頭頂葉で、後頭葉は稀である。基底核、視床部も稀だが、他部位からの浸潤はある。
発育が急速、浸潤性でしかも破壊性なので、腫瘍周囲の浮腫も強い。
脳梁を介して対側の大脳半球に浸潤するbutterfly typeも見られる。
脳室壁に進展すると播種することもあるが、術前の転移は稀である。
初発症状は頭痛が最も多い。眼底所見では、うっ血乳頭は軽いが、視力障害は強い。

■膠芽腫では単純CTで境界不鮮明なぼんやりとした低吸収域像の中にはっきりとしたhigh,はっきりとしたlowが混在する。
増強CTでは、不均一に増強され、周囲に多房性の壊死巣を取り囲む腫瘍実質がgarland-like ringenhancement(花輪状)を呈する。


Ⅱ.星状細胞腫astrocytoma
1)大脳星状細胞腫cerebral astrocytoma
■神経膠腫の中でも比較的、良性腫瘍だが、浸潤性増殖する。大脳半球に好発する。
中年に多いが膠芽腫よりも若く、30才にピークが見られる。
発育が緩徐で、頭蓋内圧亢進症状の前に、巣症状が出やすい。

■CT、MRIは原則通りだが、脳血管撮影は、腫瘍に新生血管が少ないので無血管野を示す。

2)小脳星状細胞腫cerebellar astrocytoma
神経膠腫の中で最も良性である。小児に多くみられ、一側の小脳半球に好発する。
大きな嚢胞を形成する事が多く、中には髄液とは異なるタンパク質を多く含んだ黄色の液体が含まれる。
嚢胞壁に付着した壁在結節があり、これが腫瘍本体である。多くは、嚢胞壁には腫瘍細胞はなく、増強CTで増強されない。もし増強された場合は嚢胞壁に腫瘍があると考えられる。

■単純CTでは嚢胞はlowで、増強CTで壁在結節が均一に増強される。壁在結節を全摘すれば治癒する。

3)脳幹膠腫brainstem glioma
橋に多く見られ、小児に好発する。組織型はastrocytomaが最も多いが、一部はglioblastomaも見られる。
組織学的に良性であるが、発生部位が生命中枢なので、手術療法は行われず、放射線治療を行うが、1年以内に死亡する。つまり臨床的には悪性である。嚢胞を形成している場合は嚢胞シャント術を行うこともある。

4)視神経膠腫optic glioma
小児に多いが成人にも見られる。NF1に付随して発生することがある。
頭蓋単純写真で視神経管が4.6mm以上、あるいは左右差が2mm以上なら拡大している。
腫瘍が頭蓋内で大きくなると、トルコ鞍底部が平坦化してくる。これは頭蓋咽頭腫でも見られる。

Ⅲ.乏突起膠細胞腫oligodendroglioma
■大脳皮質に好発し、40才にピークがある。比較的良性だが、腫瘍内出血をきたし、突然に発症することもある。また、両側性、深部に発育する傾向があるので、臨床的には良性とは言いきれない。
大脳皮質の中でも、約半数は前頭葉に好発してんかん発作をきたす事が多い。

■検査
単純CTで、境界が鮮明な低吸収域を示すが、中には大きな結節性の石灰化像による高吸収域が見られる事がある。増強CTでは増強されない。

Ⅳ上衣腫ependymoma
■脳室壁を構成する上衣細胞ependymal cellから発生する。小児に多いが、成人にも見られる。
発生部位は小児では第4脳室が多く、成人では側脳室、第3脳室、中脳水道、脊髄が多い。
第4脳室に発生した場合、中脳水道や上部頚椎管の髄液腔に沿って広がるが、付着部は第4脳室にある。
一方で、側脳室に発生した場合は大脳皮質へ進展する。ただし、浸潤性ではなく被膜を伴っている。上部頚椎管に進展した場合は、項部硬直、肩こり、頚部運動制限等の症状をきたす。

■検査
単純CTで等吸収域isoを呈する。約半数に石灰化による小さい円形の高吸収域を認める。
増強CTでは、均一または不均一に増強される。

Ⅴ.髄芽腫medulloblastoma
■小児に多く見られ、小脳虫部に好発するので正中部腫瘍と言われる。第4脳室、両側小脳半球に急速に浸潤していき、症状の進行が極めて速い。

■単純CTで小脳虫部に境界が鮮明な高吸収域が見られる。増強CTでは均一に増強される。



髄膜腫・下垂体腺腫

Ⅰ.髄膜腫meningioma
■40才台にピークがあり、女性に多い(1:1.7)、良性腫瘍である。以下、好発部位順に述べる。
・傍矢状部髄膜腫parasagittal meningioma
70%が中央3分の1にでき、下肢の痙性麻痺、またはJackson型痙攣をきたす。前3分の1にできると巣症状きたすことなく、相当大きくなって、頭蓋内圧亢進症状をきたす場合が多いが、記憶・知能障害、性格変化で発症する事もある。
・大脳鎌髄膜腫falx meningioma
前、中央3分の1が多く、下肢の痙性麻痺の程度が強く、排尿障害もきたす。しばしば反対側にも進展する。
・円蓋部髄膜腫convexity meningioma
大脳半球円蓋部に発生する。前頭葉に好発し、てんかん発作、巣症状をきたす。
・蝶形骨縁髄膜腫sphenoid-ridge meningioma
外3分の1では局所症状をきたさないが、内3分の1に生じると脳神経のⅡ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴの圧迫による症状をきたす。
・嗅溝髄膜腫olfactory groove meningioma
頭蓋底篩板部に発生する。頭痛、嗅覚消失、Foster-Kennedy症候群、痴呆・多幸症・性格変化などの精神症状をきたす。Foster-Kennedy症候群は、腫瘍の圧迫よって1次的に視神経萎縮、嗅覚消失をきたし、次に、腫瘍や周囲の浮腫による頭蓋内圧亢進で反対側の眼底にうっ血乳頭をきたすというものである。有名だが稀である。
後ろ3分の1に生じると鞍上部髄膜腫や下垂体腺腫と同じ機序で視障害をきたす。
・側脳室髄膜腫lateral ventricular meningioma
脳室脈絡叢に随伴する髄膜組織から発生する。栄養血管は前/後脈絡叢動脈である。側脳室三角部、側脳角に好発する。
・小脳橋角部髄膜腫cerebellopontine angle meningioma
頭痛・めまい・眼振・失調や脳神経障害をきたす。この部位の病変による眼振をBruns眼振(一側注視で振幅大、頻度小、他側注視で振幅小、頻度大の眼振)という。

■検査
単純CT:髄膜腫は血管に富み、境界の鮮明な、やや高吸収域を示す。良性腫瘍を反映して周囲の浮腫は少ない。
造影CT:均一に増強される。中心部に壊死巣が低吸収域として認められることもある。
MRI:T1で低信号、T2で高信号を示す。Gd-T1で付着部硬膜が増強されるdural tail signが見られるが、腫瘍が硬膜へ浸潤していることは少ない。
脳血管撮影:髄膜腫は外頚動脈の枝である中硬膜動脈由来のfeederに栄養されているので、選択的外頚動脈撮影によってfeederの1点から小さい血管が腫瘍に放散しているsun burst appearance像が見られる。

■治療
できる限り全摘を目指すが、頭蓋底など難しい部位にあるときは部分摘除にとどめ、術後に放射線療法を行う。
また全摘できた場合でも、組織学的検索で悪性成分が認められたときも同様に放射線治療を行う。
手術前に血管内手術でfeederを塞栓してから手術を行うと、出血も少なく、摘出しやすい。

■再発率
髄膜腫の再発率は、どの程度、徹底的に手術したか、すなわちSimpsonのgradingによって決まってくる。
GradeⅠ:腫瘍の肉眼的全摘の後、硬膜付着部および異常骨の除去を加える。  再発率9%
GradeⅡ:腫瘍の肉眼的全摘の後、硬膜付着部に電気凝固を加える。再発率19%
GradeⅢ:腫瘍の肉眼的全摘の後、硬膜付着部の電気凝固、骨除去をしない。 再発率29%
GradeⅣ:腫瘍の部分摘出のみ。再発率39%
GradeⅤ:生検の有無に関わらず、単に減圧術のみを行ったもの。

Ⅱ.下垂体腺腫pituitary adenoma
■30、40才台にピークがある。ほとんどは良性だが、稀に悪性型がある。

■症状
他の脳腫瘍と同様に徐々に発症するが、腫瘍内出血をきたす事が多く、あたかも脳卒中のように急激に発症する(下垂体卒中)。
症状は腺腫による圧迫による症状の他、機能性下垂体腺腫の場合は腫瘍が産生するホルモンによる症状がある。
<圧迫による症状>
下垂体前葉の圧迫により、ホルモンの産生・分泌を阻害する。GH、FSH/LH(ゴナドトロピン)、ACTH、TSHの順に阻害される。
視交叉optic chiasmaが前下方から押し上げられ、視力障害や典型的には両耳側半盲をきたす。
三叉神経第1枝が豊富に分布する鞍隔膜が圧迫され、眼の奥から眼底上部にかけての頭痛をきたす。
視床下部や下垂体茎の圧迫によって、視床下部から分泌されるPIF(prolactin inhibitory factor:ドパミン)が遮断され、高プロラクチン症状をきたす。
<ホルモン産生による症状>
一番多いのはプロラクチン産生腫瘍で、全体の30%である。女性では無月経、乳汁分泌過多をきたし、男性では性欲低下、勃起不能、乳汁分泌などで、異常と気づきにくく、視障害をきたしてはじめて来院する場合、腫瘍はかなり大きくなっていることが多い。
次がGH産生腫瘍で、長骨骨端が閉じる前なら巨人症を、閉じた後なら末端肥大症をきたす。
他に高血圧、全身倦怠感、関節痛、糖尿、発汗過多などが見られる。
ACTH産生腫瘍はクッシング病と言われ、クッシング症候群の一つである。

■検査
頭蓋単純写真:
正常トルコ鞍は最大の横幅が17mm、鞍結節と後床突起を結ぶ線から鞍底部までの高さが最大13mmである。
腺腫の進展で、トルコ鞍が拡大するとballooning像を呈し、鞍底部が破壊され見えなくなるとghost sella像を呈する。腫瘍が左右いずれかに深く進展するとdouble floor像を呈するようになる。
HardyのX線学的分類:
  Grade   ⅠⅡⅢⅣ   
トルコ鞍拡大 -+-+
鞍底部の破壊 --++
単純CT:低吸収域を示す。
増強CT:やや高吸収域に増強される。
MRI:正常下垂体前葉は腺下垂体ともいい、T1、T2で高信号で灰白質と同じ信号を呈する。後葉は神経下垂体ともいい、脂肪組織に富むのでT1で高信号、T2で等信号を呈する。腺腫は他の脳腫瘍と同じくT1で低信号、T2で高信号を呈する。Gd-T1では増強される。
脳血管写真:腫瘍の上部への進展により、ACAのA1-elevation、内頚動脈のsiphonの開大が見られる。
■治療
手術療法はsubfrontal,transsphenoidal(Hardy法)の二つのapproachがある。プロラクチン産生腫瘍の場合、ブロモクリプチン(ドパミン作動薬)を投与すると血中のプロラクチン濃度が低下し、腫瘍自体も縮小するので術前に投与される。腫瘍が小さい場合はブロモクリプチン投与のみで治療することもある。


頭蓋咽頭腫・松果体部腫瘍・聴神経鞘腫・血管芽腫

Ⅰ.頭蓋咽頭腫craniopharyngioma
■胎生期の頭蓋咽頭管(トルコ鞍と咽頭を結ぶ蝶形骨内の管)の遺残であるRathke嚢から発生する良性腫瘍で、ほとんどが石灰化を伴った嚢胞を作る。
小児の鞍上部腫瘍suprasellar tumorといえば頭蓋咽頭腫であり、次は胚芽腫を考える。

■症状
鞍上部に発生して上方に伸展すれば、第3脳室やモンロー孔を閉塞して非交通性水頭症をきたしたり、尿崩症・性早熟・低体温・発作性の意識障害などの視床下部症状をきたす。
下方に伸展すれば、視交叉を後上方から圧迫し下方から始まる、左右非対称の両耳側半盲をきたす。また、下垂体を圧迫すれば非機能性下垂体腺腫と同様の症状をきたす。

■検査
頭蓋単純写真:上からの圧迫でトルコ鞍が平坦化したsaucer-like sellaが見られ、鞍上部には石灰化化が認められる。
単純CT:やや低吸収な嚢胞と、嚢胞壁に沿った石灰化による高吸収域が認められる。
増強CT:嚢胞が不規則に増強され、嚢胞壁の石灰化はさらに高吸収域に増強される。
MRI:脳実質と同じ信号でT1・T2でisoとなる。嚢胞内にモーターオイル様の黄褐色の液体を含むことがあり、コレステロールを多く含むので、T1・T2で高吸収域を示す。

Ⅱ.松果体部腫瘍
■70%が胚細胞由来の胚細胞腫瘍germ cell tumorで精巣・卵巣といった生殖器細胞類似のきわめて多彩な組織像を呈する。胚細胞腫瘍は体の正中線上の生殖器、脳、縦隔、後腹膜に好発する。男児に多い。残りは、松果体細胞腫、松果体細胞芽腫である。

■分類
1)胚芽腫germinoma
胚芽腫のみは松果体部よりも鞍上部に発生することが多く、性差はない。一方、松果体部に発生するのは男児に多い。精巣のseminoma、卵巣のdysgerminomaと同じ組織像を示す。PLAP胎盤性アルカリフォスファターゼを産生する。
浸潤性増殖するが、放射線感受性が強い。悪性の臨床経過をとらないが、脳室内播種、脳室壁に浸潤することがある。
2)奇形腫teratoma
成熟奇形腫とは骨・軟骨・粘液腺・上皮・筋などのみからなる。
未熟奇形腫はこの他に神経外胚葉、内胚葉、中胚葉の要素を含み、悪性である。
3)卵黄嚢腫瘍yolk sac tumor
卵黄嚢の組織構築に類似し、AFP(αフェトプロテイン)を産生する。
4)絨毛癌choriocarcinoma
胎盤の栄養膜細胞由来の腫瘍でHCGを産生する。
5)胎児性癌embryonal carcinoma
胎児成分、胎盤や卵黄嚢などの胎児外成分への分化能を示す、未熟な腫瘍であり、AFP、HCGを産生する。

■症状(松果体部に発生する腫瘤による症状)
中脳水道を圧迫し、非交通性水頭症による頭蓋内圧亢進症状を呈する。
中脳の上丘を圧迫し、Parinaud sign、Argylle-Robertson pupilを示す。
Parinaud signは上下の眼球共同運動が障害され、多くは動眼神経核後方の輻輳中枢も圧迫され、輻輳麻痺も伴う。
Argylle-Robertson pupilは縮瞳、対光反射消失、輻輳反射消失の3徴候をしめし、梅毒でよく見られるが、中脳圧迫でも生じる。
また小脳脚を圧迫し小脳症状を呈することもある。
一方、胚芽腫などのように鞍上部に発生した場合は頭蓋咽頭腫と同じような症状を呈する。

■検査
頭蓋単純写真:正常では、成人の3人に1人に松果体部の石灰化を見るが、小児では稀で、石灰化があれば、松果体部腫瘍を考える。

Ⅲ.聴神経鞘腫acoustic neurinoma
■小脳橋角部腫瘍の90%が第8脳神経(聴神経)に発生するSchwann細胞由来の神経鞘腫(Schwannoma)である。
聴神経のうち前庭神経から発生することが多い。40才にピークがある良性腫瘍である。

■症状
高音域を中心とした聴力障害から始まる。耳鳴りを伴うこともある。前庭神経から発生するわりにはめまいを初発症状とすることはない。これはゆっくりと増殖するため、中枢性代償機能が働くためである。
腫瘍が発育するに従って三叉神経、顔面神経症状が出現し、さらに小脳症状や、中脳水道圧迫による頭蓋内圧亢進症状もきたす。最終的には舌咽神経(Ⅸ)、迷走神経(Ⅹ)、副神経(ⅩⅠ)症状も出現する。

■検査
・各種聴力検査、ABR、前庭機能検査を行う。
・頭蓋単純写真:タウンview、ステンバースviewで撮影し、内耳道の異常を見る。
・CT:単純CTではisoからlowを示す。増強CTで均一に増強される。(MRIは他の脳腫瘍一般と同じ)

■治療
park bench position、坐位で後頭下開頭術により摘出する。
手術により顔面神経を切断した場合は、舌下神経、副神経、横隔膜神経などと吻合術anastomosisを行う。

Ⅳ.血管芽腫hemangioblastoma
■遺伝性のものは20才台に、非遺伝性では30才台にピークがある。小脳半球に好発し、Lindau病とも言う。
網膜にも血管腫や血管芽腫が生じた場合はvon Hippel Lindau病という。しばしば、頭蓋内、全身に血管腫が多発する。一部の症例で多血症をきたすことがある。
70%は嚢胞を形成し、腫瘍自体は嚢胞壁に壁在結節となって付着しているcystic typeで、残りは充実性のsolid typeである。

■検査
・単純CTではどのタイプでも腫瘍部分はisoを示す。嚢胞部分はlowとなる。増強CTで腫瘍部分は増強される。
・MRIでは嚢胞がT1でlow、T2でhighとなり、多くの脳腫瘍と同じである。
・脳血管写真では腫瘍部位にtumor stainが見られ、小さく、多発性でも腫瘍の個数分だけ、造影される。

泌尿器ポイント

泌尿器ポイント

・腎門部はL1、前からVAU(静脈、動脈、腎盂)
・左腎静脈には左副腎v、左精巣v、左卵巣vが入る
・(内)線維被膜→脂肪被膜→腎筋膜(Gerota筋膜)(外)
・副腎は腎筋膜の内側、横隔膜内側脚に接する
・腎皮質は中胚葉、髄質は外胚葉由来
・尿管の生理的狭窄部位:腎盂尿管移行部、総腸骨動脈交叉部、膀胱尿管移行部
・尿管は大腰筋前面、総腸骨AV前面を通過
・女性では尿管は膀胱子宮靱帯を貫く
・膀胱三角部:内尿道口と2つの尿管口から成る三角、Wolff管由来、中胚葉、腫瘍結核の好発部位
・膀胱の筋層:3層(内縦、中輪、外縦)
・尿道は前立腺部→膜様部→海綿体部→舟状窩、前立腺部は移行上皮、膜様部と海綿体部は円柱上皮、舟状窩以降は扁平上皮、膜様部が最も狭い
・勃起中枢はS2-4(副交)、射精は交感支配
・精巣細胞(精細管内)→16日で精祖細胞→16日で精母細胞→16日で4個の精娘細胞→16日で4個の精子
・精粗細胞→精母細胞は体細胞分裂、以降は減数分裂
・Sertoli細胞:精細管内、精子形成補助、FSHで↑
・Leydig細胞:精細管外、テストステロン分泌、LH↑、間質細胞とも言う
・前立腺液:プロスタータ(前立腺)に含まれるグランド(分泌物)→PGを含む(血中に入らないので精液には子宮収縮作用なし)
・Y染色体上のSRY遺伝子により5週に精巣形成、アンドロゲン産生→8週に外性器の分化開始→3Mに外性器完成、精巣下降開始
・正中臍索:膀胱と臍をつなぐ管が退化したもの、尿膜管癌が発生(膀胱腺癌)
・腎疝痛→結石、急性腎盂腎炎
・精巣疝痛→精巣捻転症
・膀胱刺激症状:残尿感、排尿痛、頻尿。膀胱炎、膀胱癌、前立腺肥大
・背部叩打痛(CVA-t):尿管結石、急性腎盂腎炎(腎石灰化では痛みなし)
・膀胱炎、尿道炎は発熱なし
・急性前立腺炎は係留熱、急性腎盂腎炎は間欠熱
・尿閉の原因:前立腺肥大、神経因性膀胱、骨盤内の癌再発(子宮頚癌、直腸癌、胃癌)、抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、三環系抗うつ薬
・尿濃縮力障害→夜間頻尿、原因は低K、高Ca、慢性腎盂腎炎、間質性腎炎
・尿失禁
①真性:尿管異所性開口(奇形、TUR後)→尿路形成
②奇異性:尿閉(前立腺肥大、神経因性膀胱)→間欠的自己導尿
③切迫性:膀胱炎、脳血管障害、パーキンソン病、OAB→抗コリン薬
④緊張性:女性、腹圧負荷→排尿訓練
・過活動性膀胱OAB(over active bladder):膀胱の不随意の収縮→切迫性尿失禁、疼痛あり、治療は抗コリン薬、Caブロッカー
・肉眼的血尿:尿1L中に1ml以上の血液(0.1%)
・顕微鏡的血尿:400倍検鏡で赤血球5個以上(沈査は1500回転/分×5分)
・無症候性血尿:腎細胞癌、腎盂癌、尿管癌、膀胱癌(泌尿器癌)
・Thompsonの2分杯法:第1,2尿ともに混濁なら膀胱より上、他は尿道
・ED:腎不全で起こることあり!、夜間陰茎勃起試験で勃起ありなら心因性
・EDの治療:①クエン酸シルデナフィル(バイアグラ)→cGMP分解抑制で血管拡張、ニトロとの併用は禁忌②PGE1海綿体注射
・陰嚢透光性あり→陰嚢水腫
・新生児の側腹部腫瘤→水腎症(腎盂尿管移行部狭窄)
・幼児の腹部腫瘤→神経芽腫、Wilms腫瘍
・尿沈査:白血球円柱→腎実質の炎症、赤血球円柱→糸球体の炎症、尿酸→4角形、シスチン結晶→6角形、シュウ酸結晶→8面体
・腎細胞癌:腎嚢胞、腎動静脈奇形との鑑別→選択的腎動脈造影
・KUB:腎、尿管、膀胱の単純Xp、腹臥位で撮影することに注意
・IVP:静脈性腎盂造影→ヨードアレルギー、糖尿病性腎症、MM、アミロイドーシス、脱水、腎不全では禁忌
・レノグラム:血流相(腎a狭窄で↓)→分泌相(水腎症で↓)→排泄相(結石で↓)、糸球体濾過は99mTc-DTPA、尿細管は99m-MAG/DMSAを使用
・副腎シンチ:皮質は128Iアルドステロール、髄質はMIBG
・尿流曲線(排尿速度-排尿時間)では残尿量不明(スパイロで残気量不明と同じ)
・TUR-P→前立腺肥大、TUR-Bt→膀胱腫瘍
・TUR症候群:水中毒で低Na→悪心、嘔吐、意識障害、肺水腫、治療は3%NaCl+フロセミド、予防は生理食塩水で還流する(電気メス使用時は付加)
・尿路変向:皮膚ろう、回腸導管、尿管S状結腸吻合(尿の再吸収で高Cl性アシドーシス、結腸内に結石多発)
・尿閉:ネラトンカテーテルで導尿、無理ならエコーで膀胱内尿を確認後、恥骨上部から垂直に穿刺
・馬蹄腎:尿管が峡部前方を通過→尿停留→水腎症、尿路感染、結石、Turnerに合併多い、症状あれば腎盂形成術
・海綿腎:両側の腎乳頭部に嚢胞→嚢胞内に尿停留→結石、感染。先天性だが壮年期に発見される
・Potter症候群:両側腎無発生→耳介低位、羊水過少→関節拘縮、肺形成不全、致死性
・孤立性腎嚢胞:片側性、遺伝性なし、無症状
・ARPKD:胎児期に羊水過少→肺低形成→呼吸不全。または小児期に腎不全→腹部腫瘤。門脈周囲の線維化→門脈圧亢進
・ADPKD(成人型多発性嚢胞腎):両側性に多数の嚢胞→両側腹部腫瘤、高血圧、蛋白尿、血尿。中年で発症、10年くらいでCRF。肺、肝、膵にも嚢胞、脳動脈瘤合併
・先天性水腎症:新生児期の側腹部腫瘤で最多、腎盂尿管移行部狭窄が原因、無症状、腎機能正常なら経過観察で自然治癒!
・重複腎盂尿管:Weigert-Meyerの法則
腎の上から出た尿管は膀胱の下へ→尿管瘤(cobra head)で閉塞起こしやすい
腎の下から出た尿管は膀胱の上へ→VURで逆流起こしやすい
・下大静脈後尿管(PLIVC):IVCの発生異常でIVCが尿管の前に来る→右の水尿管閉塞→水腎症、尿路感染、結石
・VUR(膀胱尿路逆流現象):尿管膀胱移行部の発生異常(小児)、前立腺肥大、神経因性膀胱、重複腎盂尿管→反復性の腎盂腎炎、水腎症、検査は排尿時膀胱造影で尿管や腎杯の拡張程度を見る、生後数ヶ月で自然治癒、治癒しないなら外科的再建
・尿管異所性開口:男は外括約筋より近位に開口し尿失禁はない、女は外括約筋より遠位に開口し尿失禁あり
・尿管瘤:尿停滞→尿管拡張→水腎症、結石、腎不全
・尿管狭窄:尿管腎盂移行部に多い
・膀胱瘤:高齢女性、立位で膣口から膣前壁に覆われた球形腫瘤が突出、腹圧性尿失禁、二段排尿、排尿痛はなし
・POP(pelvic organ prolapse):骨盤臓器脱、子宮脱、膀胱脱、直腸脱の総称、進行性、再発性、手術かペッサリー
・尿道裂
下裂:女は膣に開口、男は陰茎前彎で勃起障害
上裂:膀胱外反を伴う、男児に多い
・後部尿道弁:前立腺部に弁→微弱、滴下するような尿線→両側水腎症
・腎盂腎炎の原因→①VUR+尿路感染②血行性
・STDは尿道炎→前立腺炎→精巣上体炎
・尿路感染:成人は女に多い(∵尿道が短い)、老人は男に多い(∵前立腺肥大)、乳児は性差なし、尿培養は中間尿で10の5乗/ml以上、基礎疾患のない単純性と基礎疾患のある複雑性、ともに起炎菌は大腸菌
・クラミジア尿道炎:2週間前に性交渉、治療はテトラサイクリン、エリスロマイシン(マクロライド系)、NQ。細胞内寄生→好中球集まらず→非化膿性分泌物のみ、排尿痛なし、発熱なし。産道感染で新生児結膜炎、新生児肺炎、女性は卵管炎、骨盤炎、腹膜炎、Fitz-Hugh-Curtis(AST↑,ALT↑)
・淋菌性尿道炎:3日前に性交渉、G-桿菌、膿汁漏出、排尿痛あり、発熱なし、慢性化すると尿道狭窄起こす
・急性膀胱炎:性的活動期の女性、膀胱刺激症状(頻尿、排尿痛、残尿感、血尿)、発熱なし、治療は水分摂取と尿排泄性抗菌薬
・間質性膀胱炎:自己免疫、膀胱刺激症状、過活動性膀胱
・出血性膀胱炎:アデノ11、シクロホスファミド、放射線(頚癌の内照射etc)
・急性腎盂腎炎:発熱、CVAt+、造影CTで楔形の低吸収域
幼児(女児)→VUR、移行部狭窄
青壮年期男→尿路結石
老年期男→前立腺肥大、神経因性膀胱
・慢性腎盂腎炎:発熱なし、腎萎縮、高血圧、尿濃縮力障害、尿細菌培養陰性のことあり
・急性前立腺炎:悪寒戦慄を伴う発熱、会陰部不快感、排尿痛、頻尿、尿混濁、治療は脂溶性抗菌薬(テトラサイクリン、アミノ配糖体、NQ)、前立腺マッサージは禁忌
・慢性前立腺炎:発熱なし、排尿痛、排尿困難、頻尿、Xpで前立腺の石灰化、プロスタトディニア(圧痛のみで炎症-、細菌-)
・精巣上体炎(副睾丸炎):これだけ淋菌(急性)、結核(慢性)、ベーチェット(他は全て大腸菌)、発熱、疼痛、陰嚢腫脹、硬結(ムンプスは精細管炎)
・尿路結核:肺結核から血行性、大部分は自然治癒、米のとぎ汁様無菌性膿尿、膀胱鏡で結核結節、結核性潰瘍、Xpで漆喰腎(石灰化)、尿路狭窄から膀胱萎縮へと進行
・尿路結石:側腹部痛と血尿とくれば石!CVAt+
95%は上部(腎、尿管)、夏、30代男性、30%は再発性、15%は両側性
分類:
80%はシュウ酸Ca結石、リン酸Ca結石
10%はMAP結石(リン酸Mgアンモニア結石)→尿路感染が原因
5%は尿酸結石、1%はシスチン結石→Xp陰性結石、CTには写る
原因:
70%は特発性(高Ca尿症伴うことが多い)
30%は続発性(原発性副甲状腺機能亢進症、ビタミンD中毒、紅茶/日本茶/ほうれん草/柑橘類はシュウ酸が多い、RTA、アセタゾラミド(緑内障治療薬)、シスチン尿症、高尿酸血症、プロテウスやクレブシエラ等の尿路感染(→MAP結石→腎盂にサンゴ状結石))
誘因:神経因性膀胱、腎盂尿管移行部狭窄、尿道カテーテル、長期臥床
予防:重曹で尿のアルカリ化(ただしMAP結石はアルカリ化禁忌)
治療:10mm以下はwash out、ブスコパン、NSAID。内視鏡的経尿道尿管破石術TUL、水腎症には尿管ステント、ESWL(炎症+、妊婦は禁忌、結石嵌頓挫に注意)。Ca結石はサイアザイド、尿酸結石にはアロプリノール、シスチン結石にはDペニシラミン
・膀胱結石:痛みなし、ESWL、内視鏡的膀胱破砕術、EDTAで溶かす、神経因性膀胱、前立腺肥大、尿道留置カテーテルによる
・腫瘍マーカー
前立腺癌→PSA(スクリーニングに使う、唯一早期診断可能)、γ-Sm
卵黄嚢腫瘍、胎児性癌、奇形癌→AFP
絨毛癌→hCG
・腎細胞癌:腺癌、50代男、古典3徴(無症候性血尿、側腹部腫瘤、腎部疼痛)、随伴症状(発熱、倦怠感、多血症(EPO↑)、高Ca(PYHrP↑))、合併症は腫瘍塞栓による左精索静脈瘤、腺癌なので放、化は効かない、肺転移があっても根治手術する!、転移例にもIFN有効
・腎芽腫(Wilms腫瘍):乳児期の腹部腫瘤、アクチノマイシンDが著効、合併症としてWAGR(無虹彩、尿路奇形、精神遅滞)、Beckwith-Widermann(臍帯ヘルニア、巨舌、巨体)
・腎盂尿管腫瘍:移行上皮癌、多発再発性、無症候性血尿、側腹部鈍痛、片側水腎症、再発防止のため腎も含めて尿管摘出
・膀胱腫瘍:移行上皮癌、しかし頂部は尿膜管由来で腺癌、原因はタバコ、染料(ナフチルアミン、ベンチジン、4-アミノジフェニル、オーラミン、マゼンダ)、膀胱三角部に多い、無症候性血尿、再発性膀胱炎、排尿障害、水腎症、リンパ行性肺転移、診断は尿細胞診、膀胱鏡、浸潤度判定にMRI、治療は表在癌にはTUR-Bt,BCG!,抗癌剤注入、浸潤癌には膀胱、前立腺、精嚢全摘と尿路変向
・前立腺肥大:内腺の肥大→尿道圧迫強い、弾性硬、表面平滑、経直腸的エコーで癌と鑑別、尿流測定で残尿程度を知る、国際前立腺症状スコア(8-19が中等症)
病期1期:夜間頻尿→αブロッカー
病期2期:残尿→αブロッカーかTUR-P
病期3期:尿閉、奇異性尿失禁→TUR-P
・前立腺癌:外腺由来、骨転移→骨形成性、石様硬、凹凸不整、経直腸的針生検で確診
ステージA:前立腺肥大のTUR-Pで癌が偶然全部とれた→経過観察
ステージB:前立腺内に限局→全摘か密封小線源
ステージC:被膜外に進展→密封小線源
ステージD:転移例→抗アンドロゲン療法(LHRHアナログ、エストラムチン-フォスフェイト療法=E+抗癌剤)
・精巣腫瘍:無痛性陰嚢腫大、発赤や透光性なし、生検禁忌→とりあえず高位精巣摘除術、90%が胚細胞由来、卵黄嚢腫瘍は0~10才、セミノーマは20~40才、悪性リンパ腫は50才~
セミノーマ:最多、放射線感受性大、治療は高位摘+シスプラチン+放
胎児性癌、卵黄嚢腫瘍、奇形腫:AFP↑、治療は高位摘+シスプラチン
絨毛癌:hCG、初期から血行性転移で予後不良、治療は高位摘+シスプラチン
悪性リンパ腫:治療はCHOP療法?
・神経因性膀胱:排尿困難→肉柱形成、結石、VUR、水腎症。排尿中枢はS2-4、排尿中枢より下の障害→残尿→奇異性尿失禁、尿意は知覚神経障害ならなし、治療は間欠的自己導尿(1日5,6回)
・精索静脈瘤:90%が左、腎細胞癌による腫瘍塞栓が原因、両側性では不妊
・精索捻転症:幼少、思春期、6h以内にope、Prehn徴候(精巣を手で持ち上げると疼痛↑)、精巣上体炎はPrehn徴候なし(持ち上げると疼痛↓)、対側睾丸も予防的に精巣固定術を行う
・精巣外傷:白膜の縫合か対側精巣への自己免疫予防のため精巣摘出術

放射線科ポイント

放射線科ポイント

放射能の単位
・核分裂する物質=放射性物質、放射性同位元素(RI)
・放射能=核分裂能、結果出てくるのが放射線
・ベクレル(Bq)→放射能の単位、1Bqは1秒に1個の原子核が崩壊
 シーベルト(Sv)→出てくる放射線の単位、安全管理で使う
 グレイ(Gy)→体に吸収される放射線の単位、治療管理で使う
・基本は1Sv=1Gy、α線は1Sv=5Gy~20Gyくらい
・SvとBqの関係は放射性同位元素(RI)の種類、時間、距離、摂取方法によって違うが、
 だいたい
 プルトニウム:1Sv=1万Bq
 I131:1Sv=100億Bq

電離放射線
・X線→加速させた電子を金属にぶつけたときにでてくる電磁波。エネルギー小
・γ線→原子核から出てくる電磁波。エネルギー小
・β線→電子
・α線→ヘリウムの原子核
・陽子線
・中性子線
・重粒子線→炭素の原子核

治療や診断に使う電離放射線
・X線
 電子を金属にぶつけて出る放射線
 単純X線写真、血管造影、CT、リニアック高エネルギーX線治療
・γ線
 原子核崩壊で出る電磁波
 シンチグラフィー、放射線治療(要するにRIを使う治療)

治療や診断に使うRI
 RIから出るγ線を利用する
・密封小線源療法
 Ra,Cs,Ir,Au
 上咽頭癌、舌癌、喉頭癌、乳癌、子宮頸癌、前立腺癌、食道癌
・RI内服療法
 131I
 甲状腺分化癌、Basedow病
・シンチ
 mがついたものはジェネレーターでカウから作る
 99mTcO4→脳、胃、甲状腺、唾液腺
 201Tl→心筋シンチ
 67Ga→腫瘍、炎症、サルコイドーシス
 111In→脳槽シンチ
・PET
 投与は投与直前にサイクロトロンで作る
 18F-FDG→グルコース代謝量測定
 H2-15O→脳血流量、酸素代謝量測定

確率的影響
・すこしでも被爆すると線量に比例して障害の発生率が上がる、晩期障害(数ヶ月以降)
・発癌と遺伝(→少しだからと言って安心出来ない)
非確率的影響(確定的影響)
・ある線量(閾値)を超えるまでは起こらない障害
・①早期障害→皮膚、骨髄、消化管、生殖器 ②晩期障害→水晶体、腎臓、肺

非確率的影響の閾値(以下は1Sv=10Gyとして計算した)
・骨髄は5Gy=0.5Sv=500mSv
・性腺は35Gy=3.5Sv=3500mSv
・皮膚/水晶体は50Gy=5Sv=5000mSv

正常臓器の耐容線量TD50/5(5年後に50%に障害が生じる線量)(以下は1Sv=10Gyとして計算した)
・水晶体、卵巣は12Gy=1.2Sv=1200mSv
・精巣は20Gy=2Sv=2000mSv
・腎臓は28Gy=2.8Sv=2800mSv
・他はだいたい60Gy=6Sv=6000mSv程度以上(脳、消化管、肺、皮膚など)

整形外科ポイント

整形外科ポイント

・皮質骨:緻密骨、同心円柱層状(=オステオン)
 海綿骨:骨梁、多孔性、中に骨髄
・オステオン:縦方向→ハーバース管、横方向→フォルクマン管
・皮質骨基質:1型コラーゲン、ハイドロキシアパタイト(Ca,P)
 軟骨基質:2型コラーゲン、プロテオグリカン、椎間板や半月体も同じ
・関節や気管の軟骨は硝子軟骨、椎間板や半月板は線維軟骨、耳介は弾性軟骨
・関節軟骨は血流がないので再生しない
・骨芽細胞:アルカリフォスファターゼ活性大、10%が骨細胞になる
 骨細胞:力学的負荷を感知→骨芽細胞を活性化?
 破骨細胞:酸フォスファターゼ活性大→前立腺癌の骨転移で↑
・閉経→E↓→骨吸収↑↑>骨形成→高代謝型骨粗鬆症
 老化→骨吸収>骨形成↓↓→低代謝型骨粗鬆症
・骨粗鬆症の治療:
骨形成促進:ビタミンD,K
骨吸収抑制:ビスフォスホネート(食事30分以上前に服用)、カルシトニン、ラロキシフェン(選択的E受容体モジュレーター、血液凝固亢進)
・肩関節外転→C5(腋窩N)、三角筋
 肘関節屈曲→C5,6(筋皮N)、上腕二頭筋
 肘関節伸展→C7,8(撓骨N)、上腕三頭筋
 膝関節屈曲→
 膝関節伸展、股関節屈曲→L2,3,4(大腿N)、大腿四頭筋
 アキレス腱反射→S1
 足関節背屈(伸展)→L5(総腓骨N)、前頸骨筋
 足関節底屈(屈曲)→腓腹筋、ヒラメ筋、長腓骨筋
・L4→足関節内反/背屈、脛骨稜内側の知覚(L3/4ヘルニア)
 L5→足趾5本背屈、母趾の知覚(L4/5ヘルニア)
 S1→足関節外反/底屈、踝の知覚(L5/S1ヘルニア)
・関節拘縮→関節の外、関節強直→関節の中の異常
・Thomas試験:関節拘縮を見る、健側大腿を腹部に近づけると患肢が持ち上がる
 Spurling徴候:頸椎ヘルニア、変形性頸椎症を見る、頭部を横に傾けると痛み
 Lasegue試験:下肢挙上で下肢後面の痛み、坐骨神経の圧迫を見る
 Trendelenburg徴候:足を上げた方の骨盤が下がる、先股脱、大腿骨頚部骨折、中臀筋や小臀筋の麻痺
 Hoffmann反射:中指を上から弾くと母指が屈曲
 Chadock反射:中指を下から弾くと母指が屈曲
・間欠性跛行:ASO/TAO(足背動脈拍動なし)、腰部脊柱管狭窄(しゃがみこむと改善)
・骨膜反応:onion peel(Ewing肉腫)、snnray spicula,Codman三角(骨肉腫)
・myeloCT→水溶性非イオン性造影剤を使うこと!
・早期診断は骨シンチかMRI
・シンチ
99mTc-MDP:リモデリング部位に集積(骨折部位など)(P=リン酸化合物)
67Ga:腫瘍、炎症、サルコイドーシス
・関節鏡→膝、肘、肩、足関節に使用
・関節液:正常は白血球数200以下、感染があると10万越える
・人工関節:感染性関節炎があれば治癒しても人工関節はしない、チタンなのでMRI可、骨セメント硬化時にショックで血圧低下
・車椅子:C6がOKのとき(親指が動かせる)
・褥瘡→デブリードメント、湿潤にする(乾燥はだめ)
・MMT:0<収縮<1<屈曲<2<重力<3<外力<4<全力<5
・大理石病:破骨細胞↓→チョークボーン→頭蓋骨過剰骨化→脳神経圧迫
・骨Paget病:破骨細胞↑→易骨折性→骨肉腫のベース(老人で)、頭蓋骨過剰骨化で脳神経圧迫
・骨壊死の原因→潜函病、Gucher病を忘れるな
・Sudeck骨萎縮:骨折の後に疼痛を伴った急激な骨萎縮(∵自律神経反射)
・Dupuytren拘縮:環指、小指のMP、男、両側性、遺伝性あり
・Volkman拘縮:上腕骨顆上骨折→ギプス固定→コンパートメント症候群、阻血6-8h以内に筋膜切開で徐圧、コンパートメント症候群はギプス、熱傷、家屋倒壊による圧迫で起こる
・軟骨無形成:AD、FGFR3の異常、骨端軟骨の成長障害、四肢短縮型低身長、知能正常、思春期以降に脊柱管狭窄、治療はGH投与、イリザノフ法
・骨形成不全(van der Hoeve):AD、Ⅰ型コラーゲンの異常→膜性骨化の異常、易骨折性、青色強膜、伝音性難聴(耳小骨異常)
・モルキオ症候群:AR、ムコ多糖代謝異常、椎体扁平化→躯幹短縮型低身長、角膜混濁、尿トルイジンブルー染色+
・急性骨髄炎:男児、下肢、骨幹端、黄ブ菌、血行性、早期診断は骨シンチかMRI
・骨髄炎の慢性化:抗菌薬で24h以内に改善しないなら切開排膿減圧
Brodie:膿→限局性に周囲が骨化
Garre:Xpで広範な骨幹部の骨肥厚
・脊椎カリエス:冷膿瘍、Pott麻痺、亀背
・股関節結核:随意跛行
・化膿性脊椎炎:老人、DM、肝硬変、黄ブ菌、椎間板狭細化
・化膿性関節炎:関節注射が原因、関節の持続洗浄、関節液えい糸性低下
・乳児化膿性股関節炎:黄ブ菌、大腿骨頚部の骨髄炎から波及、おむつの交換時に激しく泣く
・Charcot関節:DM→感覚障害→過運動→関節破壊、人工関節の適応にはならないことが多い
・変形骨関節症のXp所見:関節裂隙の狭小化、骨硬化、骨棘、嚢胞
・変形性股関節症:先股脱に続発、CE角、Trendelenburg跛行、大腿骨/臼蓋/骨盤骨切り術(Salter,Chiari)、人工関節
・変形性膝関節症:肥満、関節内遊離体あり、治療は減量、NSAID、膝サポーター、膝伸展筋訓練(大腿四頭筋訓練)、ヒアルロン酸注射、脛骨高位骨切り術、人工関節
・変形性頚椎症:頸椎症状、疼痛、運動障害、神経根症状、上肢のしびれ、筋力低下、線維束れん縮、治療は頸椎カラー、前方/後方除圧術
・OPLL:脊柱管狭窄、アジア、DM、家族性、治療は安静、除圧
・脊柱管狭窄症:軟骨無形成、変形性脊椎症、脊椎すべり症、ヘルニア、OPLL、黄色靱帯肥厚、椎間関節肥厚
・肩関節周囲炎:五十肩、痛くて肩が水平までしか上がらない、原因は石灰性腱炎、変形性関節症、腱板炎、治療は温熱療法、運動療法、1年くらいで自然軽快する
・肩峰下インピンジメント症候群:肩峰下包、棘上筋腱が肩峰、烏口突起に衝突し断裂、painful arc sign(60-120°挙上位で疼痛)、治療は運動禁止、肩峰下包ステロイド注射、肩峰下面骨切除
・頸椎椎間板ヘルニア:30-50代、C5/6(C5の前後)、Spurling試験
・腰椎椎間板ヘルニア:20-40代、L4/5,L5/S1(L5の前後)、腰痛の4%、運動で増悪する腰痛、SLR(straight leg raising test,ラゼーグ試験)で下肢後面に放散する疼痛→坐骨神経痛(L4/5,L5/S1)、FNS(femoral nerve stretching test)で大腿全面の疼痛→L3/4、治療はPLDD法(レーザー減圧)、PD法(レーザーの代わりに鉗子使用)、MED(内視鏡)、LOVE法(手術)、手術適応は排尿障害、進行性の下肢麻痺
・筋膜性腰痛症:ぎっくり腰の大部分、腰部筋膜の炎症
・腰椎分離症:上下関節突起が分離、L5、スポーツによる疲労骨折、成人になって分離すべり症を起こすと脊柱管狭窄
・大腿骨頭すべり症:10代、肥満男児、骨頭が股関節から離れると骨頭壊死起こす
・脊柱側彎症:特発性は思春期→腸骨骨端核の骨化程度を見る、女子、右側、続発性は脊椎先天異常(半椎、楔状椎、癒合椎)、脳性麻痺、Duchenne、vonReckringhausen、Marfan、前屈時の肋骨隆起や肩甲骨隆起、Cobb角(弯曲起椎と終椎の水平線のなす角)が50°未満ならMilwaukee装具、50°以上なら椎体固定・骨端症:治療は安静、免荷
Perthes:サッカー少年、大腿骨頭
Kohler:幼児、足の舟状骨
Freiberg:女、中足骨頭
Kienbock:男、手の月状骨
Scheuermann:青年、亀背
離断性骨軟骨炎:肘、膝、関節ねずみ(関節鏡で摘出)、成人は膝が軽度外反→内側に力→大腿骨内側顆の離断、野球少年、治療は骨釘、掻爬後自己軟骨移植
Osgood-Schlatter:膝、膝蓋腱付着部損傷→脛骨粗面の膨隆や運動時痛、陸上少年
・大腿骨頭壊死:前上部、帯状硬化が初発、Xpで異常のないStageⅠの早期診断はMRI、骨シンチはcold in hot、治療は骨切り術(壊死骨の除去)、人工骨頭
・骨腫瘍:骨端部はEwing肉腫と骨巨細胞腫のみ
骨軟骨腫:10代、長幹骨骨幹端、成長すると腫瘍の発育も止まる、無痛性
内軟骨腫:10代、手や足の指の骨幹端
骨巨細胞腫:20,30代、膝の骨端部、soap bubble appearance
類骨骨腫:10,20代、長幹骨の骨幹部、夜間痛とアスピリンによる改善、MRIで黒の中に白
骨肉腫:10,20代、膝の骨幹端、Codmann三角、spicula、結節性肺転移が多い、放射線無効、治療は広範囲切除+メトトレキセート
Ewing肉腫:10才前後、骨盤、長幹骨の骨端部、onion peel、全身炎症所見が強い→骨髄炎と間違えやすい、治療は広範囲切除、放射線感受性高い
転移性:乳癌、肺癌は骨破壊性、前立腺癌は骨硬化性(酸フォスファターゼ↑)
・脊髄腫瘍
髄内:神経膠腫、上衣腫
硬膜内髄外:神経鞘腫、髄膜腫
硬膜外:転移性腫瘍(肺癌、乳癌、前立腺癌)
・先天性股関節脱臼(LCC):開排制限、ひだの左右差、Ortolani(開排位で大腿骨頭を動かすと音)、Barlowテスト、Allisサイン(乳児期以降、膝を立てると高さに左右差)、Xpで大転子がRoserNelaton線、Wollenberg線(両側Y字軟骨を結ぶ線)より上、Ombredanne線(臼蓋縁の垂直接線)より外側、治療はリーメンビューゲル装具→overhead牽引、臼蓋形成不全には骨盤骨切り術(Salter,Chiari)
・先天性内反足:両側性、男児が多い、内転、内反、尖足、凹足、治療はデニスブラウン装具、診断にXp無効
・先天性筋性斜頚:出生1週以降に胸鎖乳突筋に腫瘤、90%は半年以内に自然治癒
・外傷性脱臼:症状は疼痛、変形、異常肢位、ばね様固定、診断はX線2方向(cf.頚椎損傷はX線4方向)、治療は直ちに整復→固定(3週間)→リハビリ
・環軸椎亜脱臼:RAの死因、延髄圧迫で呼吸困難
・肩関節脱臼:前方脱臼、前方不安感テスト(肩関節外旋外転で不安感)、関節造影でBankart病変(上腕骨関節窩の剥離)、Hill-Sachs病変(上腕骨頭骨折)、Kocher法、Hippocrates法
・肘関節脱臼:後方脱臼、Huter三角の乱れ、尺骨神経麻痺、Volkmann拘縮
・股関節脱臼:後方脱臼、股関節は屈曲、内転、内旋位をとる
・アキレス腱断裂:底屈可能、つま先立ち不能、下腿三頭筋把握テスト(下腿三頭筋把握で底屈しない)、治療はギプス固定が主、無理ならアキレス腱縫合術
・一次性骨癒合→化骨形成‐、二次性骨癒合→化骨形成+
・転移のある骨折→観血的治療をしないと、変形癒合、遷延癒合、偽関節
・小児の骨折:骨折より脱臼が多い、若木骨折、自家矯正(15度までの屈曲転位短縮変形は自然矯正)、骨癒合が速い、骨端成長板損傷で成長障害
・Malgaigneの圧痛点:骨折部位を押さえると痛い
・骨折による脂肪塞栓は1,2日たってから
・鎖骨骨折:介達外力による、内側1/3、腕神経叢損傷を伴うことあり、分娩時外傷で多い
・上腕骨外科頚骨折:骨粗鬆症、転倒時に手をついて
・上腕骨骨幹部骨折:投球、腕相撲、撓骨神経麻痺合併
・上腕骨顆上骨折:小児が転倒時に手をついて、Huter三角正常、正中神経麻痺、Volkmann拘縮、内反肘
・上腕骨外顆骨折:転位が著明→小児骨折だが観血的治療(Kirschner鋼線)、外反肘→遅発性尺骨神経麻痺
・Colles骨折:撓骨下端骨折、骨粗鬆症、転倒時に手をついて、フォーク状変形、正中神経麻痺、長母指伸筋腱断裂
・Duvarney骨折:骨盤腸骨の亀裂骨折、安静でOK
・Malgaigne骨折:骨盤輪骨折(閉鎖孔骨折+腸骨分離骨折)、出血性ショック、尿路損傷、重篤、治療はカテーテル塞栓
・大腿骨頚部内側骨折:最も癒合しにくい骨折(∵高齢者、骨粗鬆症、関節内骨折、頚部からの血流遮断、骨折線が垂直に近い)、転倒直後からの起立不能、骨折線が水平線と90°に近くなると癒合しにくい(70°以上)、治療は老人だが観血的整復(転位-なら骨接合術、転位+なら人工骨頭置換術)で寝たきり防ぐ
・大腿骨骨幹部骨折:転位著明→治療は観血的整復(小児は牽引)
・踵骨骨折(しょうこつ):高所から着地、Bohler角減少(30度以下)、治療困難、機能予後不良
・Jefferson骨折:首吊りによる環椎骨折
・Hangman骨折:外傷性軸椎すべり(Hangmanなのに首吊りではない!)
・胸郭出口症候群:首が長く、なで肩の女性、鎖骨下AVや腕神経叢が胸郭出口で圧迫、Adsonテスト(頭を患部に回旋し顎をあげると撓骨動脈拍動停止)、Wrightテスト(両上肢の挙上外旋外転で撓骨動脈拍動停止)
・円板状半月板:中央部まで半月板がある(正常は中央部が空いてる)、中央部に近づくほど血流がなく関節液から栄養を受ける
・半月板損傷:膝屈曲+回旋で生じる、外側半月板は単独、内側半月板は前十字靭帯損傷も合併、内側が多い、症状は膝疼痛、関節血腫、引っ掛かり、ロッキング、クリック音、診断にMaMurry試験(膝最大屈曲位から下腿内旋させながら伸展→外側半月板のクリック、疼痛)、Apley試験、治療は縦断裂には関節鏡下縫合術、内側断端は血流-→切除(縫合不可)
・膝靭帯損傷:激痛、大量の関節血腫、膝くずれ、膝動揺性、外側側副靭帯損傷の診断は関節鏡では難しい、前十字靭帯損傷と外側側副靭帯損傷は手術、後十字靭帯損傷と内側側副靭帯損傷は保存的療法(手術できない)
・内側側副靭帯損傷:外反ストレステスト(軽度屈曲位で外反不安定、伸展位で外反不安定なら十字靱帯損傷合併)、Xpでは診断不可能、MRIで診断、治療は保存的療法
・前十字靭帯損傷:大腿骨顆間窩面後外側が起始(後十字靭帯は逆)、激痛、著明な関節腫脹、関節血腫、50%に半月板損傷合併、膝くずれ(giving way)、ラックマン試験(膝軽度屈曲位で脛骨が前方に引き出せる)、前方引き出し試験(膝90度屈曲位で脛骨前方に引き出せる)、治療は腸脛靭帯や半腱様筋腱を使った一次修復
・UnhappyTriad:内側側副靭帯損傷+内側半月体損傷+前十字靭帯損傷→難治性